見出し画像

舞台『はら、はらり』江戸衣装のお話。〜佳の江編〜

今回の衣装は、豊島屋二番手、佳の江❣️


女房のような優しさで包み込む、二番手佳の江。

最初の衣装プランスケッチはこちら。

画像1

このスケッチを最初に見たときはなかなか大変なんじゃないかと思ったんですが、予想に反して比較的スムーズに決まりました✨

佳の江の衣装はねぇ、、、一言で言うなら【おふとん】❣️🤣

佳の江の打掛:通称《おふとん》

まず最初に決まったのが、緑色の打掛。
衣装を探し始めてかなり初期の頃に、ネットオークションでびっくりなお値段で入手しました。

佳の江以外の花魁の打掛は、普通の振袖に自分たちでふき綿(裾の綿)を縫い付ける加工をしたものなのですが、佳の江だけはまんま本物の打掛。

地の布から、刺繍から、裏地から、そして全体にみっちりみっちり入った綿が、、、それはそれは、、、
重い❣️❣️

あのお値段で落札できたことを考えても、おそらくちょっと古いものなのだろうと思うのですが、こと和装に関して、昔のものの方がものが良いっていうのは、まぢであるある。今新品で打掛作るとしてもこんなに綿詰めないと思う👀
衣装探しの過程で打掛もお店で何枚か見せて貰いましたが、その中でもやっぱり佳の江の打掛は群を抜いて重かったです。

畳むときにふとんを畳んでるような音がするし、持ってみたときのサイズ感と重さがまさに布団なので、通称が《おふとん》になりました🤣

ゆるのっちもまなみんも劇中涼しい顔であの打掛を捌いて芝居したり踊ったり色々してましたが、、、、けっこう大変だったと思う👀
だって想像してみて❓布団被ってるのと同じなんだよ❓しかも羽毛の掛け布団じゃないからね❓綿のきっちり詰まった敷布団の方なんだよ❓🤣
W佳の江、本当にお疲れさま✨

画像2

パッキリとした緑の地色に、分厚い金糸の御所車刺繍。アクセントに鮮やかな赤が入ったこの打掛を中心にコーディネートしていきました。

《心》結びの帯

佳の江の帯はまず、その結び方について語りたい❣️

佳の江の帯は、たれを三枚垂らす五角形の帯結びにしていました。
この五角形が、《心》という文字を象っているんです。

東京国立博物館で開催されていた特別展「きもの KIMONO」のなかに、遊郭の太夫の着付けを紹介する展示があり、その帯結びが紹介されていたんです。
もうその展示(映像展示だったんですけど)の前に陣取って10回くらい観てました。これは使えるぞ、と(この辺りがいかにも素人です🤣)。
ただそのときは、稽古もまだ始まっていませんでしたし、誰にこの帯結びをするかまでは考えていませんでした。

ヴィジュアル撮影の日にも着付けスタッフで入ってくださっていたゆかさんと、その話で盛り上がった翌日になって不意に降りてきて、「あ。佳の江を心結びにします」と、ゆかさんにお願いしました。

だって「女房のような優しさで包み込む」というキャッチコピーの佳の江ですから、これほど相応しい帯結びもないでしょう✨
実際、、、主人公一蓮は失意の中の人だし、現一番手の高尾は多分「心なんかくそ喰らえ」ぐらいに思ってる感じがありましたし🤣

ヴィジュアル撮影後、本番衣装では伝説の一番手花魁紫も同じ心結びにしたのですが、これは私が密かに考えたエピソードが。。。
ま。でもこの話は、紫の衣装を語るときに取っておくことにしましょう。

帯のお話、その②

衣装スケッチの鮮やかな黄色の帯。
正直最初は、このビビットな黄色の帯探しが難航するのでは、、、と思っていたのです。

今回の花魁着付けでは、お端折りまで隠してしまうくらい帯幅を広く着付けるため、名古屋帯ではなく袋帯を探す必要がありました。
でも袋帯というと基本的には礼装に着用するものなので、黄色に限らずビビットな色ってけっこう少ない印象がありました。
黄色は黄色でもクリーム色っぽいような淡い色だったり、地色ではなく柄に入っているものは、ちょくちょくあるんですけどね。

