◆忍殺TRPG◆ 【ウェイク・アップ!オーロックス!】 ◆ソロアドベンチャー・リプレイ◆
◆毒々◆この記事は三笠屋=サンが投稿されたニンジャスレイヤーTRPGのファンメイド・ソロシナリオである『ニンジャのチュートリアル』のリプレイ小説です◆羊毛◆
◆オーロックス (種別:ニンジャ) PL:どくどくウール
カラテ 5 体力 5
ニューロン 2 精神力 2
ワザマエ 2 脚力 3
ジツ 3 万札 0
DKK 0 名声 0
◇装備や特記事項
◆ヘンゲヨーカイ・ジツ
◆ウイルス入りフロッピー:ハッキング難易度−1(1/2の確率で使い捨て)
◆『○テッポダマ』:テッポダマ系スキルの中から『滅多打ち』を所持した状態でゲームを開始。
その女、ミハライ・チホはヤンク暴走族「アングリーウシオニ・レンゴウ」の特攻隊長であった。
武装アナキストによるトーフ工場襲撃事件に巻き込まれた彼女は死に、ニンジャとして蘇った。
額にある二本のツノはバイオサイバネの類ではなく、憑依したソウルの影響による不可逆肉体変化だ。
今回のソロアドベンチャーに挑むのは初登場となるオーロックス=サンです。やはりダイスを振って無から生成され、なんか牛のゲップとかそういうのからなる地球温暖化現象解決に貢献しました。そのバストは豊満である。
彼女は生い立ちにもあるように元ヤンク暴走族の特攻隊長です。つまり、凶暴で恐ろしいニンジャです!憑依したソウルも相当に高位なようで、額には凶暴で恐ろしい二本のツノが生えています。つまり、二倍凶暴で恐ろしい!
(上のイメージアイコン画像はPicrewのかしげる女の子メーカーで作りました)
ニンジャネームは今は絶滅したウシの仲間、オーロックスからです。
それでは早速プレイしていきましょう!
◆◆◆◆◆◆
「……ア?」その女、ミハライ・チホは血溜まりの中で目を覚ました。気に入りのテック・ジャケットとジーンズは赤茶色に染め上げられ、オマケに焼け焦げと穴による強制ダメージ加工が施された見る影も無い状態であった。
「なンだよこれ…クソが!ザッケンナ!」チホは悪態をつきながら立ち上がろうとし…「イヤーッ!」自分でも意識しないカラテじみたシャウトを発し、寝た姿勢のまま飛び上がって空中で三回転をし、華麗に着地した!
「……ア?」理解が追いつかない。なぜ、自分は今あんなシャウトを?空中三回転?そもそも…「どこだ、ここ」ミハライ・チホは血溜まりの中で呟いた。記憶が混濁している。「エット…確かアタシはさっきまで散歩を」
彼女が記憶を整理しようとした、その時である!「アッヘ!まだ生きてるゥー!」目を血走らせ、ヨダレを垂らしたモヒカンが突如として現れ、粗悪なジャンク・チャカガンをチホに向けた!明らかにドラッグ中毒者!「ンだテメェ」「撃っちゃうよォー!」BLAM!銃弾がチホを狙って吐き出される!
【回避】判定:5d6>=2 = (3,1,2,5,4 :成功数:4) = 4 成功!
