20,000ドルを熔かした男　-駐在サラリーマン転落の序章-

2020年某月、

高鳴る希望と高尚な意志を胸に、私はシンガポールに赴任した。

そう、世はコロナ黎明期、
各国が未曽有の事態に混乱する中、
激励会や送別会をしてくれた人、空港まで見送ってくださった方々の顔を思い浮かべつつ、

社運を背負ってここに来た！

まあ見ていろ！この日本にも必ず絵空事を描けるヒーローがあらわれる、、、、

It's me！Haha:)

などと思いながら少し背筋も伸びていたであったろう、鼻歌も歌っていたかもしれない。
颯爽と風を切ってチャンギ空港ターミナル4に降り立った、あの時の興奮を覚えてる。
水際対策のため少々イレギュラーなイミグレの手続きを、
あぁこれね、うん、知ってる知ってる、
と理解してる風を装い、スマートに切り抜けた。

ように見せかけたりしていた。

要は調子に乗っていたのである。

今日から俺は！！
海賊王に、おれはなる！！！