人って変われるんだぜ
私は大人しい小学生でした。
往復3時間の通学時間はずっと電車の中で星新一やコナン・ドイルを読むような少年で、いつの間にか「図書館にあるどの本を取ってもあいつの名前がある」と言われるほど良く読書をしていました。学校が遠かったので地元に友達もいなくて、休日は家で安全地帯やビリー・ジョエルを聴きながら読書。
目立ったり派手な言動が嫌いで、クラスでは大人しいメンバーと集まっていましたし、特に成績が良い訳でもなく、下から数えた方が早いくらいの身体能力だったので運動でも目立つことはありませんでした。
クラブ活動は焼き物部。たった一人の部員で、ひたすら陶器を作る毎日でした。夏の合宿は先生とマンツーマンで窯に行ったものです。
クラスで運動や勉強が出来る友人たちが女子にモテているのが輝いて見え、「あんな風になりたい」と思う一方で、私は昔から自分を客観的に見る事が出来ていたので、今の自分はどう頑張ってもああはなれない、という事も理解していました。
あれから30年以上経ったいま、私は音楽の世界に生きつつ、趣味のサッカーで指導者資格を取得したり、格闘技をやったりして、定期的にトレーニングもしていて、同年代の中ではかなり動ける方だという自負があります。
大学で文化祭の実行委員長をやったり、学生を代表して署名運動をして音大を変えようとしたり、長年草サッカーチームの代表を務めたり、サッカースクールを創設・運営したり、コントラバスのコンクールを立ち上げたりするなんて事は小学生時代の私からは想像も出来なかったでしょう。当時の友人たちは信じてくれないかもしれません。
小学生の頃は歩くスペースもないほど部屋が汚くて、怒った母に2階の窓から部屋の物を全て投げ捨てられたことがあります。
それが今ではDIYで部屋の改造をしたりして、部屋がインテリア雑誌に掲載されるほどの綺麗好き。
結婚するまでは朝まで友人たちと騒いで楽しく生きる事を最優先する毎日でしたが、結婚してからは23時就寝、6~7時起きを守り、毎朝ランニングと筋トレ、朝食は納豆と卵と味噌汁、毎日の基礎練習などルーティーンだらけの生活に変わりました。
何が言いたいかというと、人は変われるのだという事です。
私の場合、最初の変化は高校を転校した事でした。勉強する意味が分からず、学校にもろくに行かず遊技場に入り浸った結果退学になったのですが、転校先がそこそこヤンキーの多い学校だった事もあって、ある程度自己防衛の為に本来の自分とは違うキャラクターを演じるようになりました。
次に、大学で文化祭実行委員長を務めたこと。本当は委員長をやるはずだった同級生が退学してしまい、急遽白羽の矢を立てられたのが私で、仕方なく代役を務めたのですが、ここでリーダーとしての立ち振る舞いを学びました。この経験が後の草サッカーチームの代表兼キャプテンに繋がり、サッカースクール創設にまで活きてきます。さらにはコントラバスコンテストを立ち上げましたが、これは完全にサッカーでの経験値と勢いで成し遂げたものです。
部屋を綺麗にするようになったのは高校生のとき。転校の条件として全国大会出場常連校の吹奏楽部に入ったのですが、毎日の通学が往復3時間。夜遅くまで練習をして帰宅し、翌朝は朝練で早朝に家を出るという生活をしていたのですが、ある日疲れて帰宅したときに自分の部屋を見て「寝る時くらい綺麗な部屋で寝たい」と思ったのをきっかけに、ドラマに出てくる部屋などを参考にして一気に片づけるようになりました。母も驚く突然の変貌ぶりでした。
最後に、結婚してから仕事や日々の生活への意識が大きく変わりました。目の前の仕事を一つ一つしっかりこなすこと、その為の準備を日々怠らないこと。サボりがちな自分のために毎日ルーティン化すること。腹の出た中年になりたくないと思うようになったので食事と運動にも気を遣う。全ては「子供にカッコ悪い姿を見せたくない」という思いがモチベーションになっています。
以前はあれほど人前で話す事が苦手で、学校では自ら発言する事を控えていたのに、講習会の講師やいくつかの団体の代表を経験してきた結果、今では人前で笑いを取る事に悦びを感じるようにすらなりました。
こうして自分が変わるきっかけが何度かあって今の人格が形成されました。
今自分の性格が嫌だと思っている人は少なからずいると思います。変わりたいと考えている人も多いと思います。でも、焦らずにその時を待っても良いかもしれません。何かきっかけがあればきっと変われます。そのきっかけを掴むのはあなた自身です。
・・・私は他人の意見や人生に左右されたくないので、有名人の自己啓発本や成功談などに全く興味がないのですが、今回は自己啓発みたいな内容になってしまいましたね 笑