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はじまりはじまり〜

よう、きょうだい。眠れないのか。それなら、俺がお話を聞かせてやる。これから話すことは全て事実であり真実だ。真実を言うと殺されるとむかし誰かが言っていたが、俺は構わない。それを言っていたやつは、結局、運命に殺されて死んでしまった。

残念だけど、さっき言ったことは半分嘘だ。これから話すことは、事実ではない。言葉は、初めに自分があらわしていたものの記号としての役割に飽きて、余計なことまで語るようになった。やがて、自分の正体を偽造したり、全く違う名前を名乗ったりする大胆なやつまで現れて秩序は崩壊した。

だから、この物語が言葉を使ってお前に理解されるとき、それはもう俺が見聞きした事実じゃない。だが嬉しいことに、事実ではなくても真実は、伝わることがある。ただそれには、暴れ回る言葉を捕まえて、うまく御してやらなければならない。完璧に真実を伝えるには、技術が必要だ。残念ながら、俺に真実を語る技術があるのかよくわからない。正直言って、全く自信がない。つまり、初めに言ったことは、ぜんぶ嘘だ。これから俺がお前に聞かせるのは、事実でも真実でもない。

だが、俺は、事実と真実を話すように努力する。結果的に、全く訳のわからないところにお前を連れていくことになるだろうが、悪く思わないでほしい。目的地と違う場所にたどり着いた方が、ワクワクすることもあるだろう。

さて物語を始めよう。話は、一九三七年、第二次国共合作までさかのぼる。一九三七年一月七日本能寺へ攻め込んだ明智光秀は、蒋介石を誘拐し、目下に迫る大日本帝國の脅威に対抗するため、織田信長率いる共産党と蒋介石率いる国民党の協力の説得を試みた。明智光秀は、亡き父、打阿巣米惰亜(だあすべいだあ)を日本の関東軍に鎌倉で爆殺されており、日本人に対しての個人的な恨みを持っていた。かくして、敵対していた国民党と共産党は、大日本帝國討伐のため、古来より愛媛県に伝わるきび団子の誓いを交わし、明智光秀を頭領に任命し、桃の旗を掲げて浦安に攻め込んだ。これが今日のファミリーレストラン「バーミヤン」の起源であるのは、あまりにも有名な史実なのでご存じの方も多かろう。さて、歴史書が示すように、この戦いで国共連合軍は、大敗を期した。大日本帝國総統、西条ヒデキは、明智光秀をわずか0コンマ2秒で賽の目切りにし、おののく織田信長と蒋介石に切腹を命じた。

その時、遥か東から神風が吹き、やってきたのは、鳥か飛行機か、いや、彼こそ我らがスーパーマン。織田信長と蒋介石を救い出すとレーザー光線を目から放ち浦安の大地を焼き払った。

おどろいた西城ヒデキは、フジテレビへ逃げ込み、ちびまるこの姉と駆け落ちした。その後、彼をみたものは、いないという。

さてその後の浦安は、焼け爛れた帝国軍の死体で埋め尽くされ、ネズミの大量発生によってペストの大流行が起こった。浦安周辺の人民は、被害の拡大を恐れ、浦安を包囲、その地への出入りは禁じられた。

こうして、200年以上にわたって閉鎖されていた浦安からは、人間の姿が消え、この土地は、ネズミの楽園となり、「出ずに居らんど」とよばれ恐れられた。

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