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本、映画、音楽、日常のあれこれ

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最近の記事

『忘れられた日本人』宮本常一 著を読んで

総論 この本を読んで、民俗学という学問が好きになりました。日本人とは何か?という果てしない命題に対して、膨大な質的調査から答えを見出そうとする、揺るぎない意志の故に成り立つ学問だと感じたからです。一見地味に見える学問かも知れませんが、蓋を開けてみると生命力で溢れている。問いへの好奇心と執着が私を奮い立たせてくれました。 傍流でいること 渋沢栄一の子、渋沢敬三が宮本に残した言葉で印象的だったものがあります。 「大事なことは主流にならぬことだ。傍流でよく状況を見ていくことだ

    • 『生きて帰ってきた男』小熊英二 著を読んで

      歴史とは この本を読むと、歴史とは何かが分かる。歴史とは、「語り手と聞き手の相互作用によって作られるもの」である。我々の存在根拠は、他者や過去との相互作用によってしか得られないのだ。 ストーリー 小熊英二氏が父である謙二氏にインタビューを行い、戦前、戦中、戦後の日本社会や生活様式について綴った作品である。特に、シベリア抑留から帰国した際の賠償裁判の話は興味深かった。 謙二氏曰く 「大体、国のために戦うとは生命を失うこともある行動です。それは命令された或いは志願するか

      • 『死と愛』 フランクル著 を読んで

        何のために生きているのか? 生きていれば人間一度は問うたことがあると思う。 夜と霧で有名なフランクルが本書では医学と哲学の狭間(ロゴセラピー的観点)から、生きること、死ぬこと、愛することの意味を綴っている。 —————— ◆生の意味 フランクル曰く、生きることの意味は3つある。 ①創造価値 ②体験価値 ③態度価値 この中でフランクルは③態度価値を重んじた。変えることのできない運命に対して、自身が如何なる態度を取るかで生きる意味を見出すということだ。曰く、「生きるべき「

      『忘れられた日本人』宮本常一 著を読んで