新生児COVID-19
新生児は母親からの免疫力、主にIgG抗体で保護されています
実際に新生児が新型コロナウイルスに感染して発症することはあったのでしょうか?
ここでは、米国のレポートをご紹介します
米国における新生児COVID-19の疫学調査
はじめに
2020年3月から2021年2月までのデータが解析されました。米国におけるmRNAワクチン接種の開始は2020年12月14日なので、調査期間のほとんどは米国民がひとりもワクチン接種をできなかった時期にあたります
この論文作成の時点で、米国では、総症例の3.3%が0〜4歳の患者で、英国と米国の新生児COVID-19は総症例の0.9%との報告がありました
また、はじめに危惧された出産時に母から感染する垂直感染は新型コロナウイルスの場合はまれであるとわかってきました。この報告では、1人だけ生後12時間以内にCOVID-19と診断され、垂直感染または周産期コロニー化の可能性が考えられました
なおWHOは"垂直感染"の代わりに"先天性感染"を用語として使用しています
新生児COVID-19の発症頻度
結果:
COVID-19は918人(0.1%)の新生児で診断された(10万件あたり91.1件[95%CI 85.3-97.2])
このうち71人(7.7%)が重症(10万人あたり7人[95%CI 5.5~8.9])
診断までの時間の中央値は出生から14.5日であった(四分位範囲3.1~24.2)
論文の"表1. COVID-19を発症した新生児の特徴"から、性別、入院時体重、合併について抽出しました
新生児COVID-19患者の45.5%が男性で、新生児の重症COVID-19患者の55.0%が男性でした
入院時の体重中央値は3.40kg(IQR 2.93-3.88)。重症のカテゴリーでは、低出生体重児(<2500 g)または未熟児の割合が非重症のカテゴリーよりも高かった(P < 0.001)
非重症COVID-19の新生児の7.4%は出生体重500gから2499gの未熟児であり,非重症COVID-19患者の25.5%が先天性異常(8%)を含む1つ以上の併存疾患がありました
重症COVID-19 患者では,46.5%が少なくとも 1 つの併存疾患を有しており,最も多かったのは先天性異常(38%)でした.動脈管開存症を除く心臓の異常は17%です。敗血症の疑いは24%、黄疸は28.2%、輸血を必要とする貧血は7.0%にみられました
入院時の年齢中央値は,全新生児で11日(IQR 1〜22),重症のCOVID-19の新生児で15日(IQR 1〜22)であった
新生児COVID-19の症状
感染症の一般的な徴候は,頻呼吸と発熱でした.肺炎は,重症のCOVID-19感染新生児の28.2%にみられました
新生児COVID-19の治療
重症COVID-19患者は、呼吸器系のサポートを受ける可能性が高かった(50.7%対5.2%、P < 0.001)
侵襲的機械換気(IMV)は,重症COVID-19新生児の 11.3%に使用された.その大半は未熟児で,先天性異常がありました.
重症COVID-19 新生児の 36.6%は,さらに他の形態の呼吸補助を受けていました.
重症患者の1人(1.4%)は小児多系統炎症症候群(MIS-C)と考えられ、体外膜酸素療法(ECMO)を受けましたが、入院11日目に死亡しました。全体を等して死亡されたのはこの一人だけでした
非重症COVID-19患者で侵襲的機械換気(IMV)を必要とした3人は敗血症または呼吸困難の疑いで入院した新生児でした
さらに非重症COVID-19患者の3.2%が特定不能の呼吸補助を受けていました
重症COVID-19 新生児は他に,鎮痛剤(38%),抗生物質(33.8%),抗凝固剤(32.4%),コルチコステロイド(26.8%),レムデシビル(2.8%)および COVID-19 回復期血漿(1.4%)の投与を受けました.
合計93.6%の新生児がケア後に自宅へ退院し、1.1%が他院へ転院し、5.2%は退院処分が不明であった
結論:
新生児COVID-19は10万件あたり91.1件で、SARS-CoV-2に感染した新生児のほとんどは無症状か軽症で呼吸補助は必要なかった.レムデシビルやCOVID-19回復期血漿による治療を必要とする重篤な疾患は少数であった。新生児におけるSARS-CoV-2感染は,まれではあるが,重篤な疾患をもたらす可能性はあった
まとめ
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