与党過半数割れの状況での国会審議の新しい姿の検討が必要では。
2024年10月の総選挙において、自公の与党は衆議院議席の過半数を失いました。この選挙で議席を伸ばした国民民主党の玉木さんは、この与党過半数割れの状況を受けて、「どの党も過半数を取らない状況になれば、各党のさまざまな意見を聞いて物事を決めていく新しい政策決定のルールが必要だ」と述べています。
いわば、国会審議ルールの改変の時という話をされていますね。
国会では、本会議質疑は言うまでもなく、委員会審議も儀式化していると指摘されて久しいところです。これを転換させるという議論は、いろいろとあったりましたが、国会質疑、国会審議を実質化しようという議論は最近では聞かなくなりました。
与党過半数割れの状況の下における政策審議について、一番まずいのは、結局、拡大政務調査会のような仕組みが構築され、政策協力する政党の限定メンバーで政策決定され、事前に役人が「ご説明」に回る先が増えるだけで、政策論議が全く水面下のままという状態になることではないかと思います。
本会議はともかく、委員会審議において、日程調整だけが野党の武器ではなくなったのですから、時間制限を極度にゆるめ、委員長のファシリテートの元で自由に発言できるような審議時間の枠を作るということも考えてよいのではないでしょうか。
また、政府提案法案などの政府側、つまり役人の説明も、審議時間の中で設定し、きちんと公開の場で政府の担当者が議員に説明するという方策を検討すべきだと思います。
また、その前提として、政党による党議拘束についてもそれを緩めることや、議員立法における「会派の承認」慣行についても考え直す時期なのかもしれない。
さらに言えば、政治課題、政策課題について、選挙によって議員や政党に「白紙委任」をされたという発想を転換して、個別政策課題について、形骸化しいポジショントークしか出てこない現状の公聴会ではなく、議院が無作為で選ばれた国民、市民の意見を直接聞くという「ミニ・パブリックス」の実践ということも考えてよいのではないだろう。