君はアジフライに何かける?(まとめ)

アジフライ。鯵フライ。あじふらい。コロッケやメンチカツと並び、安価で身近な庶民的な揚げ物の一つであり、家では調理したくない揚げ物でもあり、孤独のグルメや賭博黙示録カイジ、その他メディア展開もなされている素敵なフライ物。これだけポピュラーな存在でありながらもアジフライに関する初出のレシピやウィキペディアの歴史などはインターネットには見つからない。かくして以下の内容は白身魚よりも格調高く、しかしながら海老には劣る、そんな魚介系フライ界の苦労人でもあるそんなアジフライについての記事である。前置きはさておき以下どうぞ!🐟

私は先日ツイッターでアジフライにはどんな調味料をかけるか、というアンケートを取った。
そしてアジフライというパンドラの箱を開けた。それは"きのこたけのこ"以来の闘争の火種になりかねない、フライ界の抱えた大きな火薬庫であった。
とはいえアジフライ問題は"唐揚げレモンの悲劇"問題にはならなさそうだ、というのは唯一の救いだろう。そう、アジフライは少なくともみんなでつまむものではなく、一人一枚ずつ食うものというコンセンサスを得られているはずであるからだ。

さて、今回この調査するにあたり、以下のような想定で四つの選択肢を揃えることにした。

まず一つ目。中濃ソースだ。フライ物なのだから黙って中濃ソースだという人に。ドロッとしたよくあるタイプの、いわゆる"とんかつソース"だ。私としてはこれがスタンダードだと考えていた。

そして二つ目。ウスターソースだ。関西圏ではポピュラーだと聞いている、いわゆるサラサラしたタイプのソースである。ちなみにブルドッグソースの中濃ソースとウスターソースの成分表を比較すると後者には前者にはない魚介系の風味が付け加えられている。また、アンケートとは別にアジフライのためにウスターソースを冷蔵庫に鎮座させているという方も見受けられた。

そして三つ目。お醤油だ。やはりフライ物といえども魚介。魚である。しかも青魚という、いかにも魚らしい味わいの強いアジだ。やはりお刺身、焼き魚にせよ魚には醤油という味付けのイメージが強い。ちなみに筆者の父は揚げたてならウスターソース、冷えているなら醤油というめんどくさい人物であることが分かった。

最後に四つ目。タルタルソース。これもまた魚介のフライ故に、魚介系フライの王様エビフライ同様の食べ方をしたい人のための選択肢だ。ちなみに、タルタルソース過激派のなかにはタルタルソースを食べるためのもっともらしい理由を得るため、所詮はアジフライはタルタルソースを味わうための、タルタルソースを載せて口に運ぶためだけの、プラットフォームに過ぎないという意見もあった。

そして投票期間を1週間設けて、投票数全128票が集まった。その割合が下記の通りだ。

中濃ソース28%
ウスターソース23%
醤油26%
タルタルソース23%

という結果になった。
選択肢が四つしかないということもあるだろうが、ソースとウスターソースを"ソース軍"だと括ったとしても51%で圧倒的マジョリティにはならないのだ。そして、醤油派のその根強さたるや。日本人のDNAに茶色く染み込んでいるのかのようだ。
またその醤油と同率でタルタルソース派がこんなにもいるということに驚かされた。まさにサイレントマジョリティか。選択肢にタルタルソースがあればタルタルソースをかけたい人がこれほどまでに多いとは。たしかに私自身タルタルソースという調味料には非日常、いわゆるハレの日というものを感じる。こうして私のソース軍圧勝という先入観は見事に打ち砕かれたのだった。

これらの調味料以外にも、想像力を働かせれば、ケチャップ、マスタード、和辛子、マヨネーズ、何もつけない、塩、オーロラソース、天つゆ、ポン酢、おろしポン酢、タバスコ、スイートチリソース、柚子胡椒、レモン…などが思いつく。名古屋人からは、"つけてみそかけてみそ"だろう!という意見もあった。沖縄コーレーグースやら新潟の"かんずり"という意見も!

私は気付かされたのだ。アジフライはなんて無限大の可能性を持っているのだろうかと。その懐の深さたるや、日本海溝よりも深いものであると!

…私たちが一生に食えるアジフライは一体何枚あるというのだろうか。私たちが油モノを味わって食える期間というのは間違いなく有限だ。人生は選択の連続でいっぱいだ。ちっぽけなアジフライ一枚とっても、私たちは調味料という選択を迫られる。
だからこそ私は願う。誰も彼もが悔いのないアジフライを、悔いのない調味料で食うことを。美味しいご飯を食うことを。良い肴をつまみ、良い酒を飲むことを。

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