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「花束みたいな恋をした」について(今更, ネタバレあり)

「花束みたいな恋をした」は今年の一月に公開された日本映画です。ラジオで紹介されているのを聞いて早速2度見に行きました。その感想をばーーーっと書いたきり下書きに眠らせてたのですがここに供養したいと思います。よってオチのない文章になっておりますが、ご了承ください。

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久しぶりに映画館へ行ってきました。見てきたのは「花束みたいな恋をした」です。しかも、2回も見てしましました。映画を見て自分なりに思ったことを書こうと思います。映画のあらすじなどは詳しく説明しませんが、公式サイトなどを参照していただければと思います。結論から言うと、自分にとってこの映画は主人公の姿が自分自身の変化にとても重なり、自分自身が成長する中で失ったものに気付かされた映画でした。そして、恋愛そのものを描いた映画であると感じました。

この映画のあらすじを簡単に紹介すると、ある日偶然出会った男女(麦くんと絹さん)が共通の趣味(同じ小説を読んでいたり、同じ映画を見ていたり。。。)を通して恋に落ち、ともに過ごした5年間(2015年〜2020年)を描いた映画になります。一つポイントは映画のタイトルが「花束みたいな恋をした」、すなわち過去形であることだと思います。そのため、映画は最初2020年のシーン、二人の恋がすでに終わってしまったところから始まり、5年間を振り返るという形になっています。二人の物語は大学生から始まります。学生時代の2人は共通のカルチャーそして気持ちを共有し、幸せな時間を過ごします。二人は同棲し始め、大学卒業後二人ともフリーターになります。麦くんはイラストの仕事をちょくちょくしていますが、生活を成り立たせ、彼女とずっと共に過ごすために就職をします。しかし、仕事の忙しさから彼女との時間は減り、また、二人を繋いだ小説や音楽、映画などのカルチャーに疎くなっていきます。そして、好きなことを仕事にするといった夢を追うことよりも、生活するために仕事をするという価値観に切り替わっていくように思えました。気になったのは彼の本棚が以前は小説などが多かったはずが、そのうち自己啓発本や仕事術のような実用書が増えていっているように見えました。また、絹から読んでみたらと渡された小説などは机の隅に平積みで、雑な扱いとなっています。一つ非常に心に残っているのが小説や映画が「(仕事の)息抜きにならない」という言葉でした。

この麦くんの変化がとても自分の変化に重なりました。私自身、中学時代に一番小説や漫画を読んだり音楽も聞いてました。しかし、高校受験のあたりからそういったカルチャーを摂取することが少なくなり、小説なども息抜きにならないという感覚になりました。忙しさとは「心」を「亡くす」と言いますが、まさにその通りであり、心に余裕がないとカルチャーも楽しめないと思います。そして作中で「(とある小説を読んでも)何も感じなくなったのかな。」と漏らします。これも自分自身に強く突き刺さりました。幼い頃心躍らせながら読んだ小説を今読み返して私は感動できるのかな・・・と。自分自身が成長する中で失ったものを見せつけられているようでした。

そして、麦くんが社会に飲み込まれていく姿は今の自分にも重なりました。私は現在修士論文を提出し、春から博士課程に進学します。しかし、博士号取得を目指すのではなく、就職しようと考えています。これはそれまでの自分の憧れとか目標を捨てる選択でもあります。そして、やりたいことよりできることを仕事にしてちゃんとお金を稼がなければならないと考えるようになりました。学生時代から社会に出ようとしている自分にとって麦くんの心情の変化は何か重なるものがありました。職業選択について好きなこととか憧れと言うよりも自分にできることとか安定していることと言うものを重視するようになった点は今の自分に重なります。

そのように麦くんが仕事に時間を取られるようになり二人の心はすれ違っていき、言い争いも増えていきます。印象的だったのは麦の本棚の本が最初小説や漫画といったものが多かったのですが、物語中盤では自己啓発本やビジネス書が増えていっていました。一方、おそらく、絹から勧められた小説やエッセイは平積み、ぞんざいな扱いとなっています。そのように二人の心がすれ違う中でも、麦くんは「二人で一緒にいるために、やりたくない仕事も仕方ない。」と言います。また、物語終盤であると思いますが、「ずっと同じだけ好きでい続けるのは難しい」「例え恋愛感情がなくても」と言ったように二人の生活に対する妥協が見られます。

最後の最後、二人が別れようと決断した理由は何か。

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ここまでで下書きに眠っていた文章です。本当にまとまりのない文章ですね。最後、私は結末の二人がなぜ別れたのかを考察しようとしていました。最後、二人は出会った時に語り合ったファミレスで別れ話をしていました。別れる、別れないで揺れる二人の背後には付き合い始めた当時の自分達を投影したような若い男女の姿。おそらく二人はもう戻せない時間を感じて別れる決断をしたのでしょう。

この映画自体は恋愛そのものを高純度で描いていた映画だと思いますが、自分にとっては日々の忙しさの中でカルチャーなどの楽しみを失った自分の姿に重なったのを覚えています。いつまでも、この世界に感動できる感性は持ちつづけたいです。

散文長文失礼いたしました。

[編集記録]
2021.07.21. 公開

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