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PlayStation VR 2 を評価する

PlayStation VR2(以下、PSVR2)が届きました。
VRとしては割と安価(8万円)で4Kアイトラッキング付きの高性能VRということで期待が大きい製品です。

私が購入したのは下の「Horizon Call of the Mountain」が同梱されたものになります。どうせソフトは買うのでこっちにしました。

ちなみに私物ではMeta Quest 2のみを所持していてほぼ毎日使っています。仕事などでVIVEやHolo Lensなども付けたことがありますし、他のVR専用デバイスや初代PSVRも使ってきました。割と初期の頃から触ってきていて、VRゴーグルに過度な期待はしていませんが、過小評価もしていないつもりです。

商品到着まで

予約販売

まず、PSVR2の販売が決定後、ソニーから抽選が行われました。PS5の混乱を反省してPS Storeのソニーアカウントと連携したアカウントでないと抽選に応募できないような仕組みになっていました。
私はそこへ応募して見事当選し、ソニーストアで即日購入予約をしました。しかし、結果的にはその後にヨドバシ等の家電量販店でも予約が開始され、特に人気で予約ができないといったこともなく、普通に購入できる状態となりました。上記のAmazonでも普通に購入できます。
よく考えるとPS5がそもそもそんなに売れていないのに、PS5専用の8万円もする周辺機器がバカ売れするわけがありません。まぁ、とはいえ何が起こるか分からないのでPS5の教訓を活かしたという点では良かったと思います。

また、今ではPS5も普通に購入できます。家電量販店に行けばいつでも買える状態です。いっそのこともう一台買ってやろうかと思いましたが思いとどまりました。PS5と合わせると15万円前後の出費になりますが、高性能なVRヘッドセットは平気で20万円とかしますし別途PCも必要なので、それと比べればまぁ安いといえば安いです。

配送情報が更新されない

Twitterでも話題になっていましたが、ソニーストアの商品は実際に商品が出荷されても出荷情報がなかなか更新されません。2月21日の夜になっても「配送手配中」のステータスで、更にはクレジットカードに請求も来ないので、本当に購入手続きができているのか不安になりました。(未だにクレジットカードに請求が来ていませんが・・・)

結果的には夜中の12時過ぎぐらいにステータスが更新され、21日の14時には出荷していたことが判明し、22日の11時には到着したので満足なのですが、もうちょっとシステム的にちゃんと更新してほしいところですね。。。

無事に到着

開梱からセットアップ

セットアップは説明書を読めば非常に簡単で、概ね下記の手順になります。

  1. PS5にUSB Type-Cで接続する

  2. PS5を起動する

  3. 画面(テレビ)の指示通りに操作する

画面の指示内容はコントローラーをUSBで接続してペアリングしたり、ヘッドセットの装着方法の説明などが指示されるのでそれに従えば使用できるようになります。結構分かりやすいですが、PS5に接続しないといけないのでMeta Quest 2のようにデバイスで完結しているものと比べると結構面倒です。

評価

さて、ファーストインプレッションの評価です。ゲームはHorizonとGT7を少しやっただけなので、ゲーム内容というよりはVRゴーグルとしての評価になります。

思ったより安っぽい

早速ネガティブな話ですが、デバイスがそもそもちょっと安っぽい作りだなぁ、とは思いました。ベルト部分の作りであるとかプラスチック部分の質感などがそれほど良く無いです。

目の周りの蛇腹ゴムがなんとも安っぽい

特にこの目の周りを覆っているゴム部分が蛇腹構造になっていて顔にフィットする作りになっているんですが、ペラペラで非常に安っぽいです。特に劣化してくると触感が悪そうな気がしています。かといって他のゴーグルと比べてフィット感が高いか、と言われるとそんなこともないです。

ピントが合いにくい

なぜかは分かりませんが、ピントが合わせづらいように思います。固定方法が頭を固定してからVR部分を目にフィットさせる二段階の方式なんですが、頭への固定をしっかりしないとピントが合いません。また、合わせる位置を間違えると斜めに付けるような形になるので、これもピントが合いません。
2,3分試行錯誤してなんとか良い感じに装着しましたが、使っているとピントが合わなかったりしてなんとも、という感じになります。

広さを確保できない

モードとしては簡単に言うと「座って遊ぶ」「立って遊ぶ」「動き回って遊ぶ」の3モードがあるのですが、「動き回って遊ぶ」場合は2m × 2mの広さを確保しなければなりません。PS5をリビングに置いている家庭で、ソファとダイニングテーブルが置いてある場合はその大きさの確保が難しいと思います。かといってMeta Quest 2のように他の部屋でやるわけにはいかないので歯がゆいところです。
また、「座って遊ぶ」場合のプレイエリアが勝手に決められたのがちょっと不満です。手を伸ばせばエリア外に出てしまうので臨場感が損なわれます。この辺りは設定でどうにかできないか確認する予定です。

レスポンスと解像度は高い

流石に4K相当なので解像度は非常に高いですし、レスポンスも申し分ありません。視野角も十分で臨場感は高いです。ただ、ピントが合わないと全て台無しなので、ヘッドセットを装着後は入念にチェックする必要があります。また、振動機能やハプティクスフィードバックもかなり臨場感があります。コントローラーは充電式なので、電池切れなども心配しなくて良さそうですし、PS5でバッテリー状況も確認できます。(到着直後はバッテリーが1本でしたが)

