シン・ウルトラマンへのお気持ち表明

シンウルトラマンに対してのお気持ち表明。
パンフとか売り切れたから記憶だけで!

・よくも2時間でウルトラマンの来訪からさようならまでやりきったなと。基本、原作の有名エピソードをまとめた感じなんだけど、まったく無理がない。中だるみもまったくない。しかも、ツッコミどころをことごとく潰した上で話を進めるから文句のつけようもない。それでいて、「ウルトラマンはどうやって飛んでるの?」「スペシウムだ!」などとゴリ押すところはゴリ押すのでそこで笑いが生まれる。
・今回のお話としては、ウルトラマンと同化した地球人視点ではなく、異星人のウルトラマン視点で見た「ウルトラマン」ということになるだろうかね。どこぞで「カヲルくんが人間を見ている視点」という言われ方をしててかなり納得してしまった。
・この神永さん、行動がことごとく怪しげなのに笑う。とくに、ガボラ戦のあとしれっと出迎えたときのポーズが完全にウルトラマンのポーズ(庵野くんが島本先生に「ウルトラマンのポーズでいいよ!」と言われてやったときのアレ)で盛大に吹いた。
・この映画で描写されてるのはたぶん彼らの活動の一部分で、実際にはTVシリーズと同等のスパンで怪獣対処してたんだろうね。もしかしたら、ウルトラQっぽく人間たちだけで怪獣をやっつけたこともあったかもしれない。シーンを負うごとにチームとの連帯は深まったんだろうし、ウルトラマンが出張る前に自衛隊挙げて怪獣に対処しようとするところを見て「こんな小さきものが…頑張っている…!尊い…!」となったのかもしれない。ザラブ星人やメフィラス星人に対してつっぱねるあたりでは地球人に対する好感度MAXになってたから、各異星人との対話、そしてゾーフィ兄さん(今回ゾフィーじゃないのね)との対話で「いいや、わたしは地球人を守る!」(意訳)と言い切ったんだろうし。(長瀬まさみがビンタをくれるシーンでルート確定して個別ルートに行ったものと思われる)
・それにしてもあっさり(ザラブ星人の仕業とは言え)正体バレして動画拡散されましたな。まあ、このネット社会で正体がバレないのも不自然だし。なんか適当な理屈つけて「神永さんが監視カメラの範囲外に行ったと思ったらウルトラマンが出た」みたいなくだりを長々とやるのもめんどくさいだけだろう。あっさりバレするのは正解か。
・ザラブ星人の足跡を追う下りででてくる神永さんのもと同僚もなんか只者ではない。ザラブの足取りや神永さんの捕まってる場所をあっさり割り出してるし、実は先に来て公安ごっこをやってたセブンとかじゃないのかい。ザラブにしろメフィラスにしろ、まったく人間に気づかれずに地球入りしてるので、光の星側の傾奇者がウルトラマン来訪のずっと前に地球入りしてて、しれっと生活しててもおかしくはなかろう。

・巨大長澤まさみは吹いた。せめてなんかそういうウルトラスーツとか着せてあげてよ!OLのまんまはあんまりだよ!
 なお、このシーンを見て「まっだーまだーおっこられることをーいっぱいするしー」の歌詞が浮かんだアラフォー、おれだけではないはずだ!

