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DAICHI #6【ダッチャーのお仕事、覗いてみたい。】

――映像業界のお仕事はオススメしたいですか?

好きならば楽しいと思う。おれもイケポンと一緒で、構成作ったりとか、演出側の音楽作ったりとかがそもそも好きだから、映像やってて苦じゃないけど。これをもし好きじゃない人がやったらすぐ辞めると思う(笑)。

――地獄ですね(笑)。

1個納品したらすぐ次が来るし(笑)。だから好きだったらいいと思う。そもそもダブルダッチやってる人には向いてる人は多い仕事なのかなとは思うよね。ダブルダッチで磨かれたセンスが確実に活きてくる仕事だと思うから。

――なるほど。


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“1個納品したらすぐ次が来るし(笑)。だから好きだったらいいと思う。”


センスあって強え奴が多すぎる(笑)。

極端な例だけど。映像制作って、この世の中が1つのダッチの大会だとすると、TVやYouTubeに流れてるCMとかの映像全てが敵チームで、自分はその大会(世の中)の中で、どう他と違いをみせるか、どこで差をつけるか、という感じだね。
構成なのか、音楽なのか、それとも絵の格好良さなのか。すごいわかりにくいかもしれないけど、おれの中では映像制作もそういう面ではダブルダッチと近しいと思っちゃってるから。

――敵が多さが違うだけで?

そう、敵が多い。敵が多すぎる(笑)。センスあって強え奴が多すぎる(笑)。


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“すごいわかりにくいかもしれないけど、おれの中では映像制作もそういう面ではダブルダッチと近しいと思っちゃってるから。”


――僕は最近自分自身にすごく感じるんですけど、センスの衰えと言いますか。元々センスがある方の人間ではないんですけど、年齢とともにより世間と自分の差が、ここ数年でものすごく広がってる感じがしてしまうんです。DAICHIさんにもそういった感覚はありますでしょうか?

映像に関しては業界ではまだ若手のうちに入るし、常に気を張って新しい表現方法や技術を見ようとはしてるから、映像に関してはまだいけるかなって。でもまだまだ人の中に埋もれるモノしか作ってないから、そこから抜け出すってのはなかなか大変だとは思うけど、これからだなって思ってる。でもダッチに関してはそれをすごい感じるかな。

――あー、なるほど。

なんだかんだでずっとダブルダッチのシーンに携わっていて、ちゃんとダッチを見てるとは思うんだけど。そんな難しいことわざわざそこで?とか(笑)。
おれは人が見て分かりやすいもの・伝わりやすい構成を作ることが割と好きで、面白いと思ってたんだけど、今はもう縄がどうなってるのか、人が何してるのか分からない(笑)。今このダブルダッチの世界でおれは戦えるのかっていう疑問はずっとある。無理なんじゃねえかなって。

――僕はある日もう無理だなって悟りました(笑)。

上で縄が絡まって、パコーンって落ちて、漫画みたいに血がブワーって出て。
まだやりたいなって思ってはいたんだけど、3回靭帯切っちゃって体も言うこと聞かないしなあ。

――Waffleで2回目の優勝をしたコンテスト(DOUBLE DUTCH CONTEST WORLD)の時、練習で頭から落ちていたんですよね?

そうそう2014年かな。予選の前日にスタン宙の3重通しを2人でやってて。



――えーっと、縄の中の2人がスタン宙してるのを、3重で?

