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13歳のハローワーク ダブルダッチversion コーチ編

こんにちは!千です。
ダブルダッチ超学校 新聞部部長で、北海道で活動中の中学校2年生です。
今回は、『13歳のハローワーク』のダブルダッチ編として、ダブルダッチを職業にしている人にインタービューして、その職業の内容や面白さなどを教えてもらおうと思います。まずは第一弾としてDDFAMのKO-SUKE先生に取材させて頂きました。

千(以後千):こんにちは。この企画は今ダブルダッチをしている子供たちが今後ダブルダッチを職業としてやろうとしたときに、今回の記事を読んで参考にしてもらえたらいいなと考えています。今日はよろしくおねがいします。

KO-SUKE先生(以後K):よい企画ですね。がんばります!じゃあ早速何でも質問してください。

千:はじめに、簡単に経歴を教えてもらえますか?

K:僕は小学校から高校まではサッカーをクラブチームでやってたんだけど、高校3年生の最後の大会の前に、膝を大怪我してサッカーがもうできなくなったんだ。サッカーに代わる一生懸命取り組めることを探すために同志社大学に行って、運良くダブルダッチに出会いダブルダッチを始めたんだ。

千:大学生からダブルダッチを始めたんですね。その後のプレイヤーとして実績を教えて下さい。

K:大学から始めて、『A・I crew』っていうチームで大学2年生の3月に世界大会ダブルダッチ・コンテスト・ワールドという世界大会に出て、順位は世界大会11位であまり良い結果でなかったんだけど、次の年の2013年に『HONMONO』というチームでダブルダッチ・コンテスト・ワールドに出れて、そのときは3位になりました。あとは競技系大会で、関西勢ではじめて、日本代表となりADDL(アメリカン・ダブルダッチ・リーグ)の世界大会で、シングル部門で3位になって、ダブルス部門では準優勝になった。

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千:大学から初めて世界大会に出れるってすごいですね。次にコーチとしての経歴を教えて下さい。

K:大学4年生の時にオルトタイプのひかるさんとりょうちんさんがやっていたダブルダッチのレッスンのアシスタントとして教えたのが最初かな。その後就職活動の時に将来について悩んで、某食品会社の内定をもらえたんだけど、ダブルダッチや縄跳びに関わる仕事がしたかったので、地元名古屋の縄跳び製造会社の「ベルティック」という会社に就職したんだ。

千:ダブルダッチと縄跳びが大好きなんですね!

K:うん、そうだね。名古屋でダブルダッチをできる環境がなかったので、仕事をしながらDDPARKという月に一回自由にダブルダッチが跳べる場所を作ったんだ。DDPARKを続けていくと、人がたくさん集まってきてもっと本気でダブルダッチをやりたいという人が出てきて、その子達のためにスクールを立ち上げたんだ。そして2018年の4月にDDFAMというスクールを立ち上げました。その時の初期メンバーがパキラで、同じ年の9月にあったダブルダッチ・ネクスト・ヒーローズで勝ち抜いて、NYで開催されたNDDL(ホリデークラシック)に出場できたんだ。

千:なぜ、DDFAMというスクール名にしたんですか?

K:色々な意味があるんだけど、まずDDPARKのDDはダブルダッチの省略で、PARKは公園という意味。ダブルダッチで遊べる公園を作りたいっていう意味でDDPARKを始めた。DDFAMのコンセプトと関係して、大切にしていることが『ダブルダッチを通して生きる力を育てよう』っていうことなんだ。だから一緒にダブルダッチをして成長していくのは、ある種の家族だと思っているので、Familyの省略でDDFAMと名付けました。

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千:ありがとうございます。次の質問にいきます。世界大会まで出て選手として活躍できたのにどうしてコーチになったんですか?

K:就職活動するときに自分は何になりたいって考える時があって、その時にプレイヤーとして舞台に立って輝きたいなという思いは正直あったけども、今まで自分の好きなことをひたすらやり続けた人生だったから、仕事するとはどういうことなんだろうと思って僕の中では“人の役に立つこと”だと思ったんだ。履歴書を書いている時にも、ダブルダッチという言葉がたくさん出てきた時に、自分はダブルダッチで人の役に立とうと思ったのが最初です。自分でステージに立って、人の役に立つもの一つの考えだけど、ずっとできることではないし、年をとってだんだん動かなくなっていくかもしれない。もし指導者だったら自分が教えた子供たちがどんどん大会に出たり、イベントに出て輝いていたりする姿を見れるのでそっちのほうがいいな、自分の想いを伝えて子供と一緒に青春できるというところに魅力を感じてコーチを目指すようになったんだ。

千:ということは、今はプレイヤーとして活動するということは考えてないんですか?