ところがあっさりネットショップで発見しました。しかも柄に緑が入ってる❣️
清花編でも書いてましたが、打掛のあるなしで印象があまりに違うことのないようにと気をつけてコーディネートしてたので、帯に打掛の色が入ってるとかもう、万々歳なわけです。

しかも。
”優しい“がキャッチコピーだとしても二番手を張れるだけの実力を持つ花魁だし、“あの選択”をできるほどの想いのある人なわけですから、漠然と、優しい“だけ”ではないキリリとした雰囲気もある衣装にしたいなと思っていたところに、ぱっきりした黄色に大きくあしらわれた緑の菱模様の帯が、イメージにぴったり❣️
見つけた瞬間「あ。これやん」と声が出ちゃったくらいの出逢いでした。

ふたりの佳の江

W佳の江の一番の違いはね、身長差❣️🤣
衣装探しのためにみんなのサイズをもらったとき、その身長差が明らかすぎてちょっと面白かったσ)>ω<*)
稽古中もね、同じシーン稽古してて何度か、まなみんが見えないって話になってミザンス調整してるの、私実は好きだったんだ💖
ま。そんな私の萌えの話はともかく🤣

打掛の緑がかなりはっきりと濃い緑だったので、2人のお着物は当初のスケッチの青から、少し柔らかなエメラルドグリーンの地色に変更。
打掛に入っていた赤い花のアクセントに合わせて、半襟はスケッチ通りの赤で行こうと決めていました。

背の高い方の佳の江、撫子のゆるのっち。
ゆるのっちの着物コーディネートは素朴さとシャープさのバランスを意識しました。
美人顔に映える青紫の柄が印象的に配されたお着物は、お花と同じくらいの分量で葉の茂みの柄行きが施されており、それが佳の江の故郷とリンクしているように思ったのです。
赤い半襟の紫のハート形は、実は蔦の葉っぱをあしらった柄。華やかさの中にも故郷の自然を思わせるものに。
あと一年。迫った年季あけを待ち侘びる気持ちを、こっそりと身に付けるものにも忍ばせて。

お着物自体が全体的に柄感が強めだったので、帯揚げと帯締めは打掛に合わせて緑系のグラデーションでまとめました。


まなみんのお着物は咲匂さん所有のお着物で、何年か前にも衣装で着ていたお着物だそう。全体的にふんわりした色合いの中に、優しげながら力強い鳳凰の柄が、まなみん自身の優しげだけど芯がある雰囲気にぴったり。
赤い半襟は素朴な梅の花をチョイスしたところ、、、、
まなみん突然の大興奮👀まなみんの敬愛する歴史上の人物が梅の花が好きだったそうで、それでまなみんも梅の花が大好きなんだそうです。

まなみんのお着物が若干柔らかい色合いだったので、帯揚げを打掛の色に合わせた濃い緑、帯締めを半襟に合わせた赤い太編のものにして、まなみんのテンション上げのために、帯揚げの飾り結びも梅の花にしました✨

あ。まなみんは着付けスタッフとして本番も入ってくれてましてね、

ここには写真載ってないけど、確かゆるのっちの千秋楽のタイトルは故郷の村の名前でした。
この愛の深さよ💖

ここまで読んでくれた皆さま、ありがとう

まぁ色々書いてはいるんですけどね、選んでるときにここまで決め打ちして探してるわけではもちろんなくて(もしそうだとすると予算と時間がいくらあっても足りない(^◇^;))
主に色合いや雰囲気のインスピレーションで「これ」ってなって、後から「なんでこれだったんだろう」って考えた後付けだったりするのですが、不思議と物語が繋がっていくんですよね。

そういうときって、作品や役が神さまに愛された証しなのかなって思う。
そして『はら、はらり』は間違いなくそんな作品でした。

2021年1月31日までは配信のアーカイブが視聴できますし、DVDも販売しています。もしよかったらぜひご覧ください✨

さて、次は。。。あの人ですかね♪ お楽しみに〜💖






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?