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コロナワクチン副反応 皮膚反応の種類・頻度・時期 アメリカ



次の皮膚副反応の論文はアメリカからです

*皮膚副反応はモデルナアームにとどまらず少数ではあるが多彩だった  *注射部位の皮膚炎症反応を起こした人の場合に2回め接種後の副反応出現はより短時間であり、2回めの反応の方が重症なのが43%だった

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コロナワクチン皮膚副反応の種類とおおよその頻度、それに発症時期を調べました

これは、はじめの頃の調査でワクチン接種を進めていくに当たって注意すべき副反応を、臨床の医師にお知らせする目的で 行われました

J Am Acad Dermatol. 2021;85(1):46–55. 

ブログ記事

アメリカの医療機関向けの登録ベースの研究で、COVID-19ワクチン接種後に皮膚症状を呈した症例を収集した

項目は、ワクチン投与日、皮膚反応の形態、反応のタイミングと期間、治療法。

定義 局所反応は初回接種後3日以内に発生したものとし、遅発性大局所反応は初回接種後4日以上経過してから発生したものと定義された。一方、蕁麻疹反応は、注射部位を越えて分布する膨疹と定義した (2020年3月に米国皮膚科学会と国際皮膚科学会連盟の協力で設立されたSARS-CoV-2の皮膚症状に関する国際レジストリによる)

期間は2020年12月から2021年2月まで

ワクチンの種類は、
BNT162b2 (ファイザー 17% )
mRNA-1273 (Moderna 83%)

対象の説明1 解析時点で、主に医療従事者と高齢者患者へのワクチン接種が対象となった。計 414人。414件の患者記録のうち,2回のワクチン接種に関する情報が得られたのは180件(43%)であった

対象の説明2 患者の年齢中央値は44歳(四分位範囲[IQR]、36-59歳)、患者は90%が女性、78%が白人、主に米国出身(98%;表I, 略)であった.

解析 データの記述的解析にはStata version 16 (StataCorp, LLC)を使用した

結果

mRNA COVID-19ワクチンに対する皮膚反応は414例記録された

皮膚反応の種類

遅発性大型局所反応が最も多く、次いで局所注射部位反応、蕁麻疹様発疹、麻疹様発疹の順であった。その他、あまり一般的でない反応として、蕁麻疹、美容フィラー反応、帯状疱疹、単純ヘルペス再燃、バラ色粃糠疹様反応などがありました

図1. モデルナおよびファイザーCOVID-19ワクチン後に報告された最も一般的な皮膚所見の上位5つの発症までの時間と期間を表したタイムライン。丸印は皮膚反応の発症までの時間の中央値、線は皮膚反応の持続時間の中央値を表す (図をクリックすると拡大します)

Fig 1のコピー


モデルナ

モデルナ接種後の皮膚症状に関する独自の報告は343件で、そのうち初回投与後の報告は267件、2回目投与後の報告は102件であった。最も一般的な皮膚反応は、遅発性大型局所反応(n=175 初回投与;n=31 2回目投与)、局所注射部位反応(n=117 初回投与;n=69 2回目投与)、じんま疹(n=16 初回投与;n=7 2回目投与)、形態形成(n=11 初回投与;7 2回目投与)および赤斑痛(n=5 初回投与;n=6 2回目投与;表II )であった

皮膚症状があった343人のうち、215人(63%)には初回投与時の反応のみが記録され、そのうち203人(94%)は2回目の投与を受ける予定であり、12人(5.6%)は初回投与時の皮膚再活動に関する懸念から2回目の投与を予定していなかった。両方の投与に関する情報を報告した患者(n = 130)のうち、28人(22%)が初回投与のみ、76人(58%)が2回目の投与のみ、26人(20%)が両方の投与に対する反応を報告した

