エネルギー保存の法則と、嫉妬。

世の中には「エネルギー保存の法則」というのがあるが、

これは「感情」にも当てはまる。


オリンピックで金メダルを取って喜ぶ選手、銀メダルで泣いている選手。

映画館でスターウォーズを見て楽しむ観客、何度も同じ映画を観て、眠気を我慢する映画館スタッフ。

プラスの感情が発生した時には、同時にマイナスの感情が発生し、うまくバランスがとれるようになっている。いわばトレードオフの関係。

でもひとつだけ、このエネルギー保存の法則が当てはまらない感情がある。

嫉妬だ。

嫉妬は、自己の中で勝手に発生し、勝手に消化するから、どの感情ともバランスしない。


イチローに対して嫉妬しないが、レギュラーの座を奪った後輩には嫉妬する。

斎藤工に対して嫉妬しないが、A子と付き合っている、親友のB男には嫉妬する。

この違いは何か。

「自分が持つはずだったものが奪われた」

この一言に尽きる。


「本来であれば自分がレギュラーになるはずだったのに、後輩になった」

「本来であれば自分がA子と付き合うはずだったのに、B男と付き合っている」

この「本来であれば」以下のところが、嫉妬の原因だ。しかも残念なことに、たいていは被害妄想である。


客観的に見れば、実はあっさりと勝負はついている。

単純に、後輩の方が上手かったから、後輩がレギュラーになったのだ。

単純に、B男の方がイケメンで性格がよかったから、A子と付き合っているのだ。

これ以上でもこれ以下でもない。負けたのだ。

この事実から目をそむけ、負けた自分を少しでも正当化しようとする行為が嫉妬だ。

しかも、嫉妬からはプラスのエネルギーは生まれない。自分を正当化したがゆえに、自らを高めようとする向上心がなくなるからだ。つまり、エネルギー保存の法則は嫉妬においては成り立たない。


いかに、冷静に客観的になれるか。

言葉で理解するのは簡単だが、実際に行動に落とすのは難しい。冷静さを保てない。だからみんな、嫉妬をしてしまう。

もし周りにこういう人がいたら、金輪際近づかないことだ。自分のプラスエネルギーが、ついうっかり、相殺されるかもしれない。陰口も同じ。マイナスエネルギーの集団は、必ずプラスのエネルギーを無駄に消費している。


神様は何の意図をもって、人間に嫉妬という感情を与えたのか。

人間が何の困難もなくすんなり事が進むのがつまらないから、あえて「小石」を置いて人間が転ぶのを見て楽しんでいるのだろうか。

人間が嫉妬して苦しむ一方で、神様が楽しんでいる―

そういう意味では、エネルギー保存の法則は、やはり嫉妬にも当てはまるのかもしれない。

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