・メフィラス。「(ことわざ)。わたしの好きな言葉です」は流行語大賞間違いなしですよ!
 こやつ、確かにやろうとしてることは地球人兵器化計画なんだけど、その過程で外星人由来の技術供与とか受けたりできるから、ザラブみたいに壊し屋に狙われたり、光の星の決定で「危険そうだから壊すね」するよりはマシなのかもしれない。たまたまウルトラマンがいたから阻止されたけど。
 そして戦闘形態がなんかスタイリッシュになってる!…目の部分がバイザーになってたりするから、これは生身というよりはバトルスーツかな?パンフレットが変えなかったから具体的ディテールを確認できない…
 撤退するくだりも、なんか気が変わったから帰る、ではなくゾーフィが来たからオイオイ地球滅ぼされるわを察知したので、になっていて納得できる。
・ゾフィーあらためゾーフィ。庵野くんは本当に山寺さんが好きね!オリジナルだとウルトラマンがゼットンにやられたあとにやってきてウルトラマンを復活させて帰っていくデウスエクスマキナだが(それ以降のシリーズでいろいろ役付けされたらしいけど詳しくは知らない)今回は地球人は危険だという理由でゼットンを野に放つという蛮行に及ぶ。たぶんゾーフィ的にはルンバを起動してお部屋を掃除するくらいの感覚なんだろうか。とはいえ話がわからない上司ではないようで、ウルトラマンがルンバをぶっ壊したら「まあ待て話し合おう」といってくれるくらいの男ではある。…小物?
・そう、ゼットン!オリジナルみたいに「ハイハイまた怪獣ねー」と思ってたら全く次元の違うやつだった、も絶望感がすごいが、
今回は「そもそも大きさが文字通り月とスッポン」というのはもう笑いしか起きなくなってる。空にゼットンが浮いて見えるとかどんだけの大きさだよ!
 やつの放つ火球が1兆度という設定が、「いやいやそれだと太陽系全部焼けてまっせ」ということになるから、単なる怪獣じゃなくてどでかい砲台したんだろうが…加減しろバカ!
 今回はウルトラマンの攻撃が豆鉄砲にしかなってない。ゼットンの方は原点にのっとってバリアとか張ってるけど、もうバリアとか関係ない。スッポンが月に噛みついたからと言ってダメージは0であるということ。そして哀れウルトラマンは反撃の機銃掃射で撃墜され、地球へと落下する…。…たしかちっちゃいビームで滅多打ちにされてたはず。スペシウム光線返しとかされてないはず。どんだけ盛ったんだ…
・今回はゼットンに倒されても死にはしない新機軸。地球に落ちる最中、ゾーフィ兄さんが「無駄だよ、諦めて負けちゃえよ」と悪い囁きをするが聞いちゃいねえ。神永さんは地球と人類が大好きなんだ。
・神永さんが意識不明の間に禍特隊はウルトラマンの新必殺技「ベータシステム二段返し」を考案した!人間とウルトラマンが協力して必殺技を作る展開というのはこれまでにあったんだろうか。シリーズ長いからありそうだけど。ともかく、プランを聞いた神永さんは「わかった。ぶん殴ればいいんだろ」とあっさりだが、小さき地球人が自分のもたらしたヒントをもとにやっと作り上げた作戦に対して疑問も何もなく「だいたいわかった」する様に揺るぎない信頼を感じる。そりゃ、政府の男(原文ママ)が禍特隊に来たときに「何かあったら躊躇なく37564だかんな!」言うわ。
・そして迎える作戦決行。その…庵野くんはバスターマシン3号が本当に好きね!
・ラストシーン。今回はゾーフィ兄さんは命を持ってきてくれてない。ただし、ゼットンをも打ち倒した人間の力を褒め称えてくれる。ウルトラマンに一緒に帰ろうとも諭してくれるが…ウルトラマンは命を失ってでも残りたいと固辞する。何回も「命と体を分けるしかないんだよ」とか念押しされても、何回も「ここにいたい」(意訳)と言い返す。そんなにも、そんなにも人間が好きになったのか、ウルトラマン…!
・そして映画は浅見さんの「おかえりなさい」でシメ。さらばウルトラマン、おかえりなさい神永さん…!

実際のところ、シン・ゴジラのときに感じた「お…おでは何を見せられたんだ…!脳内の妄想が…妄想が止まらねえ…!」のような、強烈なクソデカ感情に襲われることはなかったのよ。云うてしまえば流れとしてはTVシリーズの印象的なお話をつなげて現代的に良い感じにしました、ということなので。驚きとかはさほどなかった。むしろベムラー出さないのナンデとか、所々の問題があるとは言えバルタン出さないとか、ジャミラどうしたとかシーポーズの話が哀愁漂ってて好きなのになんでないのとかいろいろ言いたいことはあるし。しかして、そういう細かい文句を、ただただ丁寧に練り上げた作品という正拳突きの一撃で黙らされてしまった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?