チヨえもん

市議会議員(通算4期目)、女優も再開中。 noteにはエッセイや創作を書けたらなぁ〜と…

チヨえもん

市議会議員(通算4期目)、女優も再開中。 noteにはエッセイや創作を書けたらなぁ〜と思っています。

記事一覧

天使

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「0円」の妄想

これは、スーパー猛暑と言われた日、当時小学3年生だった娘が「お話を思いつた!」と語ってくれた物語だ。子どもの素晴らしい想像力に敬意をはらうために、書き記しておき…

4

人生のバロメーター ~O先生が教えてくれたこと~

窓際の席でよかった。 こういう時、そっぽを向いていられるから。紅葉と高い空―中学2年生の秋の話だ。 「今からお前たちに、大切な言葉をいう」 英語のO先生はそう言っ…

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秘めたいような、見せたいような―女友達、全員に勧めたい!私の「秘めフォト」体験

「脱いでしまった」 いやいやいや。まさか。 うん、でも、脱いでしまったのだ。 自分でも信じられない。ついさっきまで、帰りたい気持ちでいっぱいだったのに……。 それ…

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ファンタジーは子どもの心を強くする

あなたは、何歳までサンタクロースを信じていましたか? そう聞かれて、サンタクロースは親だとわかった瞬間を明確に覚えている人もいれば、そうでない人もいるだろう。 …

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娘の帰宅とピンクバニーカクタス

その日は突然やってきた。 ツンデレ思春期11歳の娘が、家に戻ってくる― 夜7時。その日最後の打ち合わせを終わらせ、久しぶりに早く帰れるなと思った矢先、スマホが鳴っ…

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だんだん見えなくなっていく―白い杖の賢者

父、義朗、74歳。今日も静かに、小さく浮き立つ心を湛えて出かけていく。サングラスをかけ、中折れハットを粋にかぶり、白い杖を片手に―。 「お姉ちゃん、どうしよう。パ…

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シングルマザーの私とラムネ

タクシーの中だった。 涙があふれて初めて、自分がいっぱいいっぱいなんだと気がついた。 「間に合わない!」 4歳の娘と全力で走りながら駅まで向かっていた道で、仕方な…

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「0円」の妄想

「0円」の妄想

これは、スーパー猛暑と言われた日、当時小学3年生だった娘が「お話を思いつた!」と語ってくれた物語だ。子どもの素晴らしい想像力に敬意をはらうために、書き記しておきたいと思う。細かな描写は私が加筆した。

タイトル―「0円」

その自動販売機には大きく「0円」と書かれていた。

ギラギラした日差しが降り注ぎ、息の詰まるような湿気がまとわりつく午後、一人の男がふらついた足取りで通りかかる。男は喉がカラカ

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人生のバロメーター ~O先生が教えてくれたこと~

人生のバロメーター ~O先生が教えてくれたこと~

窓際の席でよかった。
こういう時、そっぽを向いていられるから。紅葉と高い空―中学2年生の秋の話だ。

「今からお前たちに、大切な言葉をいう」

英語のO先生はそう言って、もったいぶりながら教室の中を歩いていた。ジャージ姿に竹刀が定番だ。そろそろ剃るのかなぁ―髭がぼうぼうになるまで伸ばしてから、剃る。これも定番。

「この先。人生の中で、お前たちは必ず、この言葉を思い出す」
私は相変わらず頬杖をつい

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秘めたいような、見せたいような―女友達、全員に勧めたい!私の「秘めフォト」体験

秘めたいような、見せたいような―女友達、全員に勧めたい!私の「秘めフォト」体験

「脱いでしまった」

いやいやいや。まさか。
うん、でも、脱いでしまったのだ。
自分でも信じられない。ついさっきまで、帰りたい気持ちでいっぱいだったのに……。

それは「READING LIFEの提供」をコンセプトに、数々のゼミや部活、読書会、イベントやセミナーを開催している天狼院書店の「秘めフォト部」での話だ。

―「秘めフォト」自分史上最高にSEXYな一枚を撮るフォト・サービス―

ライティン

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ファンタジーは子どもの心を強くする

ファンタジーは子どもの心を強くする

あなたは、何歳までサンタクロースを信じていましたか?

そう聞かれて、サンタクロースは親だとわかった瞬間を明確に覚えている人もいれば、そうでない人もいるだろう。

私の友人は、小学1年生までアメリカで暮らし、日本に戻ってきて空港に着いた瞬間に、突然、親に「サンタクロースはいないのよ。あれはママとパパよ」と耳打ちされたという。
きっとクリスマス間近だったのだろう。日本の学校で浮いてしまう可能性の高い

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娘の帰宅とピンクバニーカクタス

娘の帰宅とピンクバニーカクタス

その日は突然やってきた。

ツンデレ思春期11歳の娘が、家に戻ってくる―

夜7時。その日最後の打ち合わせを終わらせ、久しぶりに早く帰れるなと思った矢先、スマホが鳴った。娘の名前が表示されている。妙な胸騒ぎがして、すぐに電話に出ると、娘が泣きじゃくりながら言った。

「ママぁ~、迎えに来て! もう、こんなところに、いられない」
やっと絞り出した言葉だった。泣きはらして顔を真っ赤にしている娘が目に浮

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だんだん見えなくなっていく―白い杖の賢者

だんだん見えなくなっていく―白い杖の賢者

父、義朗、74歳。今日も静かに、小さく浮き立つ心を湛えて出かけていく。サングラスをかけ、中折れハットを粋にかぶり、白い杖を片手に―。

「お姉ちゃん、どうしよう。パパが失明するかもしれない」

電話口の妹の声が震えていた。
実家を離れて一人暮らしをしていた私の携帯に、久しぶりに家族からかかってきた電話だった。重大な事故にでもあったのかと、一気に心が波立ったが、そうではない。父が運転中に、前の車のバ

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シングルマザーの私とラムネ

シングルマザーの私とラムネ

タクシーの中だった。
涙があふれて初めて、自分がいっぱいいっぱいなんだと気がついた。

「間に合わない!」

4歳の娘と全力で走りながら駅まで向かっていた道で、仕方なく飛び乗ったタクシー。なんでそんなに急いでいたのか具体的なことはすでに記憶の外だが、当時は私の時間軸と幼い娘の時間軸のズレをコントロールすることは不可能で、余裕を持って始めた行動もいつの間にか常に綱渡りだった。

娘を先に乗せ、息が上

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