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【髑髏黒板学校】黒板の書き方講座その13【手書きで、あなたの言葉で書きましょう】

【手書きで、あなたの言葉で書きましょう】

小泉進次郎さんの名言。
声に出してみたいし、黒板に書いてみたい日本語ですね。

かつてお花屋さんの店長をしていた私はPOPの鬼教官でした。

一つ一つのお花に付けるプライスカードには、必ず商品についての一言コメントを付けるよう指導していました。
どんなお花であろうとも必ず一言コメントです。
なぜそんなことをしていたかというと、毎日お花に一言コメントを付けていると、どんなお花に出会っても頭の中にコメントが浮かぶようになるからです。
パッと目にしたお花に対して、そのお花の良さを思い浮かべる。
私は経験が長いのですぐに何でも言葉が浮かんでくるのですが、最初のうちはなかなか言葉が出てきません。
これがすごく良いのですよ。
商品の良さを伝える言葉が出てこないと、あれやこれや頭の中で考えることになります。
そして、商品を別の角度から見てみたり、あるいは見ることをあきらめて匂いを嗅いでみたり、さわり心地を試してみたりと、商品に対するアプローチの幅がぐーんと広がるのですよ。

もちろんその技術は接客にも活かせます。

そこで出てきた言葉がたとえありきたりなものであったとしても、その言葉はリアルな空気をまといます。
それはAIが考えたりどこか別の場所からコピー&ペーストした言葉ではなく、あなたが商品を見たり触ったりして感じた言葉だからです。

かつて私が指導した若い男の子。
一言コメントが思い浮かばずに慌てていて、苦しまぎれに小さいお花に
「これはまるで赤子のようだ」
とコメントを付けていました。
今の時代に赤子って(笑)

あとは赤いお花に
「赤いです」
とも書いていた。
いや、それは誰が見てもわかるでしょ(笑)
私はそのコメントにとても満足して、そのプライスカードをそのまま使いました。
赤い商品に「赤いです」とコメントしているプライスカードなんて、世界のどこを探しても我々の店しかないだろうと判断したからです。
ちょっと想像してみてください。
商品を探していて、ちょうど赤い良い感じの商品を見つけてどれどれとコメントを読んだら
「赤いです」って。
「それは誰でもわかるやないかー!」
と関西弁でツッコミを入れたくなりませんか?
この「段差」が売り場にリズムを産むのです。

赤い商品に「赤いです」というコメント。
AIの威力がますます盛んになる今日このごろですが(そういえば、こういったPOPも最近ではAIに考えさせたりするそうです!)、さすがのAIでも赤い商品の説明に「赤いです」とは書かないと思うんですよね。
まだまだ手書きPOPの時代は続きますよ。

どんなにAIが発達しても、こういった芸術作品はまだまだ作れないと思うのですよね。
AIが学習すれば似たようなものは作れると思うのですが、やはり最後に残る人間の「狂気のスパイス」のようなものは生成できないでしょう。

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