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【衝撃】妊婦が生肉を食べちゃいけない理由って、きっきっ寄生虫???

 妊婦検診の最後などに「何かご質問ありますか?」と聞くと、妊娠初期の方は特に「今、食べちゃいけないものとかありますか?」と問われます。

何個かある中で、僕はまず「生肉」を答えます。

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これ、別に「お腹を壊すから」ではないんです^^; 理由はズバリ

寄生虫「トキソプラズマ」に感染しないため!!!

なのです。今日はそんなトキソプラズマのお話

1.トキソプラズマとは

ネコ科動物を終宿主とし、ヒトや哺乳類にも寄生することのある寄生虫です

学生時代に、寄生虫の授業でトキソプラズマの項目でノートに猫を書いたのを今でも覚えてます。

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2.トキソプラズマに感染すると?

成人や小児が感染しても、無症状もしくは一過性の風邪症状がでるのみです。

ただ、妊娠中に初めてこのトキソプラズマに感染すると、胎児に感染し

頭・目・肝臓などの臓器や発育不全を起こすことが知られています。(先天性トキソプラズマ症)

3.トキソプラズマの感染経路

まず、「ネコ」です。

そして、生肉や加熱不十分な肉、生ハムや生サラミからも感染します(哺乳類が中間宿主ですからね)。

そしてガーデニングや砂場遊びなどからも感染することが知られています。(ネコなどの糞尿が混じっているから、と学生時代に説明を受けました)

よって、感染予防のための啓発は下記のようになります(トキソプラズマ妊娠管理マニュアルからの引用です)

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4.先天性トキソプラズマ症の確率

現代の日本人妊婦のトキソプラズマIgG抗体(今までに感染したことがある指標)の陽性率は6.1%です。

しかし、我が国での先天性トキソプラズマ症の確率は0.0126%とされています。

つまり抗体を持っている人の殆どは、妊娠前に感染したという事になります。

因みに、妊娠中に感染したとしても、全ての胎児が先天性トキソプラズマ症になるわけではありません。この確率は妊娠週数とともに変わると言われています。

5.トキソプラズマの検査の流れ

トキソプラズマの検査は、施設によっては全員に妊娠初期にしている事もありますし、希望者のみの施設、検査をしない施設もあります。

検査をする場合は、まずIgG抗体を測定するのが一般的です。

もし、IgG抗体が陽性の場合は、次にIgM抗体(感染初期のみ陽性となる指標)を測定し、妊娠初期の感染かどうかを見極めていきます。

もし妊娠初期の感染が疑わしい場合は、内服薬(アセチルスピラマイシン)を投与することがあります。

(詳細は下記トキソプラズマ妊娠管理マニュアル18Pをご参照ください。)

6.最後に

時たま「生焼けの肉を食べてしまったのが心配で・・・」と思い詰めた顔で妊婦さんがいらっしゃいます。

不安なのであれば、ぜひ採血検査をして調べてみましょう。

検査結果が出るまで不安だとは思いますが、私はよく「今までの人生でどれだけ生肉・半焼けの肉を食べられましたか?」とうかがいます。

皆さん数え切れないほどあるでしょう。なのに、現代の日本人は100人に6人しかトキソプラズマに感染したことはないのです。

そう思えば少し気が楽になるでしょうか・・・。

ちなみに僕はジビエもユッケもタルタルステーキもが大好きです♪

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(卒業旅行の際、パリで食べたタルタルステーキ…美味しかったな…)

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