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東名シェアサイクル(前編)

どうも、とみよしです。

 限界旅シリーズ(そんなシリーズはない)もかなり限界みを感じてきました。この次の企画のハードルが成層圏です。先日、僕の通う大学から実家までシェアサイクルで帰省してきたので、その道中をここに記しておこうと思います。

※県道〇〇号は「r〇〇」と書く方が一般的ですが、このnoteでは「K〇〇」と表記します


 これは僕が所属している某合唱サークルの、「家遠選手権」という企画の一節である。卒団パンフレットから見にきた人は♡を押していってください宜しくお願いします無料なので(懇願)

 学生会館に着き、折角なのでと地理学研究会の部室に足を運ぶ。くまっぷ、闇くまっぷとうさまるで記念撮影。

こいつらかわいいよね。わせ祭にも出演してた

 朝9時過ぎ、学生会館に集まる予定なのは4人だが、蓋を開けてみると僕を含めて2人しかいない。他の2人は寝坊したらしい。つらいね。ちゃんと定時に着いたくーさん(仮称)は春日部まで歩いて帰るということで、彼女もなかなかの健脚である。

 9時を少し過ぎ、学生会館の前でくーさんと別れる。戸山公園を突っ切って、徒歩10分くらいのポートに向かう。

VORT東新宿ポート

 東新宿駅の近くのポートで自転車を借りた。バッテリーは100%で、エコモードだと70kmくらいは持つらしい。このポートからはあまり充電がされていない自転車しかなくても借りて乗っていこうと思っていたので、運がいいのか悪いのか分からない。予算を抑えられたという意味では運は良かったのかもしれない。

 明治通りを南下し、新宿四丁目交差点を右折して甲州街道に入る。笹塚駅辺りでで甲州街道に別れを告げ、ようわからんほっそい道を通って東松原駅、豪徳寺駅を通過。世田谷区鶴巻あたりから用賀駅に抜け、さらに二子玉川駅まで進む。豪徳寺駅から用賀駅の間は道が複雑だったので、予め試走しておいた。実際に旅をして思う、試走はものすごく大事。ここまで約1時間20分。極めて順調である。

にこたま。東京脱出ももうすぐ

 多摩川を渡ると神奈川県だ。ここまでは一瞬。東京都の区間は本当にすぐ終わってしまう。

 今回のルートは、大まかには国道246号で御殿場回りで沼津まで抜け、その後は基本的に国道1号を辿ることにしている。電チャリとはいえどママチャリなので、スポーツバイクとは異なり坂にめっぽう弱い。特に下りだ。上りはアシストがあればどうにでもなるのだが、下りのブレーキはすぐ音鳴りするし非常に不安であった。上りもアシストがあるから比較的楽に上れるが、バッテリーが切れたらどうしようもない。そんな状態で箱根の上り下りは流石に無茶があると思い、御殿場周りを選択した。

 結論から言うと、御殿場回りは正解だったと思う。御殿場近辺が最高点なのは計算外だったが(これはただ準備不足なだけ)、それでも御殿場から沼津まではほぼ下りで、ママチャリながら車の流れに乗って快適に移動できた。距離は多少伸びたかもしれないが、個人的にはあまり気にならなかった。

 話を戻す。R246沿いに走ると言ったが、純粋にR246を走ってしまうと大和市(つきみ野駅の近く)でポートが終わってしまい、バッテリーの心配をしながら県境越えに挑まねばならない。少し南の中原街道を通り、寒川から西に進めば平塚市の北端にあるポートで自転車を交換できるので、川崎市内でR246から外れ、途中で中原街道に合流して横浜市を越えることにした。

 鷺沼のマックの脇を左折し、都筑区の区役所通りを通ってセンター北、センター南駅を抜ける。この辺りはひたすら下り坂で走ってて楽しかったし、バッテリーを全く消費せずに進むことができた。川和町駅、中山駅脇を抜け、中原街道に合流。さらに南下する。単調で本当に何もなく、その上アップダウンが激しくバッテリーをまあまあ消費してしまったが、三ツ境まではシェアサイクルのポートはいくらでもあるので全く心配することはない。

