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R1グランプリ2024 ルール変革がもたらしたハイレベルな三つ巴の行方は

今年のR1グランプリは、大きなルール変更があった。
出場者の芸歴制限撤廃・ネタ時間3分→4分への変更・採点のM1方式化といったルール変更が、今大会の面白さを呼び起こした。
最終決戦の3人の面白さには大きな差は無かった。三者三様のハイレベルな戦いに、R1グランプリの輝きを筆者は見た。
R1に夢は無いと度々馬鹿にされているが、今大会の盛り上がりにはその言葉は似合わないとさえ感じた。

【ファーストステージ】
①真輝志 88点(90,92,94,91,91,458:4位)
新入生の部活選びを、サクセス形式で進める展開のネタ。非常に面白く観ていて惹き込まれた。最後のオチがハッピーエンドだったのがあまり裏切りが無く勿体なく感じたので、とりあえずこの点数とした。

②ルシファー吉岡 92点(95,95,95,94,96,475:1位)
婚活パーティーでひたすらルール説明をさせられるおっさんの悲哀のネタ。なにより吉岡が可哀そうな独身男性の象徴となり、その悲哀が面白さを増幅させてくれた。途中で23番という中途半端な数字の持つ意味合いが理解できた時、ネタとしての深さも感じ取れた。後半もう一展開あれば95点に乗せていたが、とにかく前半の初速が良かった。

③街裏ピンク 86点(96,94,95,92,94,471:2位)
漫談という珍しいスタイル。筆者としては漫談を初めて真剣に見る機会となった。始めは、石川啄木・正岡子規・キュリー夫人などの話を展開し、少し距離を感じて引いた眼で見ていた。しかし、終わってみると尻上がりに面白く、何とも言えない読後感のようなものを抱いた。パワーもあるし、力で笑わせる感じもあった。点数としては難しかったが、真輝志の2点下。

④kento fukaya 84点(90,91,93,88,90,452:8位)
マッチングアプリのフリップ芸的ネタ。正直画面だけの面白さであり、演者自身の面白さが出ていないことに点数が伸び悩んだ原因はあろう。画面一つ一つは面白いワードも多かったので、難しいところだと感じた。

⑤寺田寛明 90点(90,92,92,89,92,455:7位)
こちらは国語辞典のフリップ芸的ネタ。本人も述べていたが、前出番の点数を見たら同じ芸風である自身の高得点を諦めたのも半ば納得は行く。筆者としては、国語辞典のコメント欄という新奇性と一つ一つのネタの質が高いと感じ面白かったため、90点という高評価を付けた。

⑥サツマカワRPG 80点(91,90,92,93,91,457:6位)
防犯ブザー講習のサイコパス講師のネタ。個人的な好みの問題でこういう評価とした。少し嫌悪感を抱いてしまった。それはカツラを外した頭に対してではなく(無意識の内にあるかもしれないが)、面白さのポイントに対してだ。ツッコミがいないためか、狂気が狂気のままで残ってしまうため、中々笑う気になれなかった。子供に対してサイコパスを演じて笑わせるという構図に嫌悪感を抱いてしまった。

⑦吉住 83点(91.94,94,96,95,470:3位)
デモに参加する過激派な嫁候補のネタ。全てのセリフの予想がついてしまったため、裏切りがなく厳しいと感じた。演技は迫真のものがあるが、台本が全て先読み出来てかつ当たってしまう形が続いてしまった。

⑧トンツカタンお抹茶 91点(92,89,92,86,89,448:9位)
かりんとうの車~歌ネタ。非常にチャレンジングかつ記憶に残るポップなネタで高く評価したいと思った。人によって評価は分かれると思うが、子供ウケが特に良いネタだと考えられる。ずっと素直に笑っていられたので面白かった。個人的に好み。

⑨どくさいスイッチ企画 91点(91,92,93,90,92,458:4位)
アマチュア芸人による、ツチノコ発見者のネタ。ずっとテンポが良く進むネタで面白かった。単純明快なネタがやっぱり一番だと感じた。途中息子のバンドになるという展開があったりなんかもして、もっと長いネタ時間で見てみたかった。個人的にトップ3の面白さだったので、91点とした。

【ファーストステージ まとめ】
ルシファー吉岡 92点
トンツカタンお抹茶 91点
どくさいスイッチ企画 91点
寺田寛明 90点
真輝志 88点
街裏ピンク 86点
kento fukaya 84点
吉住 83点
サツマカワRPG 80点

【ファイナルステージ】
①吉住 92点(陣内・バカリ)
彼氏の盗難被害に駆け付けた鑑識の彼女のネタ。設定が完璧で、実は浮気をしていたという裏切りもあり、1本目と比べて段違いの面白さであった。何より演技力が抜群で、彼氏に甘える演技が自然で面白かった。最大限の評価であり、一気に優勝候補に躍り出たと見た。

②街裏ピンク 85点(小藪・野田・ザコシ)
モー娘。の一員になる予定だったという漫談。1本目と比べるとモー娘。と身近な題材になったことで、意味不明な話の展開というネタの面白さが薄まってしまったように見えた。その分1本目より1点下にさせてもらった。

③ルシファー吉岡 93点
大学生の部屋からの声を盗み聞きして楽しむ独身男性のネタ。個人的には抜群に面白かった。悲哀と狂気の双方があり、笑いの要素を完全に網羅しているように感じた。キモさも良いスパイスとなっており、ネタとしての完成度が高かった。最大評価でこの点数。



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