ロングCOVID, コロナ後遺症の脳症状について新しいことがわかってきています その1
[18F]DPA-714を用いた PETによる脳の炎症が診断された2人の患者について
オランダの50代と60代の2人のロングCOVID (コロナ後遺症) の患者の脳を[18F]DPA-714 PETで検査した結果、全脳灰白質に広範囲に炎症が存在していることがわかりました
[なお2人ともワクチン未接種の時に感染して脳の症状を含むロングCOVIDを発症し、その後に3回コロナワクチン接種を受けましたが、ロングCOVIDの症状は持続的に増悪した症例です]
この結果は治療を必要としているけれど、今のところ有効な治療法が不明ということです
大切なことは、1. 感染しないこと、2. 感染しても鼻の粘膜に炎症が留まっている間に治療することが重要、3. 少なくともこの2人のロングCOVIDに対して感染後に接種したコロナワクチンは無効だった
下図はロングCOVID患者1、ロングCOVID患者2、健康な人1から3の脳を[18F]DPA-714 PETで検査した結果がカラーで、MRIが白黒で提示されています
2人とも脳の炎症は強く広い範囲にわたっていました。さらに疲労や認知機能に関連する視床の炎症が高度であることが、症状と結びつく可能性が示唆されています
注意点は通常のMRIではロングCOVIDの異常が見えないことです (上の図で、MRIはカラーの左斜め下の白黒です)
参考までに患者1は50代後半のオランダ人女性でSARS-CoV-2感染を発症する前は、線維筋痛症(疲労に関連する微妙な愁訴がある程度で、仕事や日常生活に支障はない)と薬でコントロールされた高コレステロール決勝がありましたが、フルタイムで働き充実した生活を送っていた。彼女は2020年12月に初感染した (PCR検査で確認、感染時にはワクチン未接種)、感染の急性期には入院せず、治療も必要ありませんでした。感染後4カ月で初回ワクチン接種を受け,感染後1年で完全接種(ブースター接種を含む)を受けた。感染以来、ひどい疲労感、集中力欠如、無臭症・パロスミア(錯嗅)、頭痛、いくつかの視覚的な不満に悩まされています。この症状のため、彼女は働くことができない。検査時は感染から15ヵ月後で、症状継続している
患者2は60代半ばのオランダ人男性で、SARS-CoV-2感染前は健康で完全に機能し、フルタイムで働いていた。彼は2020年3月に感染した(PCR-確認済み)。SARS-CoV-2感染の急性期に、彼は合計15日間、看護病棟に入院した。入院10日目に呼吸困難のため集中治療室(ICU)に1泊入院した。入院中は標準的な薬物治療を受けた。感染以来,重度の疲労と集中力欠如に悩まされ,75%の部分的労働不適格を宣告された。過去に関連する病歴はなかった。感染時,SARS-CoV-2ワクチンは未接種であったが、感染後1年で初回ワクチン接種を受け,感染後21ヶ月で完全接種(ブースター接種を含む)となった.その後、若干の改善は見られるものの、感染から24カ月が経過した現在も症状は継続している
論文紹介記事です
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