One Girl

今年の2月に喪服を買おうとした私へ


あなたはその10ヶ月後にスーツを買ってるよ。安心してね、ちゃんとその時あなたが取り留めた道は未来につながってるよ。

なんちゃって制服のあのスカート、もうウエストがゆるくなっちゃって履けなくなっちゃった。身体がスカートを手放したのか、スカートが身体を手放したのかってところはドローだね。

でも私の身体があのスカートを手放したなら、あなたは同時にいろんな未練を手放したね。楽しかった仲間たちとの時間、一緒に帰ってた人のこと、可愛い制服を着られなかった悲しみ。全部ぎゅーって抱きしめて、ありがとうって頭なでて置いてこられた。

最近、いろんな人に体調良さそうとか、オーラが変わったね、なんて言われるけどチークとリップのおかげだったら寂しいなあ。でもきっと、いろいろなことが変化してきてるんだと思うよ。

あのとき好きだったものは今でも好きかな?

いま好きなものは未来でも好きかな?

着々と未来の予約が入ってきてるね。それは明日も生きるんだぞって言われてるみたいで、ちょっぴり窮屈に感じるときもあるけど、その先にある光に向かって歩けば、あっという間に明後日が来てるんだと思うよ。

あなたが2〜3年前に願ってたこと、病気になる前の時間には何度願ってもなれなかった。でもそれは戻りさえすれば、病気にならずに済むと思ってたからなんだよね。前に戻っても、自分を愛することをせず、何に自分が悲しんで、悩まされ、愛おしさを感じたか、しっかり自分自身を離さないでいなければ、どの道を通ったとしても病に陥っていたと思う。

最初にあなたが自分に対して不甲斐なさやもどかしさを感じて泣いた日から五回目の冬が来てるよ。あなたは随分と大人びってしまった、外見も中身も。もっと子どもでいたかっただろうに大人にさせてしまって、ごめんね。だけど、もう戻らなくて大丈夫だね。今のあなたはしっかりと自分の涙を拭って、あたたかいものにくるまるようにして自分を愛することができる。それは時に不完全かもしれないけれど、少しずつ少しずつ、まるで革靴を愛でるようにクリームを塗り込めば、"私"は私にとっての最高の相棒になるはずだから。

これから先も愛してね。自分と、自分の中に染み渡ってる人たちを。


10ヶ月後にスーツを買った私より