『知の教科書 ライプニッツ』+ 『モナドロジー』 読書ノート

※僕が理解した範囲・重要に思えた部分のメモなので、全体を網羅したものにはなっていません。参考程度に読んでいただければ幸いです。
※おおよそ書籍の内容に沿った要約ですが、個人的な補足やメモ、考察を含みます。これらは大抵 ※米印 がついてます。

『知の教科書 ライプニッツ』

1 ライプニッツを読む

1. 1646 ドイツ生まれ。ハノーファー公の顧問官。未婚。私生活については知られていない。
2. 最大の貢献は微積分法(ニュートンと同時期)とされる。物理学論文も多数。
3. 哲学の中心は「哲学的神学」→『弁神論』…神の善性を弁護するもの
4. 時代的コンテクスト… ①三十年戦争など戦乱 ②宗教改革継続→和解への道 ③科学の急速な成長
5. デカルト・ガリレイ・パスカル後。ボイル・フック・ニュートン、スピノザ
6. 著作膨大で全集は40巻。代表『モナドロジー』『理性に基づく自然と恩寵の原理』『人間知性新論』『弁神論』
7. 特徴① 相互連関…デカルトが「我在り」一点から始めたのに対し、ライプニッツは相対的な立場。連関的
8. 特徴② 様々な視点の調和…多視点・ザッピング的。視点への関心
9. 特徴③ 対話…膨大な書簡。応答や手紙から著作が書かれている。コンテクスト依存が大きい
10. 特徴④ 表出…象徴とか表象とかに近いっぽい。翻訳。対置。

2 神と最善の可能的世界

1. 重要原理 ①矛盾律(同一律) →「Aと非Aの両方が真であるのは不可能である」
2. ②充足理由律 → 単純にいえば、因果関係がはっきりしていないとダメ → 「すべての結果には原因がある」
3. 原因を「なぜ?」と問い続けていくと、究極的には「なぜ世界は存在するか」「神とはなにか」など原理的に回答不可能な質問にまで突き当たる。
4. 出来事を二分 ①偶然的心理 → 充足理由律に属する ②必然的心理→矛盾律に属する
5. 可能世界論 → ここではシンプルに、例えば医者であった私-料理人になった私、といった偶然的な結果を考えて、これらの世界はどれも存在可能、というところからの延長。

6. ここで弁神論がはじまる。神は必然的存在。偶然的なこの世界の原因の大本として存在する。必然的存在=神は、自分自身によって原因を担保できる。そして神は知的でなければならない。偶然的な状態からこの世界を参照できるため。シュタゲで言うところの世界線を観測する目、みたいな言い換えが出来そう。量子論でいう「観測」に近い考え方に思える。ライプニッツの場合ここでは「選択」する「意志」が必要と考えるので、神は知的存在。

7. デカルト式の神の証明 →完全性由来。概念由来を基本的にはライプニッツもなぞるが、限定をかける
8. 「神が存在するなら → それは必然である(偶然存在したのではない) →これ以上の説明不用」
9. 必然的心理は神に属する → ここでは三角形の例 → 物理法則とかにも言えそう
10. 科学に埋め込まれた秩序が神を指示している → ※時代は異なるが、例えば黄金比やフラクタルとか、遺伝子のプログラミング的構造なんかを見たとき「誰かの意図があるとしか思えない」といった感覚の話っぽい。ポイント は、科学的な発見・知見から神の存在を証明できると考えていること

神の本性
11. 二つの反論 ①世界は偶然的でなく必然的では? ②世界は偶然的だが神の選択も偶然的では?
12. スピノザは ① の立場に近い。世界そのものが必然的=神 → 神の恣意性・必要性は失われる。汎神論
13. またこの「世界が必然的」という立場は予定説にもつうじて自由・責任を崩す。つまり道徳性を失わせる。
14. ※ここ、ニーチェと非常にかかわるところ。ニーチェ的には、スピノザの世界観を採用しつつ、ライプニッツの道徳を失わないための考えが永劫回帰+超人か。
15. 神と善のパラドクス → 神は悪を為すことができるか?
16. 神と善の関係をとりなそうとする議論は難しい → 人間には神の善が何かを判別する能力がないため。このような神は悪しきものと区別がつかなくなる。(例えば神が殺人=善と考えていた場合)

