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「ROAD TO GLORY」 Double Dutch Delight Japan 2020 優勝【camellia】#2

去る10月10日に開催された『Double Dutch Delight Japan 2020』

昨年の同大会は大型台風の上陸によって中止となり、また新型コロナウイルスの影響など、“災難続き”の中で未だかつてない展開を迎えたシーズンとなった今年。大会の完走も危ぶまれるなか、それでもくじけず、たくましく学生No.1の座を掴み取ったのは「camellia(カメリア)」

前回のインタビューでは今大会に向けての決意や挫折を語ってくれたcameliiaの3人。今回はそんな彼らの”素顔”からパフォーマンスに込めたこだわりを聞きました。


(▼第1回はこちらから)

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「引っ張る役割」「託す役割」


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――さて、先ほど(※前回)コンセプトは「ジャズの流れる下高井戸シネマ」という話があったと思いますが、これは誰のアイディアだったのでしょうか。

ウンノ
うーん、誰かというわけではないですね。各々考えて雑談の中で決まりました。

――じゃあ3人で話していたらこうなった、という感じですか。雑談は結構多いの?

リン
雑談は多いですね。そして、次第にウンノと私がヒートアップしてしまうことも多々あります(笑)。
例えば「このチームのコレ、自分たちはやりたくないかな」って言ったら、ウンノが「でも結果を出してるのには何か理由があるから、選択肢には入れるべきだよね」とか。

ウンノ
それで「じゃあミホはどう思う?」ってミホの方を振り返ると……
寝てるんですよ(笑)。

ミホ
ねえー、寝てないって!(笑)

リン
いや、あなた結構寝てるよ(笑)。


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「ミホの方を振り返ると… 寝てるんですよ(笑)」


――ミホってすごいムードメーカーなんだね(笑)。

ウンノ
ある意味そうかも知れないですね(笑)。もちろん毎度寝てるわけではなく、意見をくれる時もあります。

――なるほど。となるとミホは結構“託す側”に回ってるんだ。

ミホ
自分は何も分からない状態から入ったのもありましたし、2人が心強いので。「この2人の意見は絶対なんだな」って思っていました(笑)。

リン
それ、言い方悪いじゃん!(笑)

――いやでも、素敵な関係性だと思う。有名なコピーライターの方が「チームには『引っ張る』という役割と『託す』という役割がある」と言っていて、camelliaはまさにその言葉通り、チームとして最高のバランスであるのを体現していると感じました。

ウンノ
シェアハウスをしていたこともあって、こうした雑談の機会は多かったですね。

――えっ、なにそれ? シェアハウス?

リン
同じサークルの同期と、去年の3月ごろから借りていたんです。
もともとウンノが一人暮らしで、彼の家に同期全員で泊まって、そこから各チームで練習、ということもあったので「これみんなで借りたら面白いんじゃない?」くらいのテンションで(笑)。

――エモっ(笑)。それ最高だね。


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シェアハウスのようす。過去に獲得した賞状が飾られている / 本人提供





パフォーマンスへのこだわり


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――camelliaのパフォーマンスには随所に遊び心が散りばめられていて、観客を最後まで飽きさせないような創意工夫を感じました。コンセプトの話もありましたが、他にも何かこだわった点や思いなどはあったのでしょうか。

ミホ
去年のDelightの失敗から、「パフォーマンス」だからこそ、お客さんを置いていっちゃダメだと改めて実感しました。私たちとお客さんが一体化して楽しんでもらえるような、そういうデモ作りを心掛けました。


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「『パフォーマンス』だからこそ、お客さんを置いていっちゃダメだと改めて実感しました」


ウンノ
camelliaというチームを組んでから色々な方にアドバイスを頂く際「一人ひとりの個性を見て、もっと良い部分、誇れる部分を出しなさい」と言われ続けてきました。正直、それはこれまでも自分たちの中ではかなりやっているつもりだったのですが(笑)。

リン
だよね。作る側と観る側の乖離(かいり)があることを実感しました。乖離があることの認識と、それをどう埋めようとするかを考えなければダメなのだろうと。

――なるほど。ということは今回、その乖離が埋まって、ミホの言ってくれたように“お客さんとの一体化”が実現したと。それで、やはり多くの人が悩むのはその「個性」の出し方だと思うのですが、みなさんの中で努力したことなどはありましたか?

