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2024.05.09

なんだか朝から気分が良くないので、仕事の前に気晴らしに家の外に出た。

近所に、朝も朝からやっている宝くじ屋がある。そんなに朝早くから営業して意味があるのかと思うが、仕事の前に全てが嫌になった人が救いを求めて行くのかもしれない。私も、数百万でも当たれば人生が好転するのに、と思い行こうとしたが、確実に利益が得られないものにお金を払うのが嫌で、行くのをやめた。

最近は春を通り越して夏のような暑さだったのに、今日はひんやりして冬が戻ってきたかのような気温だった。タンクトップの上に厚めのトレーナーを着ただけでは寒くて、家に戻って上着を持ってこようかと思ったがそれも嫌で、家を出て目的もなく歩いた。歩き続けたら体も温まるかと思ったが、弱く冷たい風が体に当たって少しずつ冷えていく。もうこれはダメだなと思い、モーニングをやっているパン屋に入った。

パン屋に入っても、暖房が強く効いているわけではないので、暖かさにホッとすることはなかったが、それでも冷たい風に当たらない分、だいぶ心地が良い。モーニングは全部で4種類。そのうちのトーストにラクレットチーズをのせたものとサラダとドリンクのセットを頼んだ。

仕事の疲れが残っているせいか、最近はボーッとすることもできない。うまくボーッとしようとするが、心のどこかに焦りがあって落ち着かない。モーニングのセットが届くまでの間、店内に流れる音楽を聴いたり、壁にかかるディスプレイを見たり(お店の紹介動画が流れている)、足を組み替えたりしながら待った。

やけに忙しなく、店員さんがトーストとサラダのセットを運んできた。セットを頼むときにみたメニューの写真よりも多くのチーズがのっている。店内にモーニングを食べる客は私しかおらず、パンを買いに来る客も、パラパラと2〜3組が時間を空けて来るだけだった。休日は駐車場が列になるほど人が来るのに、平日のとりわけ朝早い時間はそれほど人が来ないのかもしれない。

葉野菜の多いサラダを、うまく食べることができない。柔らかい葉をフォークで刺して、硬い芯の部分を留め具のようにして刺す、口に運ぶ。しかし硬い芯の部分がなくなり、柔らかい葉だけの状態になってからが困る。留め具がないので、フォークにうまく刺さらない。人が見てるわけではないから別に困らないが、もしサラダを上手に食べる動画があれば見てみたいと思った。

食べ終えて、店を出る。家に持ち帰るようにパンを買おうと思ったが、パンの単価が高いので、気晴らしにしては高くつくと思ってやめた。

そのまま家に帰るのが嫌で(スマホに、仕事の修正指示の連絡が何件も来ていた)、遠回りして帰ろうと、直線に歩けば家に着くところを左に折れた。
しばらく歩くと、古びた家の門に、たくさんのチラシが貼ってある。『猫』という文字が見えたので気になってみると、猫のグッズを集めたイベントについて書かれていた。猫は可愛いだけでなく、商品化すれば必ず買う人がいてすごいなあと思いチラシを見ていると、一箇所、蛍光ペンで四角く囲んである。よく見ると、四角の中は、まさに私が今立っている古びた家の写真で、どうやらここは、休日には猫のいる古本屋として営業しているらしい。近所にこんな素敵な場所があるのか!と嬉しく思い、「ご自由にどうぞ」と書かれてはいないが持ち帰り用に数枚束ねてあるチラシを一枚とって鞄に入れた。

さて、帰ろうかと思い右を向くと、家の駐車場部分にあたる場所に、古本の並んだ本棚があった。無人で古本を売っているらしい。こんな素敵な場所があるのか!とまた感動して、小さな本棚を念入りに見て、貯金箱に50円を入れて一冊の本を買った。

そろそろ冷えて来たし、仕事の連絡が気になるので家に帰った。

毎日こんな風には過ごせないけど、たまにはいいものだなあ。


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