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『ハンジョー君でナイトベイビー』編集後記

 お久しぶりです,皆さん。まあいつもTwitterか配信のチャット欄にいるので久しぶり感はないかもですね。ことnoteに関しては毎週書いていましたから,1週間書かなかっただけでも随分時間が空いたように思えます。
 今回はタイトル通りTwitterに投稿した「ハンジョー君でナイトベイビー」の編集後記となります。

題材についての掘り下げ

 さて今回作ったのはハンジョー君を取り扱った動画です。私のnoteを読む方ならご存知だと思いますので,ハンジョー君が誰かといった説明は省略します。強いて言えば私の大事な友人です。ずっと長い間彼を題材に何か作りたいと考えていて実際に創作に掛かったのは6月の半ばでこのnoteというサービスを使用し始めた頃だったと思います。
 楽曲の解説を入れていきます。今回は『ナイトベイビー』の歌ってみた動画を音源として使用しています。明るくポップな曲とは裏腹にひたすら後ろ向きな歌詞が特徴的な楽曲です。この曲は元来作曲者がネット上で,配信していた同名のラジオのテーマソングとして書き下ろされたモノでした。自身を何もできない癖に,癇癪とワガママで武装するナイトベイビーと,卑下し最後には「さよなら」と見捨てられる曲です。
 この曲がテーマとして有する空元気さというか,自信のなさというか,微かに見える陰りの部分だったりっていうのが,何故だか彼と重なった様な気がしました。彼がそういった気質を持っているって意味ではなく,彼にこの曲を投影したら合うんじゃないかなって。今作におけるナイトベイビーという語と原曲におけるナイトベイビーって語は意味が大きく異なると思うんです。というか実際に手掛けていて違うなって感じたし,そうなるように制作したつもりですがどう解釈するかは自由なのでね。

今作の映像における3要素について

 今作の映像にも元がありましてそれがこちらこちらになります。いわばこれが原曲でして,動画中央の男性がこの曲を作った田中氏です。そして映像制作は彼と共にラジオのパーソナリティを務めていた黒田氏です。いつも通りこれらの翻案を動画の柱としています。
 今作は大きく分けて3要素で構成しています。第1にハンジョー君,つまり人物。第2に背景。そして第3に人物と背景の間に挟まる小物。これらの要素にそれぞれ意味を持たせた事で,元映像との意識的な面での差別化及び翻案化を目指しました。順番に解説していきます。

第1の要素 人物

 まず人物についてで,これが今作最も時間を掛けた部分です。そもそも私は絵が上手くないのでこの絵に落ち着くまで1ヵ月以上掛かりました。早くペンタブ買って,マウス描きを卒業したいと何度思った事か。そんな事は置いておいて。描く上で取り分け注力したのが表情です。なるべく普通の顔にも,悲しそうにも,楽しそうにも見えるように頑張ってみましたが如何でしょう。眉の下がり具合や垂れ目の角度,白目の範囲や瞳の塗り方など工夫できる事は色々試しました。見る人の感情によって表情も左右されるのが理想でした。メロディの明るさと歌詞の陰鬱さから生じる音源のギャップをこの顔に落とし込めていたら良いなぁといった具合です。あと私にしては珍しく影を付けてます。これも微かな頑張りでした。

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 映像における彼の役割は勿論ナイトベイビーを演じて貰う事にあります。彼が裸なのも口がマリオネット式なのも元動画の再現ですから,何かやったとは言い難いかも知れませんが。元映像との差は後半つまり暗転後に現れます。
 今作では目隠しリボンの代替におしゃぶりを咥えさせました。赤ちゃん感を演出できる上にアクセントとしても目立ったアイテムです。口元を隠す事でさらに表情を読みにくくさせる狙いもあったり。上図はおしゃぶりを透過させて対比したモノですが,咥える前と後で下顎の可動部分が縮こまっているのが分かるでしょうか。おしゃぶりと可動域の関係上,口内を映す為に行った処置ですが案外気に入っています。こぼれ話ですが,実は動画制作中にハンジョー君本人が自身におしゃぶりを咥えさせたイラストを投稿していました。あーネタが丸被りした終わった……ってなったりもしました。
 終幕に彼の目を隠すNight Babyと綴られたリボンを出すのにも拘りがあってですね。元動画と同じタイミングで出すとサビからずっと目が隠れる事になります。今作の人物はあくまでも絵なので実写程のインパクトもないですし,伝わりにくいです。表情の移ろいとして最初は見る人によって変わる,口元を隠される事で少し表情が変わった様な印象を受け読みにくくなって,最後に目と口が隠れるので完全に表情が読めなくなる,という構図を作りたかった訳です。

