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「理不尽な進化」とグレゴリー型生物である人間

 吉川浩満氏の論じる「理不尽な進化」「理不尽な絶滅」という進化メカニズムの実相と、デネットのいうグレゴリー型の生物として、パーツを複合した道具に依存した機械文明環境に過剰適応した人間という存在様式を重ね合わせると、機械文明を構成する物的リソースが使えなくなった時に、人間という存在は「理不尽な絶滅」に見舞われるということになろう。
 ある環境条件に最適応した存在は、その環境がある時、偶然に壊れてしまえば、その環境とともに退場するしかない。要は、99.9%の種は消滅してきたのであり、それが早いか遅いかだけの差でしかなく、そのタイミングは「偶然」に左右される。少なくとも、人間の不完全な理性では、どうこうできるものではない。