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私にいちばんちかいところ
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2018年8月の記事一覧

人生で一番髪が長かったあの年から5年たった今、また私は髪が結べるようになった。格好の悪い1つ結びだけど、今度はちゃんと毛先が切り揃えられている。髪の毛は1日に100本近く抜けるらしい。抜けたらまた生えて、抜けて、生える。ベリーショートの似合う人間になりたかった。

うつくしいものだけを見つめていたいと願う人は、世界のきたないものが見える人なのだろう。

少し賢くなった私は、「意味のわからない辛さ」の意味をわかるようになってしまった。何に感じても意味を求めるようになってしまった。
自分がそのことを忘れた頃には、また書けたらいいな。今も締まりの悪い蛇口のようにぽたぽたと溢れつづける言葉を、丁寧にやさしくつげるよう。

塩とコショウが自分にとって優しい味だとわかってしまったら、それ以上に求めなくなってしまった。いや、いつからか気づいたんだと思う。愛と辛さを原動力に書いてた文章は自分の中で溢れそうになる言葉を注ぐ場所であったと同時に、自分の血と肉をほんの少しずつ捧げてしまったんだと思う。

いつだって私の文章を書く原動力は「愛」と「辛さ」だった。でも今では全然書けない。愛も辛さもあるのに。今までの私はあまりにも無知だった。だからこそ自由だった。何にでも私の中に取り込んで、好きに煮込んで好きに味付けした。それを好きに頬張った。だけど、今の私は少しだけ賢くなてしまった。