海外支社は本当に大変だった

2012年当時、『単車の虎』というゲームが好調で、海外に支社でも作ってみようかと調子に乗ってしまい、2012年12月タイにDonuts Bangkok Co., Ltd.を設立した。

海外支社として最初に思いつくのはアメリカだが、他経営者から競合も強いし、人件費高すぎてやばいよ、という話を聞いていて、それなら人件費が安い発展途上国でどうかということになり、昔行ったことあったタイにすることにした。

立ち上げにあたってビジネス系の洪とエンジニアであるが万能な荒金をアサインした。また、よくいる駐在のように、いいマンションに住み遊び呆けていても、成功するイメージがなかったので、タイ人の給与水準に下げてタイ支社の立ち上げをやってもらった。ハングリーに、ビジネスを立ち上げるために必要なことであるが、これを快諾してくれた彼らはすごいと思う。
余談だが、当時、タイに支社があったIT企業はいくつかあったが、現在はほとんど撤退している。今でも成功している会社があって、同じように日本の給与水準ではなく、現地の水準に合わせて給料を下げているそうだ。

こうして立ち上がったDonuts Bangkokでは、まずゲーム『暴走列伝 単車の虎』のローカライズ事業から始めた。タイのアプリゲーム市場でTOP30に入るほどになったが、そもそも当時のタイはアプリゲームの市場も大きくなく、トップ30でも売り上げ100万程度で、運営費が補えないため、ゲーム事業自体は2年でやめることになった。

ゲーム事業運営の傍ら、タイ支社はガールズメディア事業をやり始めた。
当時、日本では女性向けキュレーションメディアビジネスが盛り上がっていて、Donutsも同様のキュレーションメディアを運営していた。
そこで、キュレーションメディアのソースコードをタイ支社にまるごと渡して、『SistaCafe』というサービスが立ち上がった。

元となった日本のキュレーションメディアは他社に売却をしてしまったが、タイでは市場の流れにも乗り、2017年頃には『SistaCafe』は同国でのNo.1女性サイトにまで成長した。それでも、タイは広告費が安いので、収支としてはトントン。

『SistaCafe』をやっていく一方で、日本では、『ミクチャ(旧MixChannel)』の事業をライブ配信にシフトチェンジしようとしていた。そのタイミングで『SistaCafe』同様に『ミクチャ』のソースコードを渡し、タイで作ってもらったのが『Vibie』というライブ配信サービスだ。その後『Vibie』は独自の機能などを取りいれ、急成長し、タイでありながら毎月数千万の利益が出ている状況になった。

同じように、韓国支社にも、『ミクチャ』のソースコードを渡し、ライブ配信サービス運営をしてみたが、あえなく失敗して現在は閉じている状態だ。
他社サービスは成り立っているところを見ると、決して市場がないわけがなく、適任な責任者をアサインできなかったのが、主な原因に思える。

タイを皮切りに、調子に乗ってベトナム、韓国と作った。ベトナムは失敗、韓国は苦戦中、タイは成功しているというのが現在の状況。
海外支社という響きがよく、楽しそうで始めてみたが、非常に大変で、責任者には会社を作って成功させるくらいの能力がないとおそらく成功しないと感じていて、今は軽はずみに立ち上げたくないなというのがこれまでやってみた感想だ。

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