この辺はアップダウンがきつかった。
キャノボ研究のブログでも中原街道はおすすめしないと書いてあったが、その理由を突きつけられた

 坂だらけの緑区、旭区を抜けたら、真っ平な瀬谷区に突入する。とは言っても三ツ境駅くらいでしか瀬谷区での写真はない。

 大和市に入り、桜ヶ丘駅を通過するタイミングでちょうど12時になった。駅脇のコンビニに入り、軽く食料を調達する。てか学館から桜ヶ丘まで途中コンビニに寄らずにきてたのか、我ながらよく頑張ったな。

 桜ヶ丘駅を過ぎて厚木基地を過ぎるといよいよなんもないゾーンに突入する。なんもないゾーンというのは失礼かもしれないが、長距離歩行などをしたことがある人は手軽な目印が存在することが安心感に繋がることを経験上ご存知だろう。

 山手線一周は約37kmだが、1日で歩くことに挑む人は大学生を中心に比較的多い。それは約20分歩けば次の駅が存在するからだと僕は考える。なにかしらの目印が30分圏内にあるというのは、精神的な安心感があり、やる気の維持が比較的容易なちょうどいいレベルと僕自身は感じる。今回の自転車旅でもそれは例外ではなかった。目印がないというのは肉体的なキツさに加え、精神的なキツさものしかかるのである。

 ただ、田舎になればなるほど目印は少なくなるものである。このために修行をしていたわけではないが、僕の中では1時間というのが一つの目安である。歩くときも、5km圏内に何か目印があれば頑張れると思うし、自転車で走るときも15km先までに何かあるととても精神的な支えになるように感じる。

 話を戻そう。次のチェックポイントの寒川駅までは12km。絶望的に遠いわけではないが、向かい風も相まって一つ目のしんどいゾーンではあった。寒川駅に着き、相模川を渡ったところでスタートから4時間が経過。4時間で平塚市に入れたと思えば比較的いいペースで進めているんじゃないかと思える。4時間で55kmなので平均速度的にも悪くない。まあ一回もアシスト切らしてないしねこんなもんだよね()

 チェックポイントは大まかにしか決めていなかったが、自転車を交換する場所はかなり丁寧に決めていたつもりだった。御殿場の山越えに挑む前に自転車を交換する場所は、平塚市の花菜ガーデンと決めていた。しかし、今回の1回目の誤算は花菜ガーデンであったのだ…。

バッテリーの残量がない自転車しかない。

 40%。25%。10%。3台しか自転車がいないのにこんなに運が悪いことあるだろうか…。数日自転車の状況を見ていて、平塚市北部にあるポートの中では最も自転車が安定して供給されていると思っていたのに。今回はハロサのアプリを見ずに突き進んでいたので、それが完全に裏目に出た形となった。

 急いでアプリを開き、自転車の状況をもう一度確認すると、600mくらい手前の普段はあまり自転車がいない鈴川東橋のポートにまあまあな量の自転車がいる。600mなら許すか…と少ししんどさを感じながらきた道を引き返す。

鈴川東橋ポートで1回目の自転車交換。

 自転車を交換し、山道に繰り出す。とはいえ、山道に行くまでがかなり長い。ここからは神奈川県道62号で秦野まで進み、後はバイパスを回避しながら国道246号で県境越えに挑む。県境を越えたら静岡県道394号で裾野、沼津まで進む。

 しかし最初のK62が怖かった。路肩も極めて狭いし、歩道も右側にしかなく歩行者もそれなりにいる。何より堤防道路なので立体交差が多く、トラックも多い。東海大学を越えてもずっとヒヤヒヤしっぱなしな状況なので、多少時間が伸びることを覚悟の上で脇道にそれる。水無川を越えたあたりで歩道が復活していたので県道62号に復帰し、脇道にそれつつ秦野駅に到着。軽く補給を行う。

 渋沢駅の近くまでは秦野駅から生活道路(とはいえバス通りなのでそれなりにちゃんとした道)が伸びているので、R246まではスッと出られる。その先のR246はずっと歩道があるし、そもそもこんなところを歩いて越える人はいないので歩道を爆走できた。精神衛生上非常によかった。