17. 意志とは=選択を行うこと。このため意志には対象が先立つ。選択しないこと=偶然に任せることと同様
18. デカルト等これまでの神の証明は → 神の善性を犠牲にして全能性を優先してたもの。ライプニッツは逆の立場
19. ざっくり言えば、神の善性(運命)は神にとって必然的なもの、神の存在の本質の一部とする方法

20. 神の知性とは何か? → すべての可能な世界の組み合わせの結果
21. 神の持つ観念を二つに分ける。「三角形」みたいな必然=非充足的な概念と、ある人間個人のような偶然存在
22. では神はどのような意志を持つか = どのように「この世界」をすべての可能世界から選び出すか?
23. 答え:神は「無限に賢明」であり、「必然的に善」であり、賢明=善なので、最も賢明=最善な世界を選ぶ
24. ライプニッツの目的は 「充足理由律を神の善を共に維持しようとする」こと。自由意志ではない

あらゆる可能的世界の中の最善のもの
1. 最善の世界だって? じゃあ偶然的に不幸な人はどうなる? →善人が苦しみ悪人がのさばってるのは?
2. 悪の問題(なぜ神は悪人を存在させているか)
3. 3つの命題 ①神は全能である ②神は善である ③世界は善である →一つ諦めると整合性が取れる
4. ライプニッツは3つを修正することでどれも諦めない ①神は「可能な世界において」全能 ②神の善は人間が考える善よりも広い範囲を含む
5. ライプニッツ…悪を3分類 ①形而上学的悪=不完全 ②物理的悪(身体的)=苦痛・苦難 ③道徳的悪=罪
6. この3つはどれも、「有限性-不完全性」からもたらされるものと考える ⇔ 神は無限・完全

7. 主張1 存在しようと努めることは存在者の本性である
8. 主張2 存在とは力である (スピノザに近い)
9. 完全性のいろんなイメージ ①秩序・単純性・斉一性 ②多様性・豊饒性 矛盾しそうな二つの価値
10. 科学のアナロジーで説明 → 最もシンプルな答えが多様なものを説明する

まとめ
11. ①世界が存在している → 存在しないことより存在することの方が完全である (欠落は不完全=悪)
12. ②神は完全 → より世界を完全に近づけるため、世界の可能性が許す限り創造を行う
13. ③矛盾しないものは可能 → 矛盾しない限り最も多くの事物を存在できる「最善」の世界 → 秩序が必要
14. ④よって、完全性は、最大の多様性と(それを可能にする)最大の秩序を要求する
15. ※言ってしまえば、より豊かな=いろんなことがある世界が、「善」であるということ。

16. 世界が不完全に見えるのは、いわばバランスによって生じた犠牲の部分。 ①多様性 ②秩序 ③個別の存在 における必要性がお互いにバッティングしてる。
17. ここで人間は「動物よりもより完全」という存在だが、究極の存在ではない。また、ライオンという種全体と人間の個人を比べると、ライオン全体が選ばれる可能性がある
18. ここで完全性には「程度」がある。人間はほかの動物よりもより「完全的」であり神に近い。
19. 神は善を「意志」し、(その善を為すため仕方なく生まれた)悪を「容認」する

20. なぜ悪があるか → それが完全性・調和に寄与するから。 苦痛がなければ達成もない、みたいな話。不協和音
21. 病気がないと健康の歓びが分からない。苦痛がなければ快楽が分からない。
22. 目的因の(限定的な)復権 → 世界に調和というか全体法則を仮定して、個別のもの例えば「目-視覚」を考えるとき、アリストテレス的に「目がものを見たがってる」とは思わないが、神が世界の秩序において「物をみるために目をデザインした」というようなところで目的を認める感じか。
23. ※ここ、フーコーとも関わりそうなところ。世界の調和-秩序の重視。
24. ※さらに ポイント ここで神の目的を理解するために自然科学の発展が善=神の意志と捉えられること
25. 「彼は特に科学の喜びについて語るが、この喜びはまさしく、多様な現象の背後に隠れた秩序を見出すところに存するものである」→知識・知的快楽こそが最も善い=神に近いもの