ウンノ
リンは雰囲気を作るのが上手で、オーラで圧倒するタイプ。ただ僕やミホは、どちらかと言えば“明るく楽しくパッション全開に!”って感じなので、camelliaも他のチームの例に漏れず、メンバー3人のバランスを探るために試行錯誤しました。

もちろん3人で大会に出ることもそうですが、僕はそれぞれがイベントに参加して、色んな人に個性を引き出してもらった経験も大切だったと感じます。「こういうところ出来てるよ」「こういう部分良いよ」と、良い意味で「camellia」に縛られない経験が個性を見出す大きな手掛かりになった気がします。

ミホ
最初はダブルダッチの王道でもある「強い女!」的スタイルへの憧れはあったのですが(笑)、やっぱり“やりたいもの”と“出来るもの”が違うのをイベントに出る経験で学んで、自分の得意な部分をパフォーマンスに落とし込めるように努力しました。

ウンノ
3人チームの利点はそれぞれが個性を出してもゴチャゴチャしないことなので、今回はそれぞれが見つけてきた自分の長所を惜しみなく注ぎ込んだイメージです。
それこそ1年生の頃はリンが主体のパフォーマンス構成でした。

リン
率直に言えば、私はそれが嬉しいんですけどね(笑)。でもなかなか他2人の個性が上手く映えなくて、それならと一歩引いた形に落ち着きました。それが結果として反映されたし、良いバランス感でパフォーマンスがまとまったのは満足です。

あと、途中で”地味なカッコよさ”に気づけたのもあります。サラっとやるのって実はカッコいいじゃんと。
以前とある方に「お前はワンピースで言うと”ルフィ”じゃなくて”ゾロ”だ」って言われて、確かにゾロにもゾロのカッコよさがありますし、じゃあいいかとなりました(笑)。


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――なるほど。目立ち方は色々だし、”ど派手にかます”というだけが正解じゃないもんね。

リン
あと、camelliaとしてやったこととしては「音」ですね。

性別が違えばそれだけで多少個性は出やすいのですが、camelliaはミホと私の違いがパフォーマンス中に出づらいんです。実際にそういう指摘を過去に受けていて。
それで、今回のパフォーマンスはミホと私の曲調を明確に差別化しました。イメージ的には「ミホ:友達多め、めっちゃ応援される」「リン:友達少なめ、あんまり応援されない」みたいな(笑)。

ウンノ
3人それぞれ違う楽器がベースとなっている曲にする案も出ていました。結局それは曲探しが難航して頓挫(とんざ)してしまいましたが。

――なるほど。とにかく、曲調の違いで個性の演出を助長させようとしたんだね。




これからの道


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――camellia含む上位5チームが『NDDL ホリデークラシック』への出場権を手にしたわけですが、今年は新型コロナウイルスの影響を受け、大会は“VIRTUAL COMPETISION”(映像審査)という形になりました。

ウンノ
ニューヨークで遊びに行く場所まで考えていたのになぁ、というのが本音です。

ミホ
タイムズスクエア行きたかった。

――そうだよね。

ウンノ
旅行の予定がキャンセルになってしまったような気分です(笑)。

リン
ウンノのムーブはアメリカの人たちにも「アンビリバボー!」「ワンダフォー!!」って言われる自信があったので、やはり生の歓声を浴びられなかったのは残念ですね(笑)。

ウンノ
言われたかったなー、それ。


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リン
でもJapanのステージに立てたことが何より幸せだったので、ちょっと悲しいけど満足ですね!(笑)

――そうだね。最後に、camelliaはこのNDDLへの参加をもって解散ということになると思いますが、その先のこと、これからの目標などがあれば教えてください。

リン
私が最初に見たDelightが2015年。それから今日に至るまでの5年間、本当に「すごい!」と思うパフォーマンスとたくさん出会ってきました。だから優勝こそしましたが、まだまだ超えたいと思うパフォーマンスがあるんですよ。ダブルダッチの素敵な世界に引き込んでくれた数々のパフォーマンスを超えられるダブルダッチャーになるために、まだまだ頑張りたいです。

ミホ
私は本当に無知なところからスタートで、自分なりに今までいろんなことを頑張ってきました。結果がついてきたことを自信に、これからも色んな事に挑戦したいです。人生を。

ウンノ
人生(笑)。


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「これからも色んな事に挑戦したいです。人生を」
「人生(笑)」


――いきなり壮大(笑)。ウンノはどうですか?

ウンノ
本当にリンとミホの言う通り、2人と同じ思いです。僕は高校時代、2016年のDOUBLE DUTCH CONTESTで見た「What makes us different」「MACKDADDY」に特に衝撃を受けて、尊敬する同じ高校出身の先輩に「ああなりたいです!」って言ったら「お前には無理だよ」って言われて。
camelliaのパフォーマンスは結果的に、その2チームとは違うベクトルのものとして完成したわけですが、やっぱりまだまだ超えたいものがいっぱいあるなと強く感じています。欲を言えば、「ウンノってヤツやべえ!」って、観客席に座っていたあの時の自分と同じように思ってもらいたい。だから、まだまだ邁進しようと思います。

――なるほど。これからの活躍にも期待させてくれるような素敵なお話、ありがとうございました! そして本当に優勝おめでとう!



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(おわり)


取材:MEGURHYTHM / YAMADAI
撮影・編集:YAMADAI



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