うん。

――怖ーー(笑)。

今の子たちだったら普通にできそうだけどね(笑)。上で縄が絡まって、パコーンって落ちて、漫画みたいに血がブワーって出て。そのまま病院行ったんだけど、土曜日だったからかな、「先生いないからホッチキスで止めるね」って言われて麻酔無しでポンポンポンと。「明日大会出ちゃダメ」って言われたけど「出ちゃダメってのがダメっす」って(笑)。まあ結局コンテストには出たんだけど、あのデモは見せ場だったものが半分くらいできてないんだよね。よく勝てたなって思う。

――はわわ・・・。出すまでもなかったってことでしょう(笑)。

運が良かったね。2回目の優勝は運が良かった。

――いや、でも怪我されてるのを知らずに動画を見ていて「タイミングが合わなくてアクロできなかったのかな?」程度に思ってたんですけど、そんな裏側があったとは。

結構フラフラだったね(笑)。終わったあと触ったら血出てたもん。

――うえーー(笑)。


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“結構フラフラだったね(笑)。終わったあと触ったら血出てたもん。”


――ダッチをやっていて映像の道に進みたいという子がいたら、勉強しておいたほうがいいことはありますか?

自分の作りたい映像を好き勝手作っとけって感じかな。

――数を?

ぶっちゃけ今のソフトってそんなにむずくないじゃん。

――はい。

切って・繋いでが出来ちゃえば1個の映像はできるし。自分のチームのPVとか、ふざけてでもいいから何かしら「これを作ってみよう」って思えるものがあるといいと思う。それが楽しいと思えるならば、どんどん作ったらいいと思うし、楽しいと思えないなら、この仕事は絶対きついと思う。前の仕事の時は残業が半端なかったし。

――残業っていう概念はあるんですか?

前の会社はそこは結構ちゃんとしてた。残業は超してたけど。

――ははは(笑)。




いいアイデアが出れば、会社に残ってた時間がオッケーになる

みんなに「DAICHI大変だね」って言われるけど、おれからしたら自分が納得いかなかったから残ってたし、別に苦じゃないんだよね。単純に眠たいのはあったけど、残業がすごいってことに対して、帰れないのが嫌だとかいう感情はなくて。

――いいものを作りたいって気持ちが先に来ていたんですね。

そうそう。いいアイデアが出れば、会社に残ってた時間がオッケーになるっていう考え。

――いいものを短時間で作るっていうのは、なかなか狙ってできることではないですよね。

調子いい時はポンポン出てくるんだけどね。竹芝っていって船が出るところの近くにオフィスがあったんだけど、本当に行き詰まった時は海まで行って、海を眺めながらタバコ吸いまくってたな(笑)。

――哀愁が漂っていますね(笑)。


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“本当に行き詰まった時は海まで行って、海を眺めながらタバコ吸いまくってたな(笑)。”


12時過ぎて終電もなくなった時間に、タバコ吸いまくって。ぐるぐるして。

――うわー。ダッチをやっててアイデアに詰まることもあると思うんですけど、詰まったときの打開策って何かありますか?

映像で詰まるのと、ダッチで詰まるのとほぼ一緒だからねえ。

――なるほどー。もう武器がない!って(笑)。

そうそうそう。なんだかんだ大事だなって思うのは、他の人が作った映像を見たり、ダッチで昔の人のデモを見直したり。いい意味で「パクる」。アイデアをもらって自分でアレンジするのは、むしろ正しいコースだと思うから。

――バレないパクリ。

そう。ダッチのデモでもそれやってたし。

――僕も9割くらいそうでしたね(笑)。

だからたくさん見てる人の方が色々出てくるよね。「あの時のアレここに使えるんじゃね?」っていうアイデアは見れば見るほど出てくるからね。

――何年か前に見てたものが、後になって出てくることとかもありますよね。「あーここだ!」みたいな閃きが。

あるある。いまダッチのパフォーマンス動画を見ようと思ったらYouTubeがほぼ全てじゃん。でもYouTubeに載ってない、もっと古いパフォーマンスも機会があればみんな見て欲しいなってずっと思ってる。だったらアップしろよって話なんだけど(笑)。

――今新しいと思ってたことが、結構昔に既にやられていることもありますもんね。
あっ、そろそろ時間ですね。DAICHIさん、今日はお休みのところ本当にありがとうございました。今後DAICHIさんが世に出していくダブルダッチの映像を楽しみにしています。


(おわり)


取材・編集:イケポン

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