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ポケモンスカバイの元ネタ探し

 『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の発売まで数週間を過ぎましたね。今作の舞台はパルデア地方でモチーフはスペイン。てな訳で今回は11月1日時点で分かる様々な要素の元ネタ探しをして行きたいと思います。

舞台

パルデア地方
引用元 『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』公式サイト
イベリア地方

 今回の舞台であるパルデア地方はヨーロッパのイベリア地方がモチーフとなっています。北東の壁みたいな山脈はピレネー山脈、南西の高台みたいな崖は恐らくジブラルタル。テーブルシティは地方の中央と説明されている為スペインの首都であり地理的にも中央に位置するマドリードがモデルです。現実と同じならば、北東の山脈を越えた先でカロス地方(北フランス)周辺とつながっていたり、南西の崖はガラル地方(イギリス)の飛び地となっていたりするかも知れません。こんな感じであることないこと述べていきます。

サグラダ・ファミリアとサラマンカ大学

アカデミー
引用元 【公式】『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』1st Trailer
サグラダ・ファミリア(バルセロナ)
サラマンカ大学(サラマンカ)

 パルデア地方の中央に座し。同地方最古の学校である当アカデミー。見ての通りバルセロナのサグラダ・ファミリアが外観のモチーフですね。建築家ガウディの設計による教会で、未だ完成されていない名建築です。劇場版の『ディアルガVSパルキアVSダークライ』にて舞台となったアラモスタウンの「時空の塔」も同聖堂がモチーフでした。
 そしてスペイン最古の学校という要素はサラマンカ大学。スペインで最も権威のある大学の内の1つです。大航海時代の航海計画はこの地で花開き、トリエント公会議では対抗宗教改革の拠点となった地です。
 サラマンカ学派は後世に多大な影響を及ぼし現代の国際法や経済の源流とされる学派の1つです。
 ちなみにサラマンカはサラマンダーの遠因的な語源です。

グエル公園

アカデミー正面の広場
引用元 【公式】『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』1st Trailer
グエル公園 正面階段前

 こちらもバルセロナに存在するガウディによる建築作品の1つ。全体的にカラフルなタイルで彩られいてて、バルセロナの街を一望できる作りになっていたり、エル・ドラコと呼ばれるポップなトカゲのオブジェがあったりと見所が沢山あります。映像上に出てきたミニリュウの噴水は、もしかしたらこの公園にあるトカゲの噴水が元ネタかも知れません。今作に登場するアカデミーはバルセロナの名所を組み合わせたモノって事ですね。

ラ・マンチャ

並び立つ風車
引用元 【公式】『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』1st Trailer
ラ・マンチャ カンポ・デ・クリプターナの風車群

 セルバンテスによって著された『ドン=キホーテ』の超有名なエピソードの1つに風車と戦う話があります。その舞台はラ・マンチャのカンポ・デ・クリプターナでした。作中において風車はオランダを暗喩させる象徴として描かれ、ドン=キホーテはそんな風車に負けてしまいます。これはオランダの将来的な独立を示唆しており、実際に出版から5年後オランダはスペインから事実上の独立を果たします。

アジア人街

ニャースのネオン
引用元 【公式】『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』3rd Trailer
マドリードメトロ ウセラ駅

 おそらくはスペインに数ヵ所点在するアジア人街。主要な所で言ったら、マドリードのウセララバピエス、バルセロナのエル・ラバルなどが挙げられます。華人や華僑は1920年代から世界へと大量に流入していき各地でチャイナタウンを建設してきました。無論、彼ら以外にも多くのアジア系移民がそこに集まった事で現在のアジア人街が形成されたと言えるでしょう。ただアローラ地方にもチャイナタウンはありましたけど、ガラル地方にはそういったのがありませんでしたよね。ロンドンにはヨーロッパ最大級のチャイナタウンがあるのにちょっと意外でした。ちなみに中国にも近年になって招き猫文化が渡ったらしいです。看板のニャースもこれが由来かも。

それぞれの都市

現時点で予想できる都市の位置

 こんな感じの位置とそれに対応する現実の都市を図にまとめてみました。ナッペ山はアルプス・ヒマラヤ造山帯の1つであるカンタブリア山脈。ここではスキー等が楽しめます。ハッコウシティは位置的に港湾都市バレンシアで、同都市のウォーターフロントにある芸術科学都市がモチーフ。コルサがジムリーダーを務めるボウルタウンはバダホス県。スペイン黄金時代美術に活躍した画家である「聖なるモラレス」と呼ばれたルイス=デ=モラレス「スペインのカラヴァッジオ」と称されるフランシスコ=デ=スルバランらの出身が同県なのでモデルになっていそうです。
 テーブルシティが位置的にマドリードな事は既述なので省略します。厳密には中央の霧が位置としては正しいのですが大目に見て下さい。