3 実体

初期近代哲学における実体概念
1. 単純な実体 = モナド = 単子 (ギリシャ語での1=モナスに由来)
2. 二側面=変化と同一。 「実体」はおおよそ「物」と考えればOK。
3. 実体の3属性 ①独立性 ②単一=統一性(まとまってる) ③永続・持続性
4. 初期近代(スピノザまで)は、物-性質は区別され、「世界が質の相互作用に過ぎないかもしれないという可能性を真剣に考えることがない。
5. アリストテレスの「形相」概念 → もののカタチ+性質。機能を含んでる。椅子とテーブル →テロスを含む
6. デカルトの転回 →物質的なものと存在との切り離し。質が変わっても実体は変わらない。
7. 経験主義と科学主義が「実体」を個の本質と考えるやり方に疑問を突き付ける。
8. ①実体は経験と関わらない ②科学は実体の目的因を拒絶する
9. 二つのアプローチ… ①スピノザ・デカルト → 実体は1つ=世界そのもの ②実体は構成要素=原子論

ライプニッツの実体論
10. 結論 ①実体は相互作用しない ②物体は実体ではなく、よく基礎づけられた現象にすぎない
11. 科学と宗教をどうにか和解させたい →実体論が弱まるとキリスト教的に危ない
12. 結局のところ「存在とは何か」「実体とは何か」「生命とは何か」等の話。あるいは部分と集合。
13. ①物理的原子 → ライプニッツの批判 →常に半分に切れるので素粒子に終わりがない 無限の分割
14. ②連続体 → ①と逆に、存在が「連続体」と考える →物体が連続の内にしか存在できない
15. このアポリアを解決するため モナド が導入される。
16. モナドは 「非物質」で「知性に似た単純実体」「形而上学的点」「実体の原子」「形相的原子」

17. 「よく基礎づけられた現象」 → 実在…人間を含む実在を「現象」の一種として考える。ただし、「よく基礎づけられた現象」虹の例が挙げられる。虹は視覚にとっては存在 → 触覚にとっての存在=現象がいろんな事物。ここ、現象学 っぽく考えてるのが興味深い。一種はじめて「質の相互作用」で世界を見ることに一歩踏み出してる。
18. 「空間とは、有限な精神が個々の無限のモナドを知覚する在り方である」
19. 「空間と時間は人間精神の中にある。このことが空間と時間を現象たらしめている」

20. ポイント → ①科学は世界を分割しようとする。顕微鏡とか。②哲学は単一の存在を考える → 調和させたい
21. ライプニッツが難しいのは、この矛盾する二つが入り混じってるから。科学と哲学両方を突き詰める
22. 羊の群れの例 → 群のような存在を考えると、「単一性」が相対的なものに見える

23. 運動は時間的なものなので → 実在ではありえない → 運動もまた「よく基礎づけられた現象」
24. ①原始的力 = 存在と関わる。形而上学的な力。ものに内在 ②派生的力 = いわゆる自然科学的知から
25. 原始的力 → テンテレケイア=エンテレヒー → 一種アリストテレスのテロス的なものの復活
26. たぶん「不可入性 =反発」 って言ってるのは個別の存在が他者とまじりあわないような力のことか
27. ポイント ここで「魂」の語が出てくること。科学と魂をなんとか調和させたい。
28. 「物質は現象的なものである」

宇宙に対する視点としての実体
1. モナドと原子の違い → 原子は同一。モナドはそれぞれ異なる。そうでないと多様な世界ができない
2. 単純実体=モナド → 複合的実体 = モナドの集合体
3. 「単純実体―すなわち、生命、魂、精神―は単一体である」「至るところにある」
4. モナドは「宇宙と同じ長さだけ持続する」
5. モナドは「形を持ちえない」
6. 「モナドは鏡である」 は大体神様との関係を自然科学とモナドに移したようなものだと考えればよさそう。モナド同士は相互作用しないんだけど、モナド全体の中では関わっているというような。個人-個人では関わらないが、個人-世界は関わる、みたいな。

