『ふしぎな図書館』読後感想


引っ越してからもう4日になるのに、本の整理が一向に進みません。
なぜならやりたくないからです。

文庫やハードカバーを手に取るのはさすがに気が引けるけど、すぐ読みきれそうな厚さだと自制心が効きません。なぜなら片付けをしたくないから……


あらすじ

図書館で「オスマントルコ帝国の税金のあつめ方について知りたいんです」とたずねたぼくに、老人の目がきらりと光った。案内された地下の閲覧室。階段をおりた奥から、羊男が現れて……。はたしてぼくは、図書館から脱出できるのか? 村上春樹と佐々木マキが贈る、魅力溢れる大人のためのファンタジー。

『ふしぎな図書館』
著 村上春樹/佐々木マキ
講談社文庫


感想


いつ買ったのかさっぱり覚えがないけど、きっと昨日読んだ本を買ったのと同じタイミングなのかな。

大人のためのファンタジーとありますが、児童書として置いてても不思議じゃない感じです。非常に短く、本を読み慣れた人なら10分前後で読めるんじゃないかと。絵もついてるし。

ただ、何も解決しないし後味もよくないので、確かにこどもにはよく分からないのかも。


ぼくは日にちや時間の約束はきちんとまもる。ははにいつもそうするように言われているからだ。羊飼いも同じだ。羊飼いが時間をまもらないと、羊たちはとんでもなくとりみだしてしまうことになるから。

ほぼ冒頭にあたる部分で急に羊飼いが出てきたと思ったら、このあと閉じ込められる地下牢で自分の面倒を見るのが羊男なんですよね。
伏線ってほどの何かは感じないですが、とにかく話全体を一本の糸に整えたいのかなと思いました。

そして、作中の羊男は非常におどおどしている。なぜなら、気に食わないことをしたら自分を厳しく管理する老人に柳の枝でぶたれるから。

この時点でわりとぶっ飛んでる気がしますが、老人の目的が「牢屋に閉じ込めた人間の、知識が詰まった脳みそを吸う」ことらしいので、ぶっ飛び具合はとめどない……

そんなことをされたらたまったもんじゃないので、「ぼく」は羊男を誘って機を見て脱出を試みる、というSAWもびっくりの展開。絵のタッチと文体は穏やかですが、物騒極まりないです。


最終的には脱出に成功しますが、ペットのムクドリは脱出の企てがばれて老人に殺され、母親は数日後に死に、牢屋で手引きしてくれた少女は死んだムクドリだった可能性があり、と脱出できたこと以外何もいいことはありません。

これがきちんとした(?)児童書だったら、おそらく「ふしぎな図書館」を出たあとは外の時間は全く過ぎておらず、自分を地下に案内した受付のお姉さんとは違う人がカウンターに座っており、狐につままれたような顔で帰路につくんでしょうが、この後の「ぼく」に待ち構えているのは、身寄りを失った小学生の一人暮らしなので救いようもなく……


本編読んでるよりこれを書いてる方が断然長いですが、いい暇つぶしになりました。
誰かが思わず吸いたくなるほどのいい脳みその形成に力を入れつつ、片付けを再開します。

がんばるぞ💪


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