ホンモノ

それはあっけなく終わった。疲れ果てて、それの重さを感じることもなく脱ぎ捨ててしまったけどそれで良かったのかもしれない。私はそれに対して重すぎるほどの執着をしていたけれど、結局最後はさっさと脱いでしまいたいと思って簡単に脱げるほどのものだったんだって。そう言い聞かせないと、私がかわいそうだから。アイドルじゃないからコスプレで着ることもないだろうけど、これからこれを着ても本物にはなれないけど、それでもいつか、これを着たわたしを思い出してね。これを身にまとったわたしは誰よりもその重さを感じて、世間と馴染もうと、時に輝こうとして頑張ってたよ。その頑張りを認めてあげよう。ディズニーですれ違ったどの子よりも似合ってたよ。だからさようなら、普通の高校生に憧れていたわたし。いっぱい苦しめてごめんね。思い残すことないよ。

うそ、あともう少しだけ着たかった。ばかやろう。わたしのばかやろう。今これを書きながら泣いてるわたしがホンモノだよ。

2017/03/26