 新籠場交差点は右折してはいけない。ローディーへのお便りである。まあみんな知ってると思うけど、R246バイパス地獄の始まりである。籠場交差点を右折しK72を進むと松田駅に到着。松田駅は御殿場線の、JR東海管内の駅である。これから死ぬほどJR東海の駅に接することになるが、それはさておき、オレンジ色のJRマークを見てテンションが上がったのも事実である。そしてカロリー不足を感じて小休憩。

松田駅。ここから長く険しい山越えが始まる

 K72を抜け、R246に復帰する。しばらくは歩道があるが、この区間は歩道があったりなかったりと入れ替わりが激しい部分である以上に、トラックの往来が多い。恐らく静岡に抜けるのに勾配が少なくて走りやすいのだろうが、歩道がなければ死である。かなり調べたつもりではあったから通る道自体に自信はあったが、怖いことに変わりはなく、最初から並行している県道を使う予定だった。山北駅を越え、樋口橋交差点でK76に逸れる。相変わらず歩道はないが、そもそもの交通量が少ないので気にならない。

 R246の県境手前までは右側(上り)にしか歩道がなく、どこかで右に渡らなければならない。それが今回のルート決めで最も悩んだところだった。K76からK728に進み、谷峨駅前を越えてK76に合流する前で右折すると右側の歩道に進めることに気づき、その道に進む。清水橋交差点で再び左側の歩道に復帰し、暫く走るとついに静岡県入りである。ちょっとだけ感動。

長い長い静岡県の入口

 県境を越え、ローソン白岩店を越えた先を左折しK146に入る。本来はここで折れる必要はないのだが、駿河小山駅と記念写真を撮りたかっただけである。駅を越えたら線路を跨ぎ、K394に合流。この辺りが精神的にかなり苦しかったかも。この辺りでバッテリーが切れてきたのでアシストをオフにして、御殿場駅まで粘ることにした。近くの高校生にめっちゃ白い目で見られたことしか記憶がない。そんな冷たい目で見ないでよ。

 これは完全に僕の準備不足なのだが、御殿場周りの県境越えの最高地点は県境辺りだろうと思っていた。少なからずそういう印象があった。しかし小山を越えてもまだ上りである。かなり精神的にすり減らされたのは、「ゑ、この辺って下りじゃないの?」という気持ちがあったことが大きい。間違いなく大きい。

 御殿場駅に寄るために杉原交差点を直進し、東大路線に入る。やや狭い道ではあるが走りにくい道ではない。歩道の凹凸が多く、思っていた以上に揺れるがそれ以外は気にならない。しかし、その歩道の凹凸がこの後ドラマを生むことになるとはこの時は全く思ってもいなかった。

 御殿場駅に着くが、うさまるがいない。もう一度言う。うさまるがいない。

 それはもう大変なショックであった。19歳の誕生日プレゼントに友人に貰ったうさまるである。過去の長距離歩行の時にずっと持ち歩いていたうさまるである。一緒に山手線を歩き、一緒に渋谷横浜TTをこなし、一緒にユーカリが丘徒歩巡回をしたうさまるである。ポケットに入れていたはずのうさまるがいなかったのは、この旅で一番しんどいことだった。

 しかし、よく考えてみれば駿河小山駅では一緒に写真を撮っているので、1時間かけて駿河小山駅まで戻れば確実にどこかにうさまるは落ちているはずである。駿河小山駅まで戻って見つからなかったらきっと立ち直れないが、それならそれでいいやという気持ちもあった。その時は今回は失敗でいいや、と。何か変な覚悟を持って、戻って探すことにした。

 20分くらい走っただろうか。どっちの歩道を走ったかを思い起こしながら走っていたら、いた。

お、おるーー!