ファイザー

ファイザーワクチンの皮膚症状に関する報告は71件で、そのうち初回投与後が34件、2回目投与後が40件であった。最も多かったのは、蕁麻疹(n=8、初回投与、n=6、2回目投与)、局所注射部位反応(n=8、初回投与、n=8、2回目投与)、麻疹様発疹(n=6、初回投与、n=3、2回目投与)であった。皮膚症状を呈した71例のうち、初回投与時の反応のみが記録されたのは21例(30%)であった。この中には、2回目の投与を予定していた患者(n=12)と、最初の皮膚反応に不安を感じて2回目の投与を予定していなかった患者(n=4)が含まれていた。Pfizerの両投与について情報が入力された50人の患者のうち、10人(20%)が初回投与後のみ、37人(74%)が2回目投与後のみ、3人(6.0%)が両投与後に反応を報告しました

モデルナとファイザーを合わせて

414件の記録のうち,350件(85%)が接種時期の情報を有していた.初回接種から皮膚症状発現までの期間の中央値は7日(IQR 2-8)であり、1日目から3日目、7日目から8日目の2つのクラスターで発生した(図3)。タイミングデータの大部分は、ワクチン接種を受けた腕にのみ反応が見られた患者から得られており、局所注射部位反応はワクチン接種後中央値で1日(IQR 0-1)、遅延型大型局所反応は中央値で7日(IQR 7-8)に発生した(補足表I Mendeley経由で入手可能 https://data.mendeley.com/datasets/3t4zn67nc4 )。2回目の接種から皮膚症状発現までの時間の中央値は短く、1日目(IQR1-2)に発生した。1回目の接種後、すぐに発症した蕁麻疹や血管性浮腫の報告はなく、すべて1日以上経ってから発症した。初回接種後に蕁麻疹を報告した18人の患者のうち、2回目の接種に関する情報が入力されていた4人(22%)だけが2回目の接種後に蕁麻疹を発症し、そのほとんど(n = 3)がより広範囲の蕁麻疹を報告していました

Fig 2のコピー2

皮膚副反応の出現時期と強度

1回めと2回めのどの回で副反応がでたか?のまとめ

1回めのみ 38人/180人 (21%)、2回めのみ 113人/180人 (63%)、2回とも 29人/180人 (43%)

1回めと2回めでどちらが重症だったか?のまとめ

2回とも副反応がおきた人の重症度

1回めの方が重症     8人/29人(28%)

1回めと2回めは同様    8人/29人(28%)

2回めの方が重症     13人/29人(45%)


遅発性大局在性腕部反応は、主にモデルナ接種後(94%)に、1回目のワクチン接種後中央値7日(IQR7-8)、中央値4日(IQR3-6;図3)で発生した。2回目のワクチン接種後、反応はより早く起こり、中央値で2日(IQR 1-3)、中央値で3日(IQR 2-5)持続した。両方のワクチン接種後に遅れて大きな局所反応を示した患者(n=11)では、3人(27%)が2回目のワクチン接種でより大きな反応を示した。1回目のワクチン接種後に皮膚反応を示さなかった少数の患者群では、2回目のワクチン接種後に中央値で2日(IQR 1-3)後に遅延性の大きな局所反応を示した(n=23)。遅発性大局所反応を示した207人(56%)のうち116人は、先行する局所部位注射反応も有していた

図3. COVID-19ワクチン接種後,接種(0日目)から皮膚反応が発現するまでの日数.

画像3

A、B、モデルナ(紫)またはファイザー(オレンジ)ワクチン接種後の初回投与および2回目投与の皮膚所見

CおよびDは、モデルナを接種し、接種した腕に発疹の発現を経験した患者に限定した、それぞれ初回投与および2回目の所見で、局所注射部位反応(水色)および遅延性の大きな局所症状(濃青色)を示す。A、左上。B、右上。C, 左下。D, 右下

両ワクチンによる他の皮膚所見

他の皮膚所見の報告はあまり多くなく、美容充填部位の腫脹の報告9件、pernio/chilblains 8件、水痘帯状疱疹10件、単純ヘルペスの再燃4件、バラ色粃糠疹様反応4件、母乳保育の母親の乳児における発疹4件などであった




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