7. ※ここまで読んで、やはりウィトゲンシュタインが言うような「語り得ぬもの」についてライプニッツが語っている、という感覚は否定できない。これは素粒子物理学がまだ十分な知識でなく、宗教的「愚昧」が当然視されていた時代の「上書きされるべき」疑似科学・疑似世界観なのではないのか? ここには「世界の説明・解釈」という目的があるためそのような問題に行き当たる。当然今私たちが抱いているこの「常識」も100年後には同様に全くの間違いとなるかもしれない。問題は、それが無限の解釈を生み出すことだ。
8. ※それはそれとして、VR世界とモナド=アカウント、みたいな見立てはどうか。あるいはマトリクス的な

9. ここでモナドは生命・意識と関わっている。ライプニッツは動物も魂を持つと答える(デカルトの拒否)
10. スピノザに近づくが、「あらゆる小さな部分に魂の世界がある」ことを語る
11. 例えば水の中の大量の微生物を証拠。また、神の多様性の概念を再び持ち出す。
12. モナドは「非物質的な自動機械」 →自ら変化の方向を引き起こせる

相互作用と予定調和
1. 「実体は相互作用しない」 → 鏡の話と対。全体を含んでるから必要ない。実体は自足的で不変
2. ポイント 心身二元論を乗り越えられる
3. モナド同士が相互作用と仮定する → モナドの独立・単一性・不変性が侵される →矛盾するため
4. モナドには窓・扉が無い → 他のモナドが入り込むことが出来ない → 相互作用不可能、という話
5. モナドのもつ「世界観」のようなもの。自我・視点から生まれる世界の表象。

6. 予定調和 → 心身の相互作用に対する回答。これまでの「機会原因論」 →簡単に言えば神の手で体が動く
7. 解決① 唯物論か唯心論に依拠する。心身二元論の放棄
8. 解決② スピノザ式 →精神と身体が並行・統合されたやり方で活動。相互影響はない
9. 解決③ ライプニッツ。予定調和。相互作用をしてないが、もともと作られた時点で調和するようできてる
10. ※まあ「一にして全、全にして一」みたいな考え方っぽい

11. モナドは不滅。破壊されない。宇宙と同じ時間続く。

4 理性的精神

微小表象と意識のレベル
1. デカルトでは人間-動物の関係は明確。動物には魂がない。ライプニッツは動物に魂・精神を認める
2. さらにモナドで → すべての実体…岩や植物も意志(モナド由来)を持つとし、なおかつ不死である
3. では人間を他から隔てるのは → 「理性的精神」で「神の表出」
4. 「意識的表象」人間が持つ。さらに常に発動してるのでなく、感情と意識で行動してるときのみ表れる
5. ※ここに意識的認識の「度合い」があるのが革新的なポイント。もっと言えば「寝てるときは精神があるのか」という問題。ロックは経験原理主義。生得的な知識は存在しない。
6. 「微小表象」無意識というか若干ユングの共時性・集合無意識っぽい話。
7. もっとシンプルに、経験された記憶でも思い出されないまま(つまり無意識的に)人間に影響を与えてるよね、という話。自分で思いついたと思ったけど他人のアイディアだったことを忘れてた的な。

8. 意識の減少額 → ①連続率 眠ってるときもなんらかの形で意識は継続してる
9. ②単純さも複雑さと関わってる → ぼんやりしてるときも複雑な意識とつながってる
10. 例)弦楽四重奏曲を、細かく聞くと一つ一つの音だが→全体で聞いてるようなもの
11. ※おおよそ感覚とか知覚・経験(=現象)が人間にどう表れるか、という話
12. ロックとの論争 → おおよそ、ロックは感覚を単純なものまで還元しようとする。ライプニッツはその還元は無限に分割可能になる。ライプニッツは「いかなる感覚も真理の表象」とする。つまり、複合-還元の立場を取らない。無限の複雑性を認める。
13. ロックは「タブラ・ラサ」から出発する。ライプニッツは、人間は「情報で埋まっている」モナドから出発

