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【18/29】樫野さんを魅力的に感じられる要因は星の数ほど存在する。 煌めく星のようなちっちゃな魅力の集合が、樫野さんという稀有な生命体となるのだ。: 樫野さんの魅力分析レポート


【樫野さんの衝突について】

樫野さんの魅力分析レポート第二十九回。
樫野さんの衝突について。
先日、国立科学博物館に「恐竜展」を見に行った。
一般的には「巨大隕石の衝突」によって絶滅したとされる恐竜たちだが、言うまでもなく真相は「樫野さんの衝突」による絶滅だ。Wikiによると、約六五五〇万年前に樫野さんの衝突により、原子爆弾の約十億倍、地震の規模はマグニチュード十一以上、三百メートルを越える津波、地磁気異常、重力異常などが地球を襲い、全生物の七割が絶滅したそうだ。

ファンの方なら周知の事実だが、樫野さんが衝突した地方は、樫野さんの愛称から「ユカタン半島」と呼ばれている。あんなにも巨大で強そうなティラノサウルスやトリケラトプスたちが、たった一人の樫野さんにより絶滅し、生態系が作り直されたのだ。

それ以降、永きあいだ完全な沈黙を守っていた樫野さんだが、ついに日本へ現れ、再び全人類を絶滅させるようなハードインパクトを地球に与えている。
六五五〇万年前よりは威力は落ちているが、ステージに向かって左側の「樫野さんサイド」と呼ばれるゾーンでは、樫野さんがチョコチョコと動く度に血しぶきが舞っていると言う。また、PCやテレビのモニター越しに樫野さんの姿を見るだけで魂が抜けて行くという報告も多数寄せられている。これから数年の先に、人類は樫野さんによって壊滅的なダメージを被ることが分析出来る。
それがとてつもなく楽しみでならない。

結論。
「髑髏チャン!コレガiPhone15ダヨ!今夜メールシュルカリャ、握ッテ眠ッテネ!」と手榴弾を手渡されて、それを握り締めて眠りにつきたい。そしてサッとピンを抜いて走り去る樫野さんの後ろ姿を見ながらココロの粒子に生まれ変わりたい。

【カシュカの森】

ユカタン半島、プラヤ・デル・カルメン北西部に「カシュカの森」と呼ばれる小さな森林がある。そこは昔、「カシュカ」と呼ばれる小悪魔妖精に村民が苦しめられたという。狩猟に出かけた男たちが、森の中で「カシュカ」に出会うと、一瞬にして灰にされてしまうからだ。

村民たちが長年の間「カシュカ」に対抗する手段を考えた結果、どうやら、「カシュカ」の魔力は子どもにはイマイチ通用しないということが判明した。
それによって、狩猟に出かける時には、子どもたちを先頭に置いて行く方法が編み出された。先頭を行く子どもたちが「カシュカ」を見つけると、急いで戻って大人たちに知らせるのだ。ところがある日、先頭に行かせた子どもたちが中々戻ってこない日があった。

心配した大人たちが探しに行くと、どうやら子どもたちが輪になって踊っているように見えた。今までに見たことがないほどの子どもたちの弾けるような笑顔。その中心にいたのは、「カシュカ」だった。
「あ。カシュカだ」
その光景を見た大人たちは瞬時に灰になった。

それから再び長い月日を経て、村民たちは「カシュカ」対策に頭を捻った。
そこから導き出された答えは「カシュカの魔力を無効にするのは『笑顔』だ」というものだった。勇気のある大人たちが、再び「カシュカの森」に入っていった…。
現地言で「スキッス!(我は恐れず)」という言葉を胸に抱いて…。

それ以来、何故か村の男たちは特に用もないのに「ちょっとパトロールしてくるわ」などと言ってニヤニヤしながら頻繁に「カシュカの森」に訪れるようになった。夜な夜な繰り広げられる「カシュカ」のダンスパフォーマンスの虜になってしまったのだ。その宴は何年も何年も続いたという。

ところがある晩に、感極まった男たちがキモチワリュイ笑顔全開で「スキッス!スキッス!」と踊り狂っている場面を見た「カシュカ」は、急に顔をクニュッとゆがめると、涙を流してその場から消えてしまった。

その涙を最後に、「カシュカ」を見るものはいなくなったと言う。
それ以来、「カシュカの森」は、四季を通じて花が咲き乱れる森になった。
それはまるで「カシュカ」が思い描いていた「夢」が咲き乱れるようにみえると言う。

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