K:実際イベントとか大会に出たいと思うこともあるけど、僕は一個のことにしか集中できなくて、例えば自分が大会に出るってなったら、そこで思いついたムーブ(アイディア)は自分のパフォーマンスに使っちゃうんだけど、さらにそこから自分の教え子のために別のアイディアを考えるのが自分の中でとても難しいだよね。そしたら浮かんだアイディアは全部教え子にあげたいなと思ったときに、自分はプレイヤーとしてもう出来ないなってなりました。なので、プレイヤーとコーチを両方きちんとやっている人ってすごいなと思うんだよね。

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千:次はコーチという職業の内容について詳しく教えて下さい。特に他の人が知らない生徒に教えていない時何をしていますか?一日の時間で教えて下さい。

K:例えば今日(インタビューを行った日)、のスケジュール
土曜日、日曜日はたいてい
8:00に起床
9:00~12:00  チーム練習(トンデミーヤ)
13:00~16:00 チーム練習(BAN FOOT)
16:00~19:00 チーム練習(パキラ)
で、今インタビューに応えています。土日はほぼ一日レッスンとなります。

平日は夕方からレッスンがある日は
9:00 or 10:00に起床→
午前中はパソコンでスクールに来たメールやHPの確認や散歩しながら、今後のレッスンについて考えたり、ダブルダッチのイベントに呼んでくれる人に電話やコミュニケーションをとったりしています。午後からはスクールの事務作業をして、
17:00~20:00レッスン→
20:00~21:00アシスタントを家まで送る&デモのアドバイスをする→
そこから寝る(3時くらい)までは、曲編したり、デモを考えたり、色々なパフォーマンスと見たりしています。

千:パフォーマンスとかを見るのにも関係して「深堀ナイト」もやっていますか?

K:「深堀ナイト」は自分が指導者としてトークスキルが大切だと思っていて、トークスキルを上げるためとダブルダッチの人と話すことで相手の考えを知りたいっていうのも理由の一つで自分の頭の中を整理したいという思いもあるよ。でも、一番はダブルダッチがあまり発達していない地域でも先輩の、タメになる話を平等にいろんな人に届けたいと思って、インスタライブならみんな気軽に聞けるから、インスタライブで「深堀ナイト」を始めたんだ。

千:コーチを始める前に思っていた念願は叶いましたか?

K:はい、叶いました。サッカーを辞めた時に、なんでもいいから世界大会に行こうという目標は達成できたし、就職活動の時に決めた、“人のために役に立つ”という目標も徐々に叶っているのかと思っています。

千:子供たちが知らないコーチの楽しさを教えて下さい。

K:いろいろとあるけど、教え子がダブルダッチの話を嬉しそうに親にしていることを保護者から聞いたり、人と接する事が好きで、人とつながることも素敵だと思うし、こうやってインタビュー受けたりするのも楽しいし、名古屋と北海道が繋がっていることも素敵だと思う。後はコーチ同士でお酒を飲みながら話している時かな?いろいろなダブルダッチの話をするのが楽しいです。

千:そうなるんですか。どういう時にやりがいと感じますか?

K:教え子に「ありがとう」と言われたときとダブルダッチを通して教え子と家族が一喜一憂するのを見るとやりがいを感じるね。DDFAMで伝えたいことがしっかり伝わって、その子の人生にプラスに働いたことがわかった時とかも。

千:やってみて始めてわかった楽しいことは何ですか?

K:教え子を大会に連れて行ったときは自分が大会に出るときより遥かに緊張してて、自分がステージに立つときは自分が失敗したら自分のせい、自分がどうにかできるけど自分が出るときとは違う緊張感があることが自分がコーチになって始めてわかった楽しい部分でもあるかな。

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千:では、やってみて始めてわかった大変なことは何ですか?

