ヒーローになるから、すっこんでろ

俺は、いつから強さまで他人に任せてしまっているのだろう。
守る強さまで、俺は誰かに背負わせていないだろうか。
なぜ俺はそこに、強さのある場所に、立っていないのだろう。
立たせてすらもらっていないのか、誰かに守られているのかは分からないけれど。
カッコつけて、カッコよくて、強くて、そんな立ち回りをしたかったあの頃、いつか俺もそこに立つと信じていたし、憧れていたよな。
大人になるにつれてそんなババなんか引きたくなくなって、でもババ抜きはイチ抜けしたやつよりもババ引いたやつの方がみんなの記憶には残ったりして。
俺の強さは誰かに取られて奪われてしまっていたと、ついこの間までは思っていたけれど、やっぱり他人に任せっぱなしで、それは預けたとかいう言葉ではなくて。
五円ぽっちの賽銭で、なんでも頼む俺みたいな阿呆が他人任せに忘れるようにして生きてきてしまったなあ。
俺たちは何処に行く?死に場所は決めたか?じゃあ、そこで死ぬだけなんだろう?
分かってくれる奴だけが分かるような死に方も悪かないけれど、やっぱり俺は分かりやすく、カッコよく死にてえなあ。
男が男らしく生きてえ、砂糖にまみれさせられて窒息して死んじまいそうだ、強がったって結局弱え、どうにかなっちまいそうだ。
とっとと死にてえ、ミジメになりたくねえ、ロクな死に方がしてえ。
聞く前になんとかしておきてえ、恥ずかしさよりも大事なこともあるから難しいよな。
明日からなんとかするで死んでる、そんなのでもいいやな。
必死こいて生きて時々サボって悪さして、結局間が悪くて貧乏くじで、どうしようもないいつもの毎日で、当たるのは悪い予感ばっかり、ギャンブルやってもさっぱりなもんで。
それでも、そんな俺でも、どこかカッコよく生きて、強くなってみたいんだ。
手札はもう決まっているし、明日急には強くはなれないのも分かってる。強くなることは夢見ても、一発逆転の一手まで望んじゃいないから。

やらなければならない、たとえそれが叶うのが死ぬ間際だとしても。そうだろ?

男ってのはさ、"俺は死んでもこれだけはやらないぞ"っていうことを肚に決めて、矜持をいくつか肩に引っ掛けて、それを引きずって歩いて死ぬ。ただそれだけなのさ。

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