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FerryというベラルーシのボカロPの動画を有志で翻訳してた話

 去る2020年9月28日は私のネット活動にとって1つの区切りとなる日付けとなりました。YouTubeにて視聴者による翻訳字幕追加サービスが打ち切られた日です。私も僅かながらではありますが,このサービスを使っていた視聴者の1人でした。2年位前からチビチビとやっていまして,最終的には35作品の翻訳を行い,内30作品にクレジット表示をして戴きました。私にとっても非常に大きな意味を持つ活動でした。思い出という程の大それた事ではありませんが,今回の記事はサービスの終幕を転機として翻訳活動について,少しだけ語ろうかと思います。
 翻訳を始めた頃の私はniconicoからYouTubeへ移ろうとしている閾値の様な時期でした。Vtuberを見出して半年くらいの頃に,歌ってみたの関連動画から海外ボカロに繋がった事で字幕翻訳という文化に触れる事となります。初めて手掛けたキッカケは純粋に内容を知りたいと思ったから。その動画は独自のタッチで描かれた結月ゆかりに英語を歌わせるモノで非常に惹かれました。共産圏モチーフでピオネールが着る女学生の制服を身にまとった結月ゆかりが,メガフォンを片手に核の冬が到来する事を嘆く曲でした。その動画を訳した事がキッカケとなり,いくつかの翻訳に着手していきました。そうは言っても殆どがその投稿者の動画を訳す事に注力していくのですが。
 彼の翻訳を始めてから半年程経過した頃,それまでの単発のボカロ動画とは異なるシリーズモノの投稿が開始しました。映画『ストーカー』の設定を翻案したそのシリーズは彼の登録者数をすぐに1万人にしてくれました。その数ヵ月後にひょんなことから私のTwitterが始まり,彼にちょくちょくファンアートを送ったり。ベラルーシで動画投稿をしている彼のネタは旧共産圏の仄暗いトピックに光を当てる事が多く,ある種の反動的な部分も大学生らしさがあるなと思えました。そうして行くうちにロシアやアメリカの友達も2,3人増えたりと,言語差や国境などが私の意識として薄まっていき正にグローバルネットワークなるモノを実体験として実感するのでした。
 2019年末からは怒涛の展開で。まず彼がBIG ALというボカロの10周年同人コンピに参加したり,ネット上の漫画サイトで不定期連載を持つ事になったり,登録者が7万人を超えたりと,それはもうファンにとって非常に嬉しい事ばかりでした。流行病の影響やベラルーシの大統領選に伴うネット検閲もありましたが。そして今年2020年の7月末日に有志による字幕サービス終了が発表されました。このサービスの廃止によって,日本語話者だけでなく自身とは異なる言語の動画に手を出せなくなる視聴者が増えそうで憂いています。自由資本主義の体現ですね。
 私のYouTubeにおける翻訳活動は誠に勝手ではございますが,その投稿者の活動と共に歩んできたつもりです。これからも彼を応援していきますし,必要となればどなたにでも力をお貸しします。ただ,コッソリと行っていたまるで日課と趣味を足して割った様なこの営みに終止符が打たれた事への愚痴を何処かに垂れ流したくなったのです。本当に楽しくあっという間の趣味でした。また何処かで似た事が出来るのなら多分私は人知れず着手するんだろうなって思います。そんな感じの話でした。

-20.10.20 追記-
 本日確認したところ,クレジットも表記されなくなったようです。携わった記録も消えてしまい寂しいので翻訳動画一覧(タイトル・概要欄のみも含む)をここに置く事で翻訳活動の完結と代えさせて戴きます。

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