ウエットティッシュにリドカイン

ニートの朝は遅い。私は最近いつも午前10時くらいに起床している。
大体、その時間に起きて朝ごはんを用意して(又は用意してもらって)、ご飯を食べながらテレビを見ようとすると、テレビショッピングが放送されている。私が物心ついたころから恐らくほとんど変わってない抑揚の激しいセールストークはある意味「一本調子」で、水戸黄門を見ているときのような予定調和に対しての安心感を覚える。そんなテレビショッピングでお馴染みの健康食品等(サプリメントとかのこと)についての話。

厚生労働省では平成13年(2001年)から、無承認無許可医薬品等買上調査というのをやっているらしい。これは、(ネット販売含め)日本国内に運営者や店舗がある健康食品等を対象とした調査らしく、健康食品等と言っておきながら無許可で医薬品成分を忍ばせて売ってないかを調べるものらしい。
令和3年度版の調査報告を参照すると、調査した134製品の内3製品から医薬品成分が検出されており、検出された成分はリドカインとテトラカインであった。

このnoteで取り上げたということから察した人もいるかもしれないが、リドカイン、テトラカインは麻酔薬である。どちらも似たような名前であるところから察しがつくように似たような仕組みで作用する薬で、ナトリウムチャネルという神経の電気刺激による伝達に必要な機能を阻害することで、麻酔作用を示す。
リドカインは他の○○カイン系の麻酔薬の効力(固有効力)や毒性を比較する際にも使われる言わばスタンダードな麻酔で、リドカインの効力・毒性をそれぞれ1とすると、テトラカインは効力9.5、毒性4.3と評価されている。

ところで、この麻酔薬が検出された製品が何だったのか調べてみたところ、健康食品等と言われていたが、いわゆる、早漏防止用のウエットティッシュであった。リドカイン、テトラカインは表面麻酔(歯茎とか粘膜に塗るタイプの麻酔)ができる麻酔薬なので、恐らく、男性器を薬品入りのウエットティッシュで表面麻酔することで男性器の触覚を麻痺させて早漏対策、という発想だったのだろうと推測される。
表面麻酔に足るような濃度をウエットティッシュで保持できるのか、表面麻酔をされた男性器は勃起するのか、麻酔付きの男性器を挿入された女性器(粘膜)から麻酔が吸収される可能性は考慮されていたのか、麻酔の持続時間、製品の消費期限、開発者は使用感をテストしてみたのか、など色々な疑問は浮かぶが、考えているうちに興味が沸いても困るので一旦考えるのを止めた。
あやうく倫理観まで麻痺してしまうところであった。

参考:


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?