「テメェよォ」首を傾ける!銃弾がチホの右耳横スレスレを掠めて飛んでいった。「アレッ!?」BLAM!「誰に向かって…」僅かに屈む!銃弾がチホの頭上スレスレを掠めて飛んでいった。「アレレッ!?」BLAMBLAM!「チャカ向けてんだッコラー!イヤーッ!」拳を振るう!銃弾が空中で粉々に砕け散った!「アイエエエ!?」「イヤーッ!」「グワーッ!?」
モヒカンは吹き飛び、壁に激突する!「…いまアタシ、チャカのタマ避けたのか?」ずるずると崩れ落ちるモヒカンを見て、チホは自分の身に何が起こったのかを理解した。銃弾をも避ける身体能力、そして常人離れしたカラテ…「ニンジャ」そう。ニンジャである。その女、ミハライ・チホは伝説上の怪物、半神的存在であるニンジャになったのだ!「アタシがニンジャ!」
チホは鏡面加工された工場機械に映った己の顔を見た。その額には、猛牛めいて凶暴で恐ろしい二本のツノが生えていた。「イカすじゃん」彼女が呟きニタリと笑うと、鏡の中のニンジャもニタリと笑う。次の瞬間、その口元は真紅のメンポに覆われていた。「ヘッ!完璧にニンジャじゃねェかよ!」
「アバッ…アイエエエ…ニンジャナンデ…!?」壁に叩きつけられたモヒカンが、恐怖と混乱に満ちた視線でニンジャを見た。苦痛が彼を薬物トリップから現実へと引き戻したのだ。その腕は壁に激突した衝撃で妙な方向に曲がっており、もはや銃を持つことは不可能。完全に無力・無抵抗となっていた。
「アーアーアー…忘れてたぜ」ツノを生やしたニンジャはツカツカとモヒカンに歩み寄り、獰猛な怒りの篭った真っ赤な瞳で見下ろした。「ナメた真似してくれたよな?エエッ?」「ア…アイエエエ…許し「イヤーッ!」「アババーッ!」ナムサン!ニンジャの無慈悲な前蹴りがモヒカンの頭部をスイカめいて粉砕!当然即死!「ナメられたら、殺す!それがアタシの生き方だ」
◆選択肢1:モヒカンを始末する
死体となったモヒカンを見下ろし、チホはニンジャとなった自分の力を噛み締め…DOOOOM!「ヤッベ!」聞こえてくる爆発音で我に返った。今はとにかく工場を脱出しなくては!「ファック・オフ!なんだッてんだ!」
すでに工場内部は漏れ出したケミカル物質が引火し、激しい炎に包まれ始めている。床では武装アナキストや労働者の流した血の赤と、タンクからこぼれるトーフ・エキスの白が混じりあい、ジゴク・コントラストめいた紅白模様を描いていた。「クソが…だんだん思い出してきたぞ…アタシは確か…」
炎を避けるように走りながら、チホは混濁した記憶を整理する。(そうだ。アタシはアヤセ・ジャンクションの近くで日課のカツアゲ・ウォーキングをしてたんだ。そしたら爆発音が聞こえてきて…)足元に転がる無数の死体を避け、流出したトーフエキスを足で跳ね飛ばしながら工場を進む。
(ちょッとした好奇心だった。あとはまぁ、カツアゲがうまくいかなくてイライラしてたのもあったな。何をトチ狂ったのか、様子を見に来たんだ)KABOOOM!後方で爆発。炎が何らかの貯蔵タンクを包み、中に充満した可燃性ケミカル物質に引火したのだ。「クソが!」タンク破片が飛来する!
【回避】判定:5d6>=4 = (3,5,4,5,3 :成功数:3) = 3 成功!
「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」チホは腕を、脚を、そしてツノの生えた頭を振り回し、飛来した破片を全て粉砕する!その直後!KABOOOM!KABOOOM!KRA-TOOOM!彼女のカラテシャウトに呼応するかのように次々と連鎖爆発が起こり、チホの背後は凄まじい炎に包まれた!
