青とピンク

青とピンクの組み合わせが最近好きだ。
特に青は悲しくも綺麗で、触れたら冷たいけど一度ついた手を離したくなくなるほど深いロイヤルブルー。ピンクはどこまでも真っ直ぐ届いて、偽りじゃない私を呼び覚ましてくれるようでそのまま永遠に眠らせてくれるようなビビットピンクが好き。でも今の気分はブルーとピンクでも、青と桃色でもなくて、青とピンク。

だいぶ寒くなってきて、駅で電車を待つのも辛くなってきた頃にホームでみた女子高校生は、マフラーをぐるぐると巻いて寒そうに顔を埋めていた。制服のスカートをなるべく短くして、足首くらいしかない靴下を履いていることに矛盾を感じる。でも辺りを見渡せばいくつもの女子高校生が短い靴下をきっちり履いていた。まるで何かのシンボルかのように。

いつだったか友人に聞いた。「今は寒くても短い靴下を履くのが流行りなの?」と。「そうらしいよ。寒くても我慢して足を出すのが"JKの証"なんだって。私は寒くなったらすぐタイツ履くけどね。」と答える姿が好きだ。 こんなにいい人なのだから早く素敵な人に出会えるといいねなんて話してた。
隣に座る女子高校生たちが彼氏の愚痴を言い始めた。その会話に妙に納得した。たぶんきっとそういうことなんだろうな。でもね、君たちが思ってるよりもずっと外は寒いよ。北海道でも沖縄でも同じ、世界どこでも生きていれば同じだけ寒い。他の人と違う時間軸の中で佇む私はスキニーデニムをしっかりと履いているけど、それでも前から容赦なく吹く冷たい風はいくら温めても身体中を駆け巡る。そういうものなのだ。

私はたまに履く、見せかけのチェックスカートを冬場に履くとき、しっかりとひざ下まで靴下を伸ばす。なんだかそうしないと昔のわたしが泣いてるような気がして、ごめんね、これくらいしか出来ないけどさせてねっていう気持ちで。

なりたかったわたしになれなかった私は外でも生きていくためにバーバリーのマフラーをきつく、きつくしめた。