特産品

 農林水産省によって2020年に更新された『スペインの農林水産業概況』によると同国の主要農産物は、大麦、オリーブ、小麦、ブドウ、トマト、柑橘類、牛乳、豚肉。現時点でこれらをモチーフとしたモノが既に幾つか発表されています。

パン

パピモッチ
引用元 【公式】『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』3rd Trailer 紹介映像
マヨルカ島のエンサイマダ(バレアレス諸島 マヨルカ島の特産品)

 パピモッチは見ての通りパンがモチーフで要は小麦、大麦の要素でした。耳のパンは恐らくバレアレス諸島の特産品であるエンサイマダでしょうか。旧スペイン領でも広く楽しまれているパンです。

オリーブ

ミニーブ
引用元 【公式】『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』2nd Trailer
オリーブ

 ミニーブは勿論オリーブが元。そもそも分類がオリーブポケモンですね。ノアの箱舟伝説にて海原に放った鳩がオリーブの葉を咥えて戻って来たので鳩と共に平和の象徴とされています。

オレンジとブドウ

アカデミーのレリーフ
引用元 【公式】『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』2nd Trailer
オレンジ
ブドウ

 元となったサラマンカ大学には7つのレリーフがあり、大学のシンボルとなっています。アカデミーの両レリーフに描かれているオレンジとブドウ。こちらも地中海式農業によって栽培される主要な果物の2つです。

トマト

ペパー
引用元 『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』公式サイト
トマト

 ペパーが持っているのは『マトマのみ』で勿論これはトマトがモチーフ。元ネタとは違い激しい辛味と若干の渋味が特徴の果実です。シリーズ内でもマトマパスタ等の料理が存在しています。原産地はペルーはアンデス山脈で大航海時代にヨーロッパへと渡って来た経緯を持ち、スペインの黄金時代を象徴する品の1つです。

グルトン
引用元 【公式】『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』2nd Trailer
イベリコ豚

 グルトンはイベリコ豚が元ネタですね。優れた鼻を持つ美食家という触れ込みで、こちらはイベリコ豚がトリュフを探す豚として活用されていた過去に由来するモノ。現在ではより発見制度の高い犬が使われていますけども。「イベリコ」は何となく分かる通りスペイン語で「イベリアの」を意味する形容詞です。なぜ日本名でイベリア豚ではなくイベリコ豚なんでしょうね。

たんぱんこぞう
引用元 【公式】『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』2nd Trailer
オズボーンの雄牛

 たんぱんこぞうの服にケンタロスが描かれているのは闘牛モチーフだからというのは分かりますが何故シルエットなのでしょう。おそらくオズボーンの雄牛も要素の1つとして含まれているからだと思います。オズボーン社はスペインを席巻している最王手の食料飲料品業社で、上図は同社の看板広告としてスペイン中に設置されています。スペインで牛といえば闘牛と同じ位こちらの牛も挙げられる訳です。

歴史・文化

 イベリア半島はその長い歴史から様々な文化を形成してきました。今作ではそうした歴史や文化なども要素として組み込まれているようです。

大航海時代

テーマは 宝探し !
引用元 【公式】『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』3rd Trailer
1570年 オルテリウスによって描かれた初の近代的な世界地図

 スペイン・ポルトガルを覇権国家へと成長させたのは、間違いなく大航海時代という当時の潮流でした。現代人が連想する「冒険」はこの時代から着想を得ている事も多い印象です。外の世界へと希望を見出し、新天地を目指した冒険者達の時代。土地を香辛料を果実を、そして金銀財宝を求め、人々は海を渡りました。
 今作のシナリオは宝探しがテーマとなりパルデア地方のあちこちをシームレスに巡る事が醍醐味となります。様々な目的のもとで選べるルートは縦横無尽。戦いを繰り広げバッジという勲章を集めるも良し、秘伝のスパイスを求めて各地を走るも良し、不良学生を殴りに行くも良し。史実よろしく無数のルートを渡り抜けるのが今から楽しみです。

キャラベル船

パルデア地方のジムのエンブレム
引用元 【公式】『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』3rd Trailer 紹介映像
キャラベル船

 大航海時代黎明期、スペインやポルトガルは大きな三角形のマストが特徴のキャラベル船を使用していました。ジムのエンブレムはこちらが元ネタ。かの有名なエンリケ航海王子やコロン(コロンブス)とも深い関わりがある船です。上図のキャラベル船はポルトガルが用いたモノであるというのが、マストの十字で分かります。この十字はキリスト騎士団の標章ですね。

香辛料貿易

レジェンドルート
引用元 【公式】『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』4th Trailer
スパイス

