関西方面旅行記

メリークリスマスでございます。

12/20からここ5日間ほど、関西方面へ現実逃避行をして参った次第。

例のごとく青春18切符旅でしたので、乗るだけ乗って福島から京都は15時間、電車、気動車乗る阿呆に乗らぬ阿呆、同じ切符なら乗らなきゃ損々ってなもんで。

景色が変わり、人が交わしあう言葉が変わり、変わらないのは車輪とレールのガタゴト音。目に見えて有限、後からでもどうにもなるカネをムダに使うよりも、無限に思えるようで、あと何回砂時計がひっくり返るかも分からん手前の時間をムダ遣いする方が、私にとってなんとも心地のイイことなんで。

気づけば茶畑緑と海碧、久しく見てない色でして、やっぱり何時見ても良い色です。四の五の言うとる間に天下分け目の関ヶ原に着きまして、冬草や兵どもは雪の跡。

あれやこれやと、なだらかに、響かる聴きなれぬ言葉に夢うつつ、着きましては京の都、人生初のゲストハウスが今日の宿。

彼の国から日出ずる国へ来たれる異邦人たちに囲まれて、飛び交う言葉に我もまた異邦人なりと痛感したり。ほいでギョームなるカナダ人と仲良くなり。行く道来た道のほんの少しの交差点、互いに訳も分からぬままに酒を酌み交わす。

ワールドワイドでグローバル、世界レベルのイビキに歯ぎしり、なるほど人類皆兄弟、人種に壁は無かれども、ここには厚い壁が欲しい。 Stettin in the Baltic to Trieste in the Adriatic、Berliner Mauer、38th parallel north…

2日目は阪急電車に揺られて阪神競馬場へ。競馬繋がりで仲良くしていただいた方々と観戦。POGというお金を賭けずにできる競馬の遊びがあり、それの中間発表みたいなレースを観ていつものように競馬の難しさを再確認。

また昨晩と同じ宿にて宿泊。ギョームに代わって阪神のメッセンジャー投手の如き体躯のフランス人のホーマーと話す。フランス鼻母音効かせた英語には、こちらも負けじと鼻啜りのズーズー弁で応対してみた。

3日目。住めば都よさようなら、ゲストハウスに別れを告げて、いざ、未踏の中国四国地方へ。立ち塞がる兵庫県越え。東海を通ってきた時のように、徐々に薄まる関西風な言葉遣い、そこにはいつか観た任侠映画のニュアンスエッセンス。テレビでもラジオでも聴こえてこない言葉の響きこそが、進むに連れ徐々に移り変わる事象を愛でることが、青春18切符旅の醍醐味であろう。

流れてきました鉄の川、犬猿雉は今昔、ここは岡山きびだんご。スーパーで見た桃太郎マスカットという品種名に全てのステレオタイプがハマってらぁと思いまして。

荷物を預けていざ四国。食べるぜうどん。

マリンライナーで瀬戸大橋を渡る。人魚の声が聴こえてこなくとも、この瀬戸内海の美しさには、きっと誰しもが引き込まれてしまうだろう。まさに溺れてしまいそうな美しさだった。

見惚れているうちに香川県は坂出。駅から4秒でイオン。なんだか気分がぶち壊しではあるが、そんなものは旅人の勝手であって、住人の身ともなれば有難い立地だろう。ちなみに岡山も駅から歩いて5分くらいでデカいイオンがある。イオン二つを結合させるのが瀬戸大橋、なんてアンチロマンな考えがふと頭を過る。

朝飯を食べそびれてこの地に降り立ったので、うどんのハシゴをしようと決意。うどんのハシゴをやりそうな体格かつ、俺はまだまだ若いのだ、やるしかあるまい。というわけで街をひと歩きして適当なところへ。入るとなんとも赴き深い店内で、先日亡くなった名優たちが若い頃にそこでメシをかっ喰らっていたらさぞ画になったろうなぁという趣。オヤジさん1人で商っていて、香川方式がよく分からずとりあえず注文してみたら正直方言がキツすぎて何を言ってるのか分からんかったが、とりあえず"サービスしとく"との意を汲み取った。ハシゴやろうと思ってた矢先から大盛である。体型の役得なのかどうかはオヤジさんのみぞ知る。ごちそうさま。

2軒目はオバちゃんたちのオバちゃんたちによるオバちゃんたちの店で、これまた香川弁がキツく、オバちゃんたちに話しかけられたけれども曖昧模糊と返答してしまった。なにせこちとら二杯目のうどん、お腹が満たされてきて脳よりも胃の方に血が行ってしまってるのだから仕方がない。

とにかくうどんの単価が安い。うちの大学祭のうどん屋より軒並み安い。こっちがそれで商売賄えるのかと思うほど。そして美味い。ごちそうさま。

またマリンライナーに乗る。今度は来た時とは反対の座席に座る。やっぱりイイ。延々と往復していたくなるような。退屈なレールと列車の軋み音が人魚の歌声だったらなぁ。

私の外見はどちらかといえば鬼だもので、なんとも、この桃太郎の地にはふさわしくないと我ながら思った。そんなわけで本州再上陸。岡山を探検する。ボロいカプセルホテルを本拠地として。

まぁ、酒はどこも変わらんのでなんとも言えないが、県の魚がサワラだそうでそれを頂いたりした。我が故郷はメヒカリとかいうネコでも食わないのがシンボルなのはちょっと残念であるなぁと岡山にて思わされる。でもメヒカリのあのマークは可愛いとは思うのであった。

4日目。鬼は去ります、きびだんごを自ら買って。朝の散歩代わりに路面電車に少し揺られて岡山城。やっぱり街は城下町に限るね。落ち着くぜ。

再び関西弁の雲の中を通り過ぎ、目指すは朝比奈掛川城。夢追う旧友訪ねていざ静岡のド真ん中。そんなこんなで帰ってきたぜ太平洋、遠路はるばる6時間ってなもんさ。

晩飯は旧友と。静岡麦酒と静岡名産の肴で一杯。やっぱり生の桜海老はいつ食べても美味しい。色々と積もる話をして実に楽しい夜だった。

5日目。朝イチの散歩で掛川城へ。これまたご立派。シャチホコつきです。まったく理解してもらえないことかもしれんけど観光地図を見て、ここの治水者は頭いい人がいたんだなと思いを馳せるなど。ほんとは友人に教えてもらった掛川花鳥園に行きたかったがやむなく。

最終的にお茶の詰め放題なるものをお土産に福島へ戻ることに。

生まれてこの方、旅先で雨に降られたことがない星の下に生まれた私であるが、毎度帰れば雨か雪がしっとりとお出迎え。まったくもって、いつもこうなのだから私にとっては雨も雪も親しい友人みたいなものである。いっそ洪水、大雪の地に降り立って世間のお役に立ちに行きたいところである。

競馬等の賭け事博打のツキはこれっぽっちもありはしないが、自分のあとに客が立て込んだり、渡る道は青信号ばかりと旅行運だけは恵まれているのかもしれん。そのたびになんだか自慢の福耳が萎む気もするけれども。

ラーメン、うどんに餃子におでん等のB級グルメ。走る電車の色と。そして、私とただすれ違うだけの人々。それぞれには僅かな差異しかない。少なくとも手前にとっては、だが。鈍チンなのは重々承知だ。

だがしかし、ちょっとずつ違うのにもかかわらず、それは私のちっぽけな枠にコツりと当たり良い響きが鳴る。普段だって、そういうもんだと思ってはいるが、なかでも私は一人旅にてその音には敏感になるらしい。

また私は旅で出会うそれが好きなのだと思う。

おわり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?