 この旅唯一の涙がここである。この感動はきっと文字だけでは伝えられまい。一度皆さんも経験してみてほしい。ハイリスクも過ぎるので勿論落とさない方がいいと思うけれど。まあこの感動はなかなか味わえまい。

 この後は順調そのものであった。40分遅れで御殿場に再び到着し、記念撮影を済ませたのち、再びK394に合流して裾野を目指す。危険と言われたら何も言い返せないが、ここからは沼津までほどんどずっと下り坂であった。信号の流れも良く、ママチャリなのにシェアサイクルなのに30km/hオーバーで流せている。普段からこの速度域で走っていてよかったなぁなどと思う。というか調子が良すぎてあまり覚えていない。ママチャリ一般道で平均速度20km/hというふざけた数値を出せるのはこの区間くらいだろうと思う。流石に今回の旅の最速区間はここだった。

 裾野駅近辺で自転車を交換するつもりだったが、ポートに自転車がない。この段階では次の自転車をどうするか、2つの選択肢があった。

1.ちょっと遠回りであるが、下土狩駅のポートで自転車を交換する
2.今乗っている自転車で沼津まで走り切る

 結論を言えば、今回は2を選択した。バッテリーは残り10kmもないが、御殿場から裾野辺りまで走ってきて2kmぶんくらいしかバッテリーは減っていない。沼津は海沿いの街だし、ずっと下り坂だろうと踏んで沼津駅まで一気に進むことにした。結果としてはこれがハマり、爆速で沼津まで抜けられたので最高である。沼津駅の近くで本日一食目となる牛丼を食す。

うさまるは食べ物ではありません

 沼津駅南口で自転車を交換する。裾野、三島、沼津のシェアサイクルは小径車の車両が導入されている。多くの人は嫌なのかもしれないが、僕は普段から小径車に乗っているので全く気にならず、むしろ車重が軽いのと加速がいいので気にいった。ハンドルがママチャリ特有の形ではなく横向きのストレートハンドルなのも良いと思った。

 今日は静岡駅まで走る予定だが、田子の浦港あたりまでは県道380号線を走り、その先は今回の旅で初めてとなる国道1号線を通る予定だ。蒲原、由比辺りでは国道1号線は自動車専用となるため一度県道396号線に逃げる。その後は太平洋自転車道を通り、国道1号線に復帰して静岡駅を目指す。

 沼津駅を出て暫くK380を通るわけだが、左側は防砂林、街灯も少ないというかなり怖い道ではあった。信号の流れが非常によく走る上では良いのだが、日が暮れた後に走るのはやや辛いところがある。この区間は偏西風の影響で殆ど向かい風が吹いている区間だが、当日はほぼ無風だったことも大きい。

 田子の浦港から由比までは恐らくキャノンボーラー御用達の道だろう。檜交差点を左折し、吉原駅を越えた先の交差点で右折。道なりに進むとある歩道を抜けると自然にR1に合流するので、ひたすら前に進む。富士川を越えると自転車は側道に下ろされるので、側道を伝って新蒲原駅付近からK396に合流する。

 由比駅を越えるとK396はR1に合流する。R1は自動車専用道路なため、この先はR1と東名高速に挟まれた太平洋自転車道とかいう、歩道にしては幅が広すぎるよくわからない道を進む。まあ信号はひとつもないしアシストが切れる心配も全くないので、この区間は快調に飛ばしていた。

ちょっと先だけど清水駅
この辺の駅間長すぎん?完全に舐めてた

 R1の自動車専用区間を抜け興津駅に着いたのだが、僕の体感この先が非常に遠かった。もう静岡市にとっくに入っているはずなのに、全く静岡に着く気配がない。というか清水にすら着く気配がない。興津から清水は1駅のはずなのに。この辺りで合唱サーの同期からコンビニで使えるクーポンを貰いメンタル回復。清水駅着。

 ここから静岡駅も遠いのだが、これに関しては僕が悪い。完全に隣町、数km先の街だと思っていたのだが完全に思い込みだった。最短ルートで12kmある。途中に駅はあるものの、R1からは微妙に外れるのでわざわざ寄るほどではないのもまたつらい。22時を回りかなり冷え込んでいる中、風に煽られてアシストをMAXにして飛ばす。今日のラストスパート。

暗くなっちまったねぇ

 静岡駅着。時刻は23時を回り、体力的には余裕はあるものの膝の痛みがだいぶ厳しくなっている。静岡駅前のポートに自転車を返却し、駅近のアパホテルに今日は宿泊することにした。明日も180km走らなければならない中、カプセルホテルとかネカフェとかで値段を浮かせようとするのは野暮である。

ということで1日目はここで終わり。

一日目の走行距離:187.5km
所要時間:13時間10分(ミスコース等によるタイムロスを除く)

思いのほか長くなりそうなので後編に続く。

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