コントローラーが分かりにくい

慣れの問題かもしれませんが、コントローラーのどこを持てば良いのかが分かりにくくて戸惑います。他のコントローラーは棒状の部分があるのでとりあえずそこを掴んで後は方向だけ合わせればいいのですが、丸い部分が多いのでどこから手を入れてどう持てばいいのか分かりません。もちろん実際に見れば分かるのですが、VRを付けたまま手探りでコントローラーを探すことは結構あります。例えば汗を拭いたとかズレを直したとかです。そのときに再度持とうとすると結構手間取ります。加えて、VRを外した後に再装着したときにコントローラーの位置を示してくれなかったり、UI/UXに関するところはMeta Quest 2に及んでいない感じがします。性能は段違いに良いんですけどね・・・。

あと、細かいですが床の位置を調整する際にコントローラーを床に付けるのですが、他社のコントローラーは大抵先端が平坦なのでそこを接地させます。しかしPSVR2は丸いのでどこを接地すればいいのか分かりません。まぁ適当でいいのですが。

思ったほど綺麗じゃない

Horizonをちょっとやってみた感想ですが、ファーストインプレッションとしては「映像はそこまでじゃないな」ということです。ゲームの中に入った感だけがあって、現実世界観はほとんどありません。MatrixのUnreal Engineデモはまさに現実世界レベルの描画ですし他のPS5のゲームもかなり映像は綺麗なので、あれの中に入れたら相当凄いことになるだろうなぁ、という期待がありましたが、今のところそこまでではないです。ただ、これはPS VR2の性能が低いわけではなく、他の高性能ゴーグルを付けても同じ感想でした。PS5等のゲームに慣れているとそっちのクオリティと比較してしまうので「劣っている」という印象になってしまいます。Horizonは色合いがきつめなのもあるかもしれませんが、GT7も「思ったほどじゃないな」という感じです。特に遠景や中距離ぐらいの景色の作り物っぽさが凄くて、ディズニーランドのアトラクションみたいな感じ、というのが一番しっくりくるかと思います。Meta Quest 2などの安いVRゴーグルは忠実な描写はあきらめてBeat SaberやPistol Whipのような仮想空間でゲームを楽しめるのですが、やはりPS5を使ったPSVR2ともなるとPS5並の映像を期待してしまうので期待外れ感は否めないところです。バランスという意味ではiPhoneを使ったハコスコぐらいがちょうど良いレベルなんじゃないか、とも思います。

また、激しい動きに対する残像も気になります。このあたりは他のVRゴーグルと比べると十分よく出来ているのですが、人間の視力としては十分に見えてしまうレベルなので映像が綺麗になるほど目立ってしまうのかもしれません。不気味の谷のような現象が起きてるのかもしれないですね。

酔う

GT7で鈴鹿を走りましたが、めちゃくちゃ酔います。普段からVRをやってますが、それでも酔います。この辺は個人差が大きいと思いますが、やはりVRはそれなりにゲーム設計やプレイ環境をしっかりやらないと酔いが凄そうです。また、Horizonでもそれなりに酔います。このあたりは映像が綺麗になっているせいもあるかもしれません。

ゲームそのものは期待大

割とネガティブ評価が多めですが、少し遊んだだけでもゲームそのものは面白そうです。Horizonのクライミングはかなりの臨場感がありますし、フィードバックも良い感じなのでまるで登っている気分を味わえます。
インタビューでは「特に高さにこだわった」とのことなので、今後ゲームを進めていったときに高所でのクライミングがどうなるか楽しみです。

GT7も酔いはしましたが実車に乗っている感覚が半端ないです。私は普段スバルのレヴォーグに乗っているのですが、内装がほぼ同じのWRX STIに乗ってみるとディティールに至るまでほとんどそのままで感動します。また、ルームミラーとサイドミラー後車を確認したりできるのも実車感があって非常に良いと思います。

今後のVRはARに期待

PS VR2を触って感じたのは、やはり今後のVRはARの方向への進化に期待したいということです。他の高性能VRゴーグルもPS VR2も同様なのですが、映像体験が思ったより大したことないです。4K/8Kの映像やUnrela Engineの超美麗なCG映像などに目が慣れているせいもあって、VRゴーグルで見る映像は劣化しているように感じます。もちろん数年すればもっと良くなるでしょうが、現状でもかなりのコストを注ぎ込んで開発しているはずで、それでこの程度なのであればゲーム体験としての普及は難しいように思います。
一方で、映像のパススルーについてはかなり良く出来てきています。Meta Quest 2でも驚いたのですが、PS VR2でもパススルーに切り替わると現実世界にいるかのようでハッとなります(もちろん現実世界にいるのですが)。まだ白黒映像ですが、今後これがカラーになり、高画質化してくれば、そこにCGをオーバーレイするようなAR体験が普及するでしょう。デバイスとしてもVIVE Flowのような小型眼鏡化でバッテリー内蔵となれば、いよいよ攻殻機動隊や電脳コイルの世界になりそうです。数年後に街行く人がみんなVRゴーグルを付けているような世界が到来しても、それほど驚きではありません。20年前はスマホが無かったですし、30年前は携帯電話ですらそれほど普及していませんでした。AR体験の普及でマネタイズの可能性が広がり、更にデバイスが進化するようなことがあればゲーム等の映像品質も向上してVRの世界が発展するようなことがあるかもしれませんね。

まとめ

PS VR2を手に入れたのでまずはファーストインプレッションを書いてみました。ざっくりした感想は「安っぽい」「驚きのVR体験とまではいかない」「ゲームは楽しい」といった感じです。
またVRよりもVRゴーグルを使ったAR体験の拡がりに期待したいところです。


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