第2の要素 背景

 お次は背景です。今回はパターン背景を色々組み合わせています。これが思いのほか面白かったです。Aviutlの普段使いそうにない機能とかを山程に使ったのでパズル的なニュアンスでの映像制作は一際新鮮でした。背景の移動方向には気を付けていて,隣り合うシーンで動かす方向を連続させるのはなるべく避けました。同じパターンだと見ていて飽きられちゃうからです。放射線が回転するシーンは例外としてね。

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 背景の動きについても言うと右から左への移動は減らしました。これにも明確な理由があって,序盤のフィルムが右から左への移動で,映像の鉄則である上手下手の法則に追従するオブジェクトとなる訳ですね。基本的に映像や絵の世界において下手つまり左側は過去であったりネガティヴな意味だったりを持ち,上手である右側は未来やポジティヴな意味を持ちます。という事で背景は順当な時間の流れである成長から抗っている彼の心情を投影しているつもりです。上や下や右への移動を必死に繰り返して抵抗してるんですね。上図は終幕の背景ですがドットは右に,それ以外は左に動き,最早心の何処かでも抗えなくなっているという描写でした。

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 これらが今回使用したパターン背景です。色彩の組み合わせで被りをなくしました。アーガイルの色はメインであるハンジョー君の色をイメージした感じです。配色で非常に参考になったのはヒプマイのCDジャケットですね。具体的に言うとイケブクロナゴヤシンジュクでした。プロの配色に頼ると見えて来るモノもありました。あとコッソリですがウオノラゴンの配色も忍ばせました。あんまり深い意味はないです。ビビットや暗い色を使わずにパステルカラーをベースに選んでいます。今回の背景で色に意味を持たせたのは最初のアーガイルについてだけで,それ以外は目立つが違和感なく馴染むような配色になればと。背景の総括として動きに意味を持たせた分,彩りはスッと馴染むようにしました。

第3の要素 小物

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 ここで言う小物はフィルムだったり,小ハンジョー君だったりの事です。フィルムに映し出されているのは彼自身がアップロードしたイラストです。他人の絵勝手に使うのってどうなのってなりそうですので,怒られたら消します。無断使用誠に申し訳ございません。一応あそこであれらを用いたかった理由があります。前章でも説明した通り,これらのイラストは過去に彼が描いていった絵であり上手から下手に移る事で順当な時間を流れていく事を示唆します。アップロードされた順番とかそういう事ではなく,これらの絵は全てまとめて過去に流れて行ってるんですね。どこから流れて来るのかと上流を見るとそこにあるのは歌詞の字幕なんです。あの歌詞の内容からあのイラスト達は流れて来るんです。でも時間の流れとしては正しい在り方で,心情を映し出す背景はその流れに乗るのをずっと拒んでいて……。
 続いてカラフルハンジョー軍団についてです。これも元映像にある要素を活かしました。ハイッ! のタイミングで出てきて背景の色を変えるという点では同じですが,元映像よりも可愛くなっています。この子らに施した変化は髪色と口元ですね。2Pカラーをイメージしてます。一々動作を確認するには重くなりすぎるのでタイミングを調整するのに手こずりました。ポップな雰囲気が演出できたので満足です。

結びに

 さて,9月の作品は個人的な友人を題材にしましたが,怒られないかな。ちょっと不安でもあります。怒られたら素直に消しますけどね。編集後記を読んだ人には何故この曲で彼の動画作ろうとしたのかとか,少しでも分かって貰えたのかな? 頑張って作ったので理解してくれたら嬉しいです。題材が好きなモノだと作っていて凄く楽しいから,一段と注力ちゃうんですね。今作はある意味での集大成なので,しばらくは何か作るの滞りそうだなぁってニュアンスがあります。そんな感じでまた創作したら発表します。それでは今日もいつも通りTwitterでお会いしましょう。

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