K:子供にレッスン中教えたりすること以外にもスクールを運営するにあたって宣伝もしなきゃいけないし、それが大変だなと思ったところかな。

千:今後について質問します。将来の目標は何ですか?

K:DDFAMの教え子と楽しくお酒を飲むこと、これがまず一番かな。ただ酒が飲みたいわけじゃなくて、お酒を一緒に飲むってことは・・・。

千:気を許せる相手ってことですか?

K:そうそう。教え子もDDFAMが楽しかったと思ってもらえないと一緒に飲んでくれないから。それに僕も健康でいなきゃいけない。簡単なことって以外に難しいんだよね。そういう関係性で居たいんだよね。もう一個あって、ダブルダッチが本当にオリンピック種目になるのならば,日本代表のコーチまたは監督になりたい。

千:では、10年後はどうなっていたいですか?

K:10年後は僕41歳になるんですよ。僕、計画性がないんですよ。計画通りに行った試しがないんだよね。もちろんこういう風になりたいとかはあったけど。10年後こうありたいとかまだわからないんだよね。まず、目の前のことを一生懸命やっちゃうタイプ。新しいことが出てきたらそのとき頑張ろうっていう感じで。。。小さい頃から先生とかに計画性を持ってと言われていてやっぱり苦手で、オリンピックの監督コーチになるにはあと7年後の話なのでその類のことが目標になるのかな?正直10年後はよくわかりません。すいません。

千:お応えにくいのですが現在の給料は?

K:コロナの影響などですごい不安定なのですが、去年の売上は600万程度です。個人事業主なので給料としてはいくらかは出せないけど。ダブルダッチャーに現実を知ってほしいので、きちんと知ってほしいです。

千:アシスタントの費用は含むのですが?

K:はい、含んでいますが、基本的にDDFAMのアシスタントは、大学1年生で、ダブルダッチを始めたばかりの人に来てもらっており、上級者クラスでは受講生として受けてもらって、その代わりに初心者クラスのお手伝いをしてもらっているので、通常分はなく、イベントに参加してもらった時のみ出してします。その代わり食事やお酒はいっぱいおごります。

千:この職業でなければなければ何をしていますか?
K:内定をもらった食品会社で営業をしていると思います。(笑)

千:コーチを始めた頃の自分へアドバイスする事ができるとしたら、どんなアドバイスをしますか?

K:子供の壁を自分で作るな!子供は自分が考えているよりも急成長するよ。ってことを言いたいかな?

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千;このままがんばれってところはありますか?

K:少しくさいんだけと、昔から大切にしていた事として、1つ目は、子供とちゃんと向かい合って愛を持って接すること、2つ目は、自分のだめな部分をとさらけ出すことです。先生って完璧じゃなきゃいけないというイメージはあるよね。それが理想かもしれないけどそんなに完璧になれない。大人になると言い訳がうまくなるので、自分のだめな部分を正当化してごまかすことが出来ます。それは絶対に嫌なので、だめな部分をきちんと認めて謝って子供たちと一緒に成長して、今できる最大限の力で子供たちと向かい合おうしています。それは今でも続けているので、このことは続けていけとアドバイスするかな?

千:ダブルダッチを仕事にしていることに周りの反応はどうでしたか?

K:始めは親に反対されていました。何回相談しても認めてもらえなかったです。スクールに見に来てもらってから、子供たちが楽しく真剣にやっている状況を見て、少しずつ認めてもらって今ではとても応援してもらっています。
友達からは、自分の好きなことを仕事にできていいな。と言われるし、逆に自分は友達の事を安定した給料をもらえていいなと思っている。好きな事を仕事にするってことは、9割が大変なことで、1割がやってよかったなということで、その1割の喜びが、残りの9割の大変さを忘れさせてくれるものです。

千:コーチを副業としてやろうとは思わなかったんですか?

K:最初そうでしたね。縄跳び製造会社の工場員として働いてて副業でダブルダッチのコーチをやってたよ。土日と平日は週に3回くらいレッスンをしていました。このままでも良かったけど、どんどんダブルダッチのレッスンが忙しくなって来て、自分の体が持つか不安になった。副業しながらのほうが給料的には安定するけど、仕事中はスクールと向き合えない。もっと子供たちに時間を注ぎたい、スクールに向き合いたいと思ったからダブルダッチのコーチを専業でやることに決めたんだ。

千:ではどんな子がコーチに向いていますか?

