Domoではじめるビジネスの健康診断 - 予実差異分析編
DomoのテクニカルコンサルタントのTatsuです。
DomoはCloudベースのModern BIというコンセプトを掲げており、大量データの可視化やシェアのための機能に大きな強みを持っています。
世の中にBI製品はたくさん存在しますが、Cloudベースであることによって一体どんなメリットを提供できるのでしょうか。少し長い記事になりますが、ダッシュボードの実例も交えてご紹介していきますので、ぜひ最後までお楽しみください。
今回のテーマは「予実差異分析」です。
どの会社でも毎月・毎四半期行われている業務ですが、意外と手間がかかっているのではないでしょうか?
経営企画や経理部門でDomoを導入する場合、経営ダッシュボード構築のために会計の伝票明細や予算データを連携するというケースがよくあります。
Domoに明細データを連携した後に、このソリューションを10分程度で構築してご紹介すると、その使いやすさと画面レスポンスの良さに皆さま驚かれます。
予実差異分析業務のペインポイント
予実差異分析とは、売上や費用に対して予算と実績の金額差の要因を確認し、マネジメントに報告する業務です。経営が想定している通りに進んでいない領域の原因報告なので、非常に重要な業務になります。会社によっては予算ではなく見込や前年同月実績と比較するケースもあります。
この、「要因」を探っていく作業には多くのペインポイントが存在します。
①差異要因がさまざまであること
予実が乖離する原因はその時によって様々です。
例えば、業務委託費が予算超過していた場合、その要因は特定の部門の退職による人員不足だったのかもしれませんし、特定の商材の売上急増だったのかもしれません。
部門・商材・プロジェクト・取引先など様々な要素のうち何が最もパフォーマンスにインパクトを与えたのかを定量的に特定するのは実は面倒な作業です。
会計システムやBIツールであれば、要因となりうる要素に対して順番にドリルダウンしてはまた戻ってと操作しながら、ボトルネックを探していく必要があります。
②伝票明細件数が膨大であること
ボトルネックになっていそうな要素を特定したら、最終的にはその元データである伝票明細の摘要欄を見ることで、その費用が発生した要因を確認するケースがよくあります。
しかし、明細データの件数は膨大です。
Excelのピボット表や一般的なBIを利用して数百万、数千万件の明細データに対して集計やドリルダウンをすれば動作が重くなったり固まってしまうことも多いのではないでしょうか。
Domoで実現する予実差異分析
Domoを使うことで上記のペインポイントは一気に解決します。Domoで販売管理費の予実差異分析をする事例を具体的に見ていきたいと思います。
今回ご紹介するサンプルダッシュボード は以下になります。勘定科目別・部門別・商材別に、販売管理費の計上金額と予算差・対予算比が表示されています。一番下には元帳明細の一覧があります。
一見これだけだと、ただ集計表が並んでいるだけのページに見えますよね?でもこのシンプルなダッシュボードがDomoのパワーを実感いただくとても良い事例なんです。このダッシュボードがあれば毎月の予実差異の原因特定業務がぐっと楽になります。
ポイント1:ダッシュボードの作成が簡単
前提として、Domoには会計システムから元帳明細(仕訳の明細)が既に連携されているものとします。その状態からスタートした場合、上記のダッシュボードは10-15分程度で作成可能です。Excelでピボットテーブルを作成するイメージで、Domoのチャート作成画面で元帳明細のデータを読み込んで、集計軸として「科目」を指定するだけです。このとき、元帳明細と別に科目別集計テーブルをDomo上で作成したり、事前に連携したりする必要はありません。
ポイント2:大量件数データでもサクサク
なぜ別途集計テーブルを作る必要がないかといえば、Domoの各種チャートのパフォーマンスが素晴らしいためです。元帳明細が数百万、数千万件あったとしても、それを直接読込んだチャートや表はサクサク動いてくれます。この圧倒的なパフォーマンスがあるからこそ、読込速度を改善するための無駄な集計テーブルを設計・実装・メンテナンスする必要がなくなるというわけです。
ポイント3:表クリックで高速フィルタ
さて、これが最後のポイントです。先ほどのダッシュボードを使ってどうやって予実差異の要因を分析していくのか、説明していきます。
まず最初に確認するのは一番上の科目別の集計表です。
これを見ればどの科目が予算を超過していたのか(差異分析をしなければならないのか)がわかります。今回は業務委託費が予算に対して500万円・8%超過も超過してしまっています。では、何が要因で超過してしまったのでしょうか?特定の部門が大幅に超過したのか?それとも特定の商材になにか異常があったのか?
数字から要因を追うために、「業務委託費」をクリックしてみます。すると、ページ全体に「科目=業務委託費」というフィルタがかかります(クリック時にドリルダウンする設定もできますが、クリックした要素で自動的にフィルタがかかるのがDomoのデフォルトの挙動です)。
すると、セグメント別として画面下の方に用意してあった部門別・商材別の集計表も自動で業務委託費のデータだけにすぐに絞り込まれます。この状態になれば、業務委託費の予実比に最もインパクトを与えた部門もしくは商材が何であったのかが一目でわかるわけです。
今回は部門ごとの超過状況にはあまり差はありませんが、商材別で見たときに「保守」サービスが58%予算超過、予実差が364万円となっており、業務委託費全体の超過額500万円の大部分を占めていたことがわかります。
さらに、もっと詳細について確認したい場合には「保守」をクリックします。すると、今度は業務委託費に加え、商材=保守でページ全体にフィルタがかかります。すると、画面の一番下に用意してあった元帳明細が「業務委託費かつ保守」の明細だけに即座に絞り込まれます。そのまま摘要を見れば、今回の予算超過がなぜ起きたのかすぐに把握できるというわけです。
まとめ
このように、数字を見ながら気になる科目やセグメントをクリックしていくだけで、その数字にインパクトを及ぼした要因が何だったのかを画面遷移なしで簡単に確認していくことができるのがこのダッシュボードの大きなメリットです。
さらに、クリックベースでデータを追っていく際にダッシュボードのパフォーマンスがよいのも重要なポイントです。
Domoであれば明細データの件数が数千万件であっても、絞り込みした結果が1秒程度ですぐに表示されるため、要因となりそうなセグメントを次々にクリックして切り替えながら調査する業務をストレスなく行うことができます。
さて、次回以降では同じ考え方をマーケティング領域の分析業務に活用した事例をご紹介します。コンバージョンレートや市場シェアなど、業績の上下に影響を及ぼした要因が何であったのかを分析する業務では全く同じ手法を活用することができます。お楽しみに!
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