必然的真理と生得観念
14. 動物も認識が出来て、一種人間と連続してるが、やっぱり根本的な違いがある。
15. つまり、「原因について考える」「理論を構築できる」能力がある。動物にはこれが無い。真理の把握
16. ※経験と演繹の話か。
17. 「経験には限界がある。例えば南国の人は雪を経験しない。同様に私たちの経験も必ず有限なもの」 つまり、経験だけでは真理にはたどり着けない
18. 魂(モナド)は宇宙全体の似姿。(人間)精神は自然を創造した神の似姿。
19. 「必然的真理の把握を、必然的神の存在証明としている」真理の把握に根ざし、それは数学・幾何学で証明可能
20. ロック経験主義とライプニッツの生得観念(モナド)の対立アゲイン

知識
21. ロックの経験論には政治的な目的もあった → 生得論にすると停滞するので → ここには共感する
22. 数学的な観念から真理を演繹する。「最大の速さ」や「正千角形」
23. 数学的・幾何学的観念は、文化等に依存しない真理である
24. ※GEBの脳のシナプス発火とかの話のロジックを思い出すところ
25. 言語の恣意性。Circle という言葉と ○ の形は恣意的・便宜的なもの ※ソシュール的な

26. 「ライプニッツは二進法を開発した」は本当?
27. 「どんな文化の人でも用いることのできるような、図で構成された初期言語を構想」
28. ※おそらく新記号論とかで出てくるライプニッツの評価はこの辺り
29. 「普遍的記号法」の開発の構想。論理学的な記号。数学記号的な言語。GEBと関わるところ
30. 人間の思考・観念をアルファベット的なもので表現し、それの組み合わせで複雑な観念を表現すること
31. 中国の漢字も参照
32. いってみれば「究極の記号」体系の考察。エスペラントとかとは異なる。

同一性と選択
33. 同一性について → ロックへの反論
34. 動機の問題 → 微小表象=無意識からの説明 その後のフロイト・ユングに通じるっぽい話ではある
35. 動機→自由意志に通じる。ライプニッツは一種の予定説を退けて、選択は偶然行われるものとする。これで自由意志は救われるが、一方で善悪が担保されない。選択がランダムになる → 知識・善の意味が弱くなる
36. 「自由」は限定的なもの。熟慮され、自発的であり、偶然的(選択可能)なのものであること。
37. 意志は決定的か、責任と道徳はどうなるか。倫理学の問題
38. ユダの問題 → ユダはイエスを裏切るように創造されたのか
39. ライプニッツの答えは → ユダという悪は世界全体の善のために必要なもの → 必要悪を認めるように見える

『モナドロジー』

1. モナドは単純な実体。部分が無い。
2. 複合体は実体の集まり。集合。
3. モナドは自然の真の原子。延長とか形がない(=空間の中にはない)
4. モナドは解体も消滅もしない
5. モナドは自然には生じない
6. モナドは創造によってのみ生じ、絶滅によって滅ぶ(神によるもの、と考えてよいか)。一挙になされる
7. モナドは外部によって変化しない。「モナドには何ものかが入ったり出たりできるような窓がない」
8. モナドは異なる性質を持つ。差異があり、互いに区別できる
9. モナドは互いに異なり、同一のモナドは一つとしてない
10. モナドは変化するが、それは内部に限る。「変化は各モナドの中で連続的になされている

