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道徳授業まとめ

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道徳の授業に関する記事をまとめています。
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2019年8月の記事一覧

道徳の主な批判

道徳科の時間に関しては、いくつかの主だった批判があります。今日はそのうちのいくつかを紹介していきます。 ①国が望ましい価値観を決めて良いのか  主な批判といえば、これが上がるでしょう。道徳を教えるといったときに、直感的出てくるものであるといえるかもしれません。日本は特に、戦前の修身科の学習の影響もあってか、特にこの辺の批判は根強いものがあります。修身科が筆頭科目に置かれていたことにへの反動ともいえそうです。公教育で学力よりも、人間力と完全に言い切ってしまうとどこか違和感を

価値理解、人間理解、他者理解

道徳科の目標は (「第3章 特別の教科 道徳」の「第1 目標」) 第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,より よく生きるための基盤となる道徳性を養うため,道徳的諸価値について の理解を基に,自己を見つめ,物事を多面的・多角的に考え,自己の生 き方についての考えを深める学習を通して,道徳的な判断力,心情,実 践意欲と態度を育てる。(学習指導要領解説特別の教科道徳編より) そして、学習指導要領解説では、この道徳的諸価値の理解とはどのような理解を指すのかとい

質の高い三つの指導法

文部科学省から、道徳の質の高い三つの指導法というものが提示されています。 今まで言われていたただの生活経験の話し合いや、テキストに書いていることだけを言わせたり、登場人物の気持ちだけをおった、心情理解のみの道徳授業にはなっていない授業には三つのタイプがあるということが示されています。 どのようなものがあるかと言うと ・読み物教材の登場人物への自我関与が中心の学習 ・問題解決的な学習 ・道徳的行為の体験的学習 です。 ・読み物教材の登場人物への自我関与が中心の学習

意外とされている道徳教育

道徳教育は道徳科の学習の中だけで完結するものではありません。 学習指導要領にはこのように書かれています。  学校における道徳教育は,特別の教科である道徳(以下「道徳科」とい う。)を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳科はも とより,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれ の特質に応じて,児童の発達の段階を考慮して,適切な指導を行うこと。 ここでポイントとなってくるのは、特別の教科である道徳を要として、という部分と学校教育全体を通

自我関与って何?

道徳における質の高い三つの指導法の中に自我関与が中心の学習というものが出てきました。 今までの読み物教材を用いた道徳授業に最も近い形であると言えますが、今回は、そもそも、自我関与って何?ということについて書いていきたいと思います。 さて、自我関与という言葉を辞書で調べてみるとこのように出てきます。 心理学用語。ある事柄を自分のもの、あるいは自分に関係があるものとして考えること。(デジタル大辞泉より) この意味から、心理的な状態であるということ、自分のこととして考えてい

読み物教材の構造

道徳の読み物は基本的に面白さを追求して作られていないということは、昨日のノートでお話ししました。 今日は物語の構造について、もう少し詳しく書いていこうと思います。 物語ですから、必ず登場人物が必要です。そしてどのお話にも必ず主人公がいます。次に、主人公以外のわき役が存在するのですが、このわき役が主人公に何かしらの影響を与えたり、または、影響を受けたりするわけです。子のわき役のことを助言者と言います。 教材を分析する際には、主人公や助言者の言動や行動の意味を探っていくとその教