常に女性に愛される男
センセーションを巻き起こしている、映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』
【結論】
【本作における、『死』の暗示は、『風車(かざぐるま)』のシーンを用いた。】
映画後半。
山崎富榮(二階堂ふみ)との接吻を、妻(宮沢りえ)と子に見つかってしまった太宰(小栗旬)。
どうしようもなくなった太宰は、いたたまれずに縁日の露店をさまよいだす。
ふと、その中の『風車』に吸い寄せられる。
百もの『風車』に幻惑させられる。
それらが、まるで、彼をあざ笑うかのように、突然、一斉に回り出す。
すべての人生の『歯車』が狂ってしまった瞬間である。
『風車』のシーンが太宰の『死』を暗に示した。
まるで。
芥川龍之介が、遺作『歯車』で感じたのと同じ瞬間。
世を嫌い、厭う芥川が、街角で、世の中のすべての『歯車』が狂うのを感じる。
すべての嫌なことを避け続け、ふと、街の裏通りに逃げ惑うと、、、
果てに、不吉な黒猫にさえ、そっぽを向けられてしまう。
太宰は、『死』への幻惑を見てしまった。
現世に、二度と戻ることのできない、まばゆいばかりの誘いである。
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