ソウルハッカーズ2へのお気持ち表明

メガテンの系譜というと微妙。ただ、「ソウルハッカーズ」ではあった。

まずはこれで熟知せよ。

今回の主役はある時突然発生したシンギュラリティによって自意識を得たAI「リンゴ」だ。
正確には、シンギュラリティによって超存在と化した、親玉たるAI「Aion」が物理世界にアクセスするために生み出した実体(クッソ古い言い方をするならば「対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース」)とかいう小難しい言い方をすることもできるが。
親玉が「世界の終わり」が近いことを予測してしまったのでさあ大変。リンゴと、同時に生み出されたサポート人員「フィグ」は、世界の終わりを阻止するために、悪魔を使役して戦うデビルサマナー同士の戦いへと乱入することになったのだ…。

…最後の「デビルサマナー」のくだりを削ると、とうていメガテンの系譜に見えない!!!
しかしこれはこれで、コンピュータと人間と悪魔の関わり、という、ソウルハッカーズ…というか、デジタルデビル物語の系譜ではあるのだ…。

ソウルハッカーズ2の良いところ

・キャラはまあまあ立っている

主人公であるリンゴ、および相棒のフィグ。そして行動をともにするデビルサマナーたちは割と全員濃いキャラをしている。そしてキャラの理解を深めるエピソードもわりと用意されている。
たとえば、ある時点から行けるようになる、各キャラクタの記憶に潜っていってその力を開放していくダンジョン(ソウルマトリクスという))では、そのキャラの過去の転換点となるエピソードが語られる。キャラクタはリンゴ以外全員、デビルサマナーとしてはそれなりのキャリアを持つ大人たちのため、現在の出来事によってなにか大きく成長する、というより、過去の出来事と向き合って自己を見つめ直すのだ。
また、「パーソナルイベント」なる、バーで仲間たちとお酒を飲んで語り合うというイベントもある。サブイベントの終了後、そのイベントについて感想を述べたり、あるいはダンジョン内で手に入れたコレクションアイテムについて書簡を言い合ったりする。そのあたりでもキャラの人となりを知ることができるし、生まれたばかりのAIリンゴがどういう感想を持つかも知ることができる。さらに、こういったイベントなどをこなすことで、ソウルレベルなるポイントが溜まり、ソウルマトリクスの各所にある門を開くことができるようになったりする。
ただここには問題もはらんでいて…サブイベントやら、ソウルマトリクスをいっさいやらないプレイで突き進むと、このあたりがさっぱりわからなくなるという…。
ソウルマトリクスを進めると有用なスキルが手に入るので、楽に進めようとするならまったくやらないことはないと思うんだけど。

・戦闘システムの刷新

真・女神転生Ⅲ以来の、弱点どつきあい&耐性盛って攻撃チャンスを奪うプレスターンバトルではなく、どちらかというとストレンジジャーニーに近い、オーソドックスなコマンドバトルになっている。…ストレンジジャーニーに近い、というのがポイント。敵の弱点をついたり、あるいはクリティカルを当てたりすると「スタック」というポイントが溜まっていき、その溜まった度合いによって、ターンの最後に「サバト」が発生。手持ちの悪魔を召喚するという演出で全体に強力な攻撃をお見舞することができる。敵がこのサバトをやってくることはないので安心。一方、敵に対して無敵や反射相性の攻撃をしてしまった場合でも、スタックが減るとか、ターンが終わるなどはしないので安心。ただただ一手無駄にしただけになる。
まあ、他にも武器の錬成システムや、「魔晶」という宝石を付けて激化スキルを保持できる、などの話はあるけれど…良くも悪くもフツーなので割愛。

・マップが見やすい!!!!!!

