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思い出のゲーム『ゼプラトリー』を探して

 どうも皆さん、お久し振りです。皆さんには忘れられないゲームってありますか? 私は幼少の頃に少しだけ遊んで、今でもおぼろげに覚えているゲームがあります。それが『ゼプラトリー』というスーファミのソフトです。今回の記事はタイトルすら思い出せなかったこのゲームを、どの様に特定していったかを追うモノとなっております。

キッカケ

 2~3年前にsteamで発売されたとあるパズルゲームを買おうか迷いながら、参考程度にレビューを眺めていた時に1つの書き込みが目に飛び込んできました。

Steamのレビュー(掲載許可許諾済み)

 このレビューの中に書かれていた『ゼプラトリー』という語にどこか引っ掛かりを覚えました。聞いた事あるぞ、このゲーム。とにかくこのゲームについて思い出したくて頭の中のメモリをごった返す事になるのですが、ともかくそのキッカケとなったのはこのレビューからでした。

僅かな手掛かり

 『ゼプラトリー』と聞いてふとよぎったのは小学生くらいの記憶だったと思います。当時、仲の良かった近所の大学生(高校生だったかも知れないけど記憶が曖昧)が居て、その人の家で遊んだ様な気がします。覚えているのは、黒い箱に〇とか△とかを入れると何かしら変化して出力されるというイメージ。色々組み合わせて目標の色、形、大きさ、色になるよう試行錯誤するというゲームだった気がしますけど怪しいところです。

Twitterの書き込み(掲載許可許諾済み)

 誰か知ってる人居ないかな~ってTwitterで軽く検索掛けてみたんですけど大した情報もなく上の2件だけしかない上に、どちらも既に10年以上前でした。下の人に関してはその後のリプライもないので多分間違っていたんだと思います。しかもどちらのアカウントも2023年現在では更新されていませんでした。手掛かりもないので仕方なく当時遊びに行ってたその大学生と連絡を取ろうと思い立ちます。

 その大学生と連絡を取る為、実家へ電話してみると両親もその大学生の事は覚えていた様でしたが連絡先までは知りませんでした。ただこの電話によってその人の名前とか大学とかは色々分かりまして、親も暇な時とかには近所で軽く訊いてみる的な事を言ってくれていました。私もすっかり忘れていたのですがその人(仮称 Aさん)で大学の卒業と同時に引っ越してそれっきりだったみたいです。実家との会話とかつての記憶を頼りにAさんの住んでたアパートをGoogleマップで見ても知らん一軒家が建っていました……。

 ネットでザっと検索しても大した情報がなく一旦手詰まりの状態となり、私の能力ではこれ以上探せない……となったので友達の力を借りる事にしました。5~6人で該当しそうなワードとかを片っ端から検索していき、それっぽい情報を取り敢えずかき集めてくれるんですって! 持つべきは暇な友達ですね。

人海戦術(5~6人)

 とりあえず思い出せる記憶を友人達に話した所「ゼプラトリー」「記号」「黒い箱」「変換」「パズルゲー」「スーファミ」辺りを中心に軽くローラーを掛けてみる事にしつつ、逐一質問に答えていく形式で調査を進めて行く事になりました。

Q. どんな感じのレイアウトだったか覚えてる?
A. うろ覚えだけどこんな感じ

実際に質問に対して送った即席の画像

 まず右のバーには色々な回路図的なモノが一覧でありまして、中央の黒い枠を開けると虫食いの状態になっているので、一覧から適切なパーツを入れて図形の変換を行わなければいけない。そんな感じになっていた記憶です。矢印で一覧のページがめくれ、既にクリアしたステージの回路をそのままパーツとして使う事が出来た気がします。

Q. ストーリーとかキャラクターが出て来たりはする?
A. ちゃんとは覚えてないけどストーリーはあったと思う。最終的にパズルを解く事で世界を救えるみたいなよくある設定だったかも。でもキャラは居なかったと思う。プレイヤーとテキストくらいしか出て来ないかも。

Q. パッケージとかは覚えてる?
A. 人の家でやってただけだからパッケージとかは見たこと無いけど、ソフトは黒地に白文字でなんかロゴがあった気がする。

Q. なんで小学生の頃にスーファミなんかやってんの?
A. 家にない旧世代機がやけに珍しかったしパズルが好きだったから。

Q. そのAさんて他にどんなゲームしてた? そこから探れるかも。
A. 『アンジェリーク』とか『MOTHER2』とかがあった気がする。

 で、Aさんのゲーム趣味で今の2作を挙げた途端、話題がAさんのパーソナルに関する事に移り、そこからはもうゲーム探しそっちのけでやたらめったら質問攻めでその日はナァナァになりました。意味が分かりません、本当。

しばらくして

 なんとなくこの話題の熱量も冷め始め、どうでも良くなり始めていた頃。具体的には1ヵ月半後。実家から連絡があり、Aさんとの連絡が取れたとの事。私の同級生の兄の同僚の上司が大学生だった頃に入っていた大学のサークルの先輩がAさんだったらしく、伝言ゲーム的に伝わったそうです。

 Aさんに電話を掛けて十何年か振りに会話をしすると積もりに積もった話が山程ある訳で、2時間半ぶっ通しで話し続けました。で、やっと本題に入りました。まあ、要約するとあんまりちゃんと覚えてないそうです……。CMを見て興味を持ち、パッケージで買った記憶はあるそうです。黒っぽい背景で凄くスタイリッシュな内容だったのでシューティングゲームだと思って買ったら、異様に難しいパズルゲームでガッカリした事は覚えていた様で少なくとも中古で買った訳じゃないらしいです。しかしそれ自体もAさんが小中学生位の記憶だそうでそこまで明確でもないらしいです。そもそも『ゼプラトリー』という名前も私に言われて初めて思い出した感じでした。久々に話す事が出来て本当に楽しかったのですが、肝心の『ゼプラトリー』に関する情報はそれ程得られませんでした。とりあえず、Aさんから聞けた話は人海戦術組に共有はしておきました。

