終末期ケアについて[小論文練習]

 終末期ケアの際、たびたび問題となるのは家族と患者の意見の対立である。患者側は延命治療を受け入れたくないが、家族側は延命治療を受け入れてほしい。この時、医師としてどのような立場を取れば良いのだろうか?
 結論から述べると、片方の意見を偏重するのではなく、両方の折衷案を考え導けるよう関わるべきだと考える。なぜなら、片方の意見を偏重してしまうともう片方の人が不幸になってしまい、死が訪れてしまうと解決できる手段が一生失われてしまうからだ。互いに生きている間にしか、満足できる手段を生み出す方法はない。
 例えば、患者が延命治療はせずに家で死を迎えたいと主張し、家族側は病院に入院して延命治療受けて欲しいと主張しているとしよう。この時、まずは互いの主張の理由を深く聞かなければならない。患者側の家に帰りたい理由が、もう苦しい思いをしたくないからかもしれないし、経済的負担を家族に与えたくないからかもしれない。家族側の延命治療を受けてほしい理由が、患者が死んで寂しい思いをしたくないからかもしれないし、家で介護をする余裕がないからかもしれない。互いの主張だけでなく、その理由まで理解する必要がある。
 この時、患者側の意見だけを採用して家に帰してしまうと、家族側だけでなく患者も不幸な死を迎えてしまう可能性がある。家族側の入院してほしい理由が介護する時間がないという場合、十分なケアを受けれず、患者が満足せずに死を迎えてしまうだろう。第三の案として地元に近い施設に入居するという方法をとれたなら、不幸を避けることができたかもしれない。
 兎にも角にも患者側の意見を偏重しすぎないように注意する必要がある。患者と家族両方の意見を折衷案を作り出せたのなら、家族のケアも含めた全人的医療の体現となるだろう。


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