K:良い質問ですね。仕事選びをする際に、好きな事を仕事にする。と言われているが、誤解を招くことがあるので注意してほしいです。好きなことではなく、好きな作業を仕事にしてほしいです。例えばラーメンが好きな人は、ラーメンを食べるのが好きなのか?ラーメンが作るのが好きなのか?を考えないといけない。ラーメンを食べるのが好きな人がラーメン屋さんに就職するのは違うと思う。僕の場合は、もちろんダブルダッチはもちろん好きだったけど、子供が好きだったし、教えるのも好きだったので、ダブルダッチ以外の事を子供に教える仕事でも続けられると思う。縄跳びが好きだったけど、縄跳び工場で縄跳びそのものを原料から作るのは好きではなかった。なので、コーチに向いている人は、ダブルダッチが好きというよりも、人との会話が好きだったり、人に教えるのが好きだったりする人が向いていると思う。

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千:これからダブルダッチのコーチをやりたい人はどうやったらなれますか?

K:ダブルダッチを教えるには?場所と教え子と縄があればできる。1つ目の場所は探すしかない、場所がなければ大人に頼る。2つ目の生徒は、この先生から教わりたいという生徒を集めなければならないので、宣伝などをしないといけない。僕の場合はそれがDDPARKでした。今ならインスタで動画をUPしたり、HPなどを作ったり人から見てもらうようにしない。最後の縄は、お金で買えるのでなんとかなる。
副業から始めるといいと思う。僕も会社員から副業として始めました。売上が上がってこれで勝負ができると思ったら専業になればいいと思う。だめだったら会社員に戻ればよい。僕も副業の開始時は3万円くらいしかなくて、徐々に生徒が増えて来たので専業になる決心をしました。

千:最後のダブルダッチをしている全国の子供たちに一言お願いします。

K:ダブルダッチで遊んでほしい。ダブルダッチに熱中してほしい。僕がダブルダッチを始めて10年やってるけどまだまだ楽しいので、遊び尽くしてほしい。


今回は、せっかくの企画なのでリアルを知ってほしい。実際に現時点でダブルダッチだけの仕事している人が少ないし、興味を持ってくれている人には、このリアルを知った上で判断してほしい。実際にコロナのときは、収入が途切れたこともあったし、これから先の事もわからないけど。

千:コーチの大変さや面白さが少しわかった気がします。今日はお忙しい中時間を頂きありがとうございました。

編集後記
今回の話を聞いて、ダブルダッチを職業にする苦労や一日にどれだけの時間をダブルダッチに使っているかもわかりました。コーチは人に教えることだけが仕事だと思っていたので愛情を持って子供たちに接して、自分も含めて家族のように成長することが出来るコーチはとても良い職業だと思いました。9割の大変なことを1割の楽しさが超えるということはKO-SUKE先生にとっての天職なのだと思いました。
ダブルダッチを遊び尽くしてほしいと言っていたので、このような取材も含めてダブルダッチで遊び尽くしたいと思います!いつか大きくなったらお酒を飲みながらKO-SUKE先生とダブルダッチの話をしてみたいです。

KO-SUKE先生、皆さん、貴重な機会をありがとうございました。

次は13歳のハローワーク ダブルダッチversion 第二弾になっています。次もお楽しみに!!

※取材は2021年秋に実施


▼KO-SUKE先生のリンク集

・『A・I crew』2012年Version:A .I crew DOUBLE DUTCH DELIGHT WEST 2012 - YouTube

・『A・I crew』2013年Version:A I crew DOUBLE DUTCH DELIGHT WEST 2013 - YouTube

・『HONMONO』2013年Version:【Double Dutch TV】 DDCW2013 OPN 03 HONNMONO 【ダブルダッチ】 - YouTube

・DDPARKのホームページ:▼練習日程 - linc-doubledutch ページ! 

・DDPARKのインスタグラム:DDPARK(@ddpark_official) • Instagram写真と動画

・Japan 2018 パキラ NOVICE部門 優勝:Double Dutch Delight Japan 2018 『パキラ』 NOVICE部門 優勝 - YouTube

・バンフット
https://youtu.be/wBL_oIk6UdY

・トンデミーヤ  
https://youtu.be/1goW244S-_A


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