11. モナドの自然的変化は内的原理から来る
12. モナドの変化には原理の他細部がある。モナドは単純だが、その変化は特殊・多様になる
13. 一なるもの・単純なもののなかに多を含んでいる。
14. デカルトの誤謬=動物の魂、昏睡状態の魂は存在しない → 心身二元論の復活の誤謬。モナドの変化は「表象」
15. モナドの変化(=表象)を起こすのは、モナドの「欲求」(アリストと関連・プログラムっぽい話でもある)
16. モナド=実体は単一。しかし思考は多様。魂は単純な実体→モナドの表れ方は多様
17. (モナドの)表象は、機械的理由では説明できない。(デカルトの機械的な人間・思考論の批判)
18. モナド=エンテレケイア=働き=内的作用の源=非物体的自動機械。モナドは非物体。力・作用としての実体
19. モナドは「表象と欲求を持つすべて」 → 石や動植物も含まれるが、「魂」は知覚・判断・記憶を持つ上位概念
20. 魂はただのモナド(動植物などすべて)以上のもの。眠っているときは(普通の)モナド状態と同じ。

21. 微小表象(≒無意識・意識されてない記憶)。どんなモナドにもなんらかの表象(≒意志)はある
22. モナドにおいては「現在が未来をはらんでいる」各モナド自体の中に変化は埋め込まれている。
23. 目覚める前にも人間は表象(≒意志)を持っている。意識していないだけ。人間のモナドに内在してる
24. 人間は「明敏な識別力」を持っているので、茫然自失の「裸のモナド」(動植物のモナドはこれ)とならない
25. 自然は動物に感覚器をもたせ「水準の高い表象」を与える。(動物と人間のある程度の連続)
26. 記憶は魂に一種の連結作用を与える。理性とは区別。犬と棒→動物にも記憶がある(デカルト等の批判)
27. 動物の創造作用は、以前の印象の強さ・多さに由来する
28. 人間も似たところがある。明日も夜が明けると予期するのが経験的予測。天文学者だけが理論的に予測する
29. だが、人間だけが理性と知識を持つ。自身を知り神を知る。理性的魂=精神を持つ
30. 人間の理性・精神が「反省」させ「自我」を認識させ、神を思考する。反省が理性的思考の対象をもたらす

31. 人間の思考の2つの原理。 ①矛盾の原理。矛盾を含むものは偽、そうでないものを真と判断
32. ②充足理由の原理。因果関係が確定的でないかぎりそれが真とは言えない、ということ
33. 二種の真理。 ①思考・推論の真理 ②事実の真理 …①は必然的で反対が不可能、②は偶然的で反対が可能
34. (①について)数学においては、(真理は)分析によって定義・定理に還元される。
35. 分析を続けていって、定義を与えられない単純な観念にたどり着く(三角形の定義とか)→原初的原理
36. 一方で ②事実の定理=偶然的真理にも理由(≒なんらかの真理)がある。どんどん分析していく。目的因
37. 偶然的要素の分析はループに陥る。細部の中に再び偶然要素があるため。よって原理はこの系列の外にある
38. 事象の最後の理由は、「一つの必然的な実体」の中にある。個々の実体にすべての細部がある → 神=源泉
39. この実体(=モナド)は細部すべての十分な理由。「神はひとつしか存しない、かつこの神だけで充分である」
40. 至高の実体(=神)は、唯一・普遍・必然的で、それに依存しないものは一つもない。限界はない。

41. 神は絶対的に完全。完全=積極的実在性(事物の限界の内側で)の最大の大きさ。思考可能な世界の最大=無限
42. 被造物は神から完全性を得るが、被造物自体は有限の存在。それこそが神と被造物の違い
43. 個々(の実体/モナド)は神の実在性を源泉とする。逆に神がなければ実在的なもの・可能なものはなくなる
44. 可能であるなら → 本質が現実の存在を含み、実在である
45. 神だけが無限の可能性を持つ → 永遠真理の実在性(対デカルト)
46. 真理は神の意志によるものでない(対デカルト)→ 必然的真理(幾何学等)は神の知性に依存(埋込まれてる)
47. 神だけが本源的な単純実体(無限かつ完全なモナド)→ほかの全てのモナドはその派生物で有限的。
48. 神の3つの特徴 ①力能→モナドの基礎 ②認識→表象 ③意志→欲求(テロス的なもの)
49. 完全なモナド(=神)のみが能動的作用を持ち、不完全なものは受動的
50. ある一つのモナドが→他のモナドに影響を与えるなら、影響元は「より完全」で作用を及ぼす(という仮定)