 秘伝のスパイスを求めて各地を転々とするこのシナリオの元ネタは多分、香辛料貿易を模しています。というのもスパイスは大航海時代にアジアとの繋がりを確立した事でヨーロッパに流入してきます。香辛料貿易はスペインやポルトガルが黄金時代を迎えるキッカケとなり、ヨーロッパにおける料理の形態や食文化に改革が起きました。メインキャラクターのペパーはその名の通り胡椒が由来で、外国名でもそれぞれで香辛料が由来の名付けがされています。前述した通り、手に持っているマトマのみも大航海時代に流入したトマトが元ネタ。レジェンドルートは貿易路を彷彿とさせる気がします。

サンティアゴ巡礼路

チャンピオンロード
引用元 【公式】『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』4th Trailer
サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂(巡礼路の最終目的地)

 サンティアゴ巡礼路は10世紀中頃から現在に掛けても親しまれている道で日本で言う四国遍路に似た文化を持ちます。東のピレネー山脈を起点とし、西のサンティアゴまでを結んだこのイベリア半島を大きく横断した道を巡礼者達は基本的には徒歩で進んで行きます。約800kmで自身の信仰心と延々に向き合いながらひたむきに足を前へ前へと動かす長旅です。
 ポケモンシリーズにおけるジム巡りの意味とは何でしょうか。基本的に、プレイヤーは博士からポケモン図鑑を託され、完成を目指して旅に出ます。しかしその実でプレイヤーは図鑑完成そっちのけでひたすらポケモンリーグを目指します。
 パルデアの地図を見る限り恐らくは銀の道やアンダルシアの道(Caminos Andaluces)と呼ばれるルートにも見えます。この順路ではサラマンカを通るルートもあります。まあ、半分こじつけなので眉唾程度に。

独立運動

スターダストストリート
引用元 【公式】『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』4th Trailer

 パルデア地方の各地で問題となっている反抗分子のスター団。とある2つの要素を掛け合わせている様に見えます。

一番星号

 まず1つ目があのトラック。所謂デコトラと称されるアートトラックで日本だと映画の『トラック野郎シリーズ』をキッカケに大流行しました。その作中に出て来るトラックの名前が「一番星号」。スター団がデコトラに乗るのはここと掛かっているのだと思います。旧開発陣の1人だった増田さんが同映画シリーズの大ファンであるのも有名な話ですね。

カタルーニャ独立運動

 2つ目の要素というのは少々デリケートな話になります。スペインは歴史的経緯から各地域の独立運動が盛んな国の1つです。2017年カタルーニャで独立を問う住民投票が行われ、独立支持派が97%を超えたのは記憶にも新しいです。流石にポケモンという大ブランドがそんな問題を元ネタにするなんて無頓着で最低な事はしないと思いますが、中央に座する学園(マドリード)に従わない各地の不良集団(独立運動)を懲らしめに行く、という構図は意図してなくとも危ういんじゃないかなって。気のせいでしょうけど。スペインにおける独立運動のシンボルは星のマークで、多くの勢力が旗に星を描いておりアスタラーダやエステラーデスなどと呼ばれています。
 ちなみにアスタラーダを使用している独立運動は以下の通り。最下の2旗はアスタラーダではないけど有力な独立勢力でした。

スペインで有名な独立勢力

スペイン内戦

コライドンとミライドン
引用元 『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』公式サイト
可視光線

 今作のモチーフであるスカーレットとバイオレット。よく言われるのが、可視光線の両端である赤と紫であるという指摘。コライドンとミライドンによく似た存在であるモトトカゲの色が緑ですが、これは可視光線の真ん中が緑な事を意識してそう。

両陣営の旗 (国粋派の旗は1945~1977)

 スペインに関連付けられそうなのはスペイン内戦でしょうか。1936年から1939年まで続いたスペイン内戦は第二次世界大戦の前哨戦としての意味合いが強く、フランコ将軍率いる国粋派にはドイツやイタリアのファシズム国家が、アサーニャ大統領率いる共和派にはソ連が後援について代理戦争を引き起こしました。
 それぞれの用いた旗から国粋派は赤、共和派は紫がシンボルに描かれる事が多いです。それぞれ陣営の思想的にも赤(国粋派)には保守や伝統主義者が集中し、紫(共和派)にはリベラルや民主主義者が集まった事を考えるとあの配色も意識したものかも知れません。内戦の動向などは『カタロニア讃歌』や『誰がために鐘は鳴る』などの作品で描かれています。

総括

 ね。11月1日時点で何となく感じ取れた奴を挙げ連ねて行きましたけど、賞味根拠薄い気がしますね。場末のnote記事なんで信憑性皆無ですし大して信用しないで下さい。こんな話もそこそこに新世代のポケモンが発売されるのを今か今かと楽しみにしている次第でございます。ではまた次回。

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