クロロホルム #1

先史時代、シャーマンによって頭蓋に穴を開けてもらうことで頭痛を治そうとしていた時代があったらしい。物理的な手段でもって内なる邪悪=痛みを追い出すという発想であったと考えられている。
そこから古代エジプト時代(紀元前1500年頃)になると、包茎の手術のためにケシやヒヨス(植物)を局所麻酔的に使った痕跡が見つかり始める。神殿に勤務する貴族には必要な清潔を担保するための儀式だったらしい。
物理(魔術)→植物という発想から、抽出物、すなわち、薬としてのエーテルを鎮痛に使いだしたのはルネサンス期のちょい前(1540年)だという説がある。
その後、1800年代になってようやく「麻酔」という概念が生まれて、エーテルが麻酔の手段だと正式に発表されたのは1849年12月らしい。
そんなルネサンス期から300年くらいの歴史を経てようやく麻酔手段として認められたエーテルをあっという間に駆逐したとされるのが、実は1847年に麻酔作用が発表されていたクロロホルムである。
無痛分娩の歴史の始まりの1つとして有名なビクトリア女王の出産(1853年、1857年)に使われたのもクロロホルムで、この無痛分娩が麻酔という手段の普及に貢献したという説もある。

参考


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?