 それから情報の進展が全くなく、もうこれ以上は頭打ちかなと半ば諦めて1週間位経過した頃に人海戦術組の1人から連絡が来ました。Aさんからの情報を基に検索のやり方を変えてみると結構意外な場所で情報が引っ掛かったとの事。

スーファミソフト一覧 抜粋箇所の上から4項目目

 Aさんの発言から逆算して発売時期を特定して探すとWikipediaにそれらしい記載があると発見されました。時期的にも一致している事し多分コレ。これを基にAPRワンって所を調べてみても早々に倒産しているらしく、最早ここまで。人海戦術組もこれ以上はもう無理だろという雰囲気が漂っていましたし、限界が来てる感じがしてました。

 この検索探偵ごっこもそろそろ終わるか~って雰囲気の中、このwikiを見つけた本人がとある事を言い出します。
「Aさんって人、CM見て買ったんだよね? そのCM見たくない?」
 つまりネット上にそのCMが落ちてたりしないか調べてみようという提案でした。座礁に乗り掛けていた我々の方針が新たに定まった瞬間でした。

奇跡の発掘劇

 引き続き『ゼプラトリー』自体の情報をかき集める部隊とCMを探す部隊に分かれて調査を進める事に。

 CM部隊はniconicoやYouTubeにあがってるゲーム関連のCM集を片っ端からローラーしていきあわよくばゲーム本編の映像とかも見つかれば良いなと思いながら探していきました。いくら無名のゲームだからってプレイ映像やスクショの1つも見つからないのは流石におかしいのでどこかにある筈だとは思いたいです。でも本当に全然ないんですよね~。

 埒の明かなさから通常捜索部隊もCMローラーに割り当て、それこそ人海で事の捜索に当たります。全員で計4000時間程の動画を見て(もちろん数週間掛かってます)、もう流石にこれ以上は無理、飽きる、ツラいと音を上げる我々でしたが1人がそれらしき動画を発見しました。ゲーム関連のCMとは少し離れて1992年のCM集をローラーしてたが故に見つかった訳ですが、それがこちらの11:42~です。

 雰囲気としては『ビブリボン』と『F-ZERO X』を組み合わせた様なCMにでした。確かにこれは少し気になるCMでしたし、買いたくなるのも分かります。イヤでも流石にこれを見てシューティングゲームだとは思わない気がしますけど。で、このCMによって意外な事実が判明した事にお気付きでしょうか。我々がずっと『ゼプラトリー』と呼んでいたこのゲームなのですが、英字表記では『Xepratholy』らしく、そちらで再度検索を掛けてみました。

海外のスーファミソフト一覧 抜粋箇所の上から4項目目

 『Xepratholy』ありました!!!! 「December 16, 1992」は日本での発売日で「April 1991」が北米での発売時期だそうで、北米の開発・販売はHotep techという今は亡きという会社でした。詳しく調べると、元々『Xepratholy』はアメリカのHotep techという会社で制作されたゲームで、その日本語翻訳の版権をAPRワンという日本の会社が買って発売したそうです。道理で見つからない訳でパッケージにもCMにもタイトルにも『Xepratholy』って文字が出るだけで『ゼプラトリー』というカタカナ表記は本編中にしか出て来ない表記でした。大昔の記憶が曖昧なゲームの正式なスペルなんて誰も覚えている筈がなく、本編中に出て来るカタカナ表記の方をかろうじて覚えていた様です。

終わりに

 ここまで調べる事が出来たのでいっそまたプレイしてみたいなぁとは思いましたけど、スーファミなんか家にあるわけないし、そもそもソフトも見つかっていないので調査は一旦ここまでで切り良く終了と相成りました。
 調査に携わって下さった皆様には多大なる感謝を申し上げます。CM映像を見つけた瞬間の人海戦術組の盛り上がり方と言ったらもう凄くてdiscordが音割れする位の歓声が上がったのを覚えています。また、一応Aさんにも報告した所殊更に興味がなさそうにふーんとおっしゃっており、こっちとの熱意の差に妙な面白さを感じました。加えて今回の一件の記事化を快く承諾して下さいました。有難うございます。
 という事で今回はここまでとなります。ではまた来月。








































ネタバラシ
 はい。分かってた通り、エイプリールフールです。大嘘です。Xepratholyもゼプラトリーもこの世には存在しない語です。そのまま検索して戴けると分かりますけど、
Xepratholy に一致する情報は見つかりませんでした。」
ゼプラトリー に一致する情報は見つかりませんでした。」
とGoogleで出ると思います。もしかするとこの記事が引っ掛かるかも知れませんが。全く無いのにありそうな言葉造るの本当に大変でした。後、画像の改変が地味に骨の折れる作業でした。

嘘だと気付ける要素
・Twitterの画像を見てみると分かりますが日本語版Twitterのサービス開始が2008年4月23日なのでこの画像がフェイクだと解ります。
・Aprワンはそのまま4月1日の事です。
・niconicoへのリンク先は削除動画になっています。

ちなみに去年ついた嘘はこの3記事
北へ 行こう ランララン #1
北へ 行こう ランララン #2
北へ 行こう ランララン #3
良かったらこちらもどうぞ。それでは今度こそまた来月。ご拝読ありがとうございました。

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