51. しかしモナドは他のモナドの内部に物理的な作用を及ぼさない(無窓) → 神のみが作用する
52. 被造物のあいだで能動作用と受動作用は相互的である
53. 可能世界の中で、神が「この」宇宙(≒世界線)を選ぶ決定、それに理由が必要(神は完全なので)
54. 「世界が含んでいる完全性の度合いの中」に存在。恣意的なものはない → つまり神は最善の世界線を選んでる
55. 「これが最善なものが現実存在する原因」 → 知恵と善意によって最善の世界を選び、力能によって存在させる
56. モナド=単純な実体は、ほかの全ての実体を表出する。「宇宙の生きた永遠の鏡」である
57. 視点の話。各モナドの視点によって世界の見え方は異なる。「その数だけの子おtなる宇宙」
58. 「できるだけ多くの変化に富む多様性を、出来得る限りの秩序と共に得る」=最も完全に近い世界
59. 神の偉大さ、完全性はここで証明される。対ベール
60. この世界がこうである必然性。全体の調和のため神がそうしてる。

61. 「複合体は単純体と符合する」→モナドに調和の原因を求められる。
62. モナドは「それぞれに宇宙全体を表現」する。魂もまたそう。
63. モナドが魂(≒エンテレケイア)となってるのが生物。魂が宿って動物を構成。そこには秩序がある
64. 生物の身体は「神的な機械あるいは自然的な自動機械」人間の機械と異なり、全パーツ=モナドが全体を含む
65. 物質のどの部分も無限に分割できる
66. 物質の最も小さな部分にも、被造物、生物、動物、エンテレケイア、魂の入っている世界がある
67. **物質の各部分は、動物・植物がある池や庭のようなもの。そしてその動植物の各部分にも同様**
68. 土と空気と水もまた、動植物を含む → 微細で知覚できないだけ
69. よって、宇宙には生命のないところは一つもない (宇宙は生命≒モナドで満たされている)
70. どの生物にもそれを支配するエンテレケイア(≒エネルギー)があり、動物の場合はそれが「魂」

71. 物体は流動状態にある。魂と物質を同一視するベールの誤解
72. 輪廻=魂の転生は無い。「身体をもたない精霊もない」「神のみ身体から完全に離れている」魂と肉体はセット
73. 魂は不滅。無からの発生も完全な死もない。生と死は単に増大と減少である
74. 身体は種子のようなものに予めその形を含んでいる
75. 「精子的動物」
76. 動物は自然的に生じず、自然的に滅びることもない(→73 モナドは予め神によって作られてる)
77. 魂は不滅。動物も(そのモナド的性質は)不滅
78. 魂-有機体の結合の説明。魂は魂の法則、身体は身体の法則にしたがうが、その一致は予定調和による
79. 魂は目的因の法則にしたがい、身体は動力因の法則=運動法則=力学に従う。この二つは調和する
80. 対デカルト。物質における「同一方向全体の保存の自然法則(≒ベクトル)」の発見で証明

81. 予定調和の説明
82. 精神=理性的魂=人間特有。精子的動物=エンテレケイア=魂が人間に入ったときだけ、理性=精神を獲得
83. 精神の特権①は19-30節 特権② 人間精神は神の似姿で、宇宙の体系を知ることが出来る。小さな神
84. 精神と神は子と父の関係。「神と一種の共同体に入ることができる
85. 精神の集合は神の国において「できる限り最も完全な国家を構成していなければならない」
86. 世界は「神の作品のうちで最も気高く、最も神的なもの」神の善意はこの世界に表れてる
87. 神の調和…世界の建築者(物質世界)と、精神がつくる神の国(精神世界)の調和
88. この調和によって事物は恩寵に至る。地上の破壊や悪の存在もここから説明
89. 建築者の神は立法者の神を満足させる
90. 善行には褒章、悪行には×がある。良い人々は…自らの義務を果たす者。神の完全性を知る者。

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