戸田ツトム『陰影論 -デザインの背後について-』

青土社。現代思想関係の装丁を多く手掛けていらっしゃるグラフィックデザイナー、戸田ツトム氏によるデザイン思想。オオウバユリに始まり、都市、絵画、さらには触覚へと話が展開する。「<紙>は概念やことばを媒介しない直接の現実です。其の現実は、指先ではじめて起きる事件、でもあります」というように、半透明な領域が詩的に、しかし鋭く描かれてゆく。ひとつの章を読み終えるたびに、本を閉じてこの装丁の手触りに思いを馳せてしまうのは、私だけだろうか。

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