個人的にはここをすごく評価したい! 前回作品の真5だと、ダンジョンの高低差が激しい+場所によっては無駄なアクション要素が必要な上に、見にくいにも程があるオートマップという大変困った感じになっていたが、今回はそういう要素がなく、純粋にダンジョン攻略ができる。しかもオートマップがわりと見やすい!
…というか、この動画を比べてもらえば一目瞭然か。

上が真5の公式配信動画。下が本作の公式配信動画。
どうだろうか。雰囲気を出そうとはしたのだろうが、全部土気色でクソ見にくい真5のマップと、シンプルにはっきりした色合いの線でマップを描写しているソウルハッカーズ2とでは、みやすさが全然違わないかね!?この改善のある時点で、自分としては本作に拍手を送りたい。

・悪魔の取り扱いの刷新

ここはたしかに賛否あると思うところ。今回、いわゆる「仲魔」は、戦闘に参加させることができない。ペルソナのごとく、サマナー一人に付き一体を憑依させて、その能力を使う形となる。困ったところとしては、最初のうちは戦闘中に憑依させた仲魔を切り替えることができず、ボス戦前などにセットする仲魔を間違えると大惨事になってしまう…。後半になると仲魔を切り替えるための特技を覚えたりはするけれど。
 さて、今回の悪魔の取り扱い方で特徴があるのはここから。ダンジョン侵入直後に、手持ちの仲魔たちをダンジョン内に派遣して、斥候を努めてもらうことができる。斥候役の仲魔はダンジョン中のどこかで待機していて、話しかけると拾ったアイテムをくれたりする。また、この斥候は従来の悪魔会話の役割も兼ねており、派遣した仲魔がダンジョン内の悪魔をスカウトしていたりする。主人公は最終面接として、お金やアイテムを支払うことでその悪魔を仲魔にすることができるというわけ。なるほどこれは新機軸と思った。反面、これまでのメガテン、およびデビルサマナーの目玉の一つである悪魔交渉がごっそりオミットされているわけでもあり微妙といえば微妙ではある。

ソウルハッカーズの「うむむ…」なところ

・本編シナリオ自体はすっごく薄い…


上述したように、キャラ立ちはわりといい。しかし、シナリオの流れだけを考えるとだいぶ薄味。基本的な流れとしては、
・死にかけのサマナーを生き返らせて仲間に加える ×3
・仲間の因縁の相手とのシナリオ×3
・因縁が片付いたと思いきや、あることが発生しラスボスがポップアップ
・ラストダンジョンを踏破しラスボスを撃破
となる。途中に、前行ったダンジョンにもう一回、とかの枝葉末節はあるが、そのパターンも何回もない。ソウルマトリクスをやってないと、「結局そのぽっと出のボスはなんだったの…?」みたいなことが結構ある。とくにアロウとその宿敵の話。
加えて…話の規模が大きいようで実はわりとミクロ。今回の話のキモとして、「コヴェナント」なる超パワーの奪い合い、ということがある。これは太古の昔に「大いなる存在」と人類が取り交わした力であり、5つに分かたれた上で人類のうちの誰かに宿っているという代物。これをすべて集めて「大いなる存在」を再度招来するというのが敵組織の目的であり、それを阻止するのが主人公たちの目的になるわけだが…このコヴェナントを持っているのがすべて主人公の仲間の誰かしらの知り合い、という世間の小ささよ。しかも誰が持っているかは割と初めの方で判明するうえに、話の開始時点ではすでに敵の親玉が3つくらい奪取してしまっているありさま。5つにしておく意味あった…?
とまあ、大きな話にできそうなのに、大人の事情でいろいろ省かれている雰囲気がわりとする。…真5の間引き方よりは遥かにマシではあると思うけど。

・シナリオ中の選択肢で一旦止まってほしい

ことに、物語中重要な選択をするときに起きがちなのだが…ボタン押してメッセージ送りしてるといつのまにか選択肢を選んでることが多々ある!ソウルレベルにかかわる選択肢もあるのだし、これは正直勘弁してほしかった。

こんなところだろうか。システム的にはこれまでのメガテンシリーズを簡略化した形になっており、よくいえばわかりやすく、悪く言えば平板なものになった印象。シナリオ的にも、良くも悪くもフツーという出来。悪くはない。悪くはないんだが…。たしかに女神転生ではない。しかし、「デビルサマナー ソウルハッカーズ」でもないのかというとそうでもない。デビルサマナーの生態を描いた作品としてはまずまずなんだ…。 うーむうーむうーむ…。

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