「ファッキン・ファック!」もはや後退は不可能だ!炎は一秒ごとに勢いを増し、己を飲み込もうとするように背後から迫ってくる。チホは迫り来る炎に中指を立ててから、猛烈な勢いで駆け出した!「クソあちぃ!」
◆
チホは通路を駆け抜けながらさらに記憶を整理しようとする。(そんで…工場の中に入り込んだ。ひッでぇ有様だったよな、クソアナキストがクソ労働者どもをクソみてえに殺してた。で、クソオムラのクソマシンガンがもっと殺してやがった。そうだ…だんだん思い出してきたぞ、アタシも、確か…)
そこまで思い出したところで、チホの思考は再び中断された。『火災感知につき防火隔壁作動ドスエ。カラダニキヲツケテネ』「アア!?」無情なる合成マイコ音声と共に、彼女の前方に頑丈そうな防火隔壁が下りる。左右は壁、後方には炎。ハッキングしようにも制御端末の類は無し。仮にあったとして、彼女はハッキングなどやったこともない。つまり…「ブッ壊す!!」
【カラテ】判定:5d6>=5 = (3,3,6,4,2 :成功数:1) = 1 成功!
「イヤーッ!」CLAAASH!チホは強烈な頭突きで隔壁を破壊!迫る炎を振り切るために再び駆け出す!「もういいやメンドくせェ!考えるのは後だ!さっさとこのクソったれトーフ工場から出てやる!熱いし、臭いんだよ!」
◆
「アイエエエエ助けてーッ!私には家庭があり家のローンもまだまだ残っていてもうすぐカイシャで出世できそうなのでここで死ぬわけにはいかないんだーッ!」「アア?」前方から聞こえてきた声に気づいたチホは、うつぶせに倒れてもがく中年サラリマンを発見した。見れば倒れかかってきた重そうな棚に足を挟まれ、身動きが取れないようだ。「何やってんだオッサン」
「アイエエエ!そこに誰かいるんですか!?お願いします!助けてください!」「ンー…」チホは2秒考え、サラリマンに圧し掛かる棚を思い切り蹴り飛ばした。「イヤーッ!」「アイエッ!」CLAAASH!遥か彼方へと吹き飛んでいく棚。恐るべき脚力!サラリマンはここで初めて自分が助けを求めた相手がニンジャだと気付いた。「アイエ…ニンジャナンデ……」
「助けてやったぜ」「ア…アリガトゴザイマ」「ン」チホは起き上がろうとするサラリマンに手を向ける。助け起こそうというわけではない。これはなんらかのジェスチャーだ。「わかるだろ?な?」「ア、アッハイ!」サラリマンは慌てて懐からサイフを取り出し、震える手で万札を3枚差し出した。
命を助けたのだ。これは正当な対価、ギブ・アンド・テイクである。「じゃあなオッサン。イヤーッ!」「アイエエエ…」メンポの下でにんまりと微笑んでから万札を懐に収め、チホは再び色付きの風となって通路を駆ける。その様子をしばし呆然と眺めてから、サラリマンも慌てて逃げ出した。
選択肢◆2:サラリマンを助けた上でカネを要求する
【万札:3】獲得 所持万札:0→3
「あッ…待てよ、オイ!そうだ思い出したッ!この工場って確か…」チホは急ブレーキし、後方を振り返った。壁にはニルヴァーナ・トーフの社章が描かれている。「アイツが…ユリが働いてるトコじゃねえか…そうだよ…思い出した…」ミハライ・チホの混濁していた記憶が、完全に取り戻された。
重金属酸性雨が降り続くアヤセ・ジャンクションの工場地帯。ここに存在するニルヴァーナ・トーフ社のトーフ工場が、突如として武装アナキスト集団による攻撃を受けた。様子を見に来たチホはその惨状を目の当たりにし、ここで働く己の親友…ユリ・ウノの安否を確かめるべく、中に突入したのだ。
「で……アイツだ。ああ思い出したぜ…あの…クソッたれのクソ鉄屑野郎が!」出口へと辿り着いたチホの視線の先。それはそこにいた。チホはそれに見覚えがあった。蘇った記憶の最後の一瞬。意識を失う瞬間に見た、赤い「4」の数字。己に無数の銃弾を浴びせて殺した、ナメた野郎の機体番号!
『ドドドドーモ、モーターヤブはかかか賢く休憩を取らせます』BRATATATA!「アバーッ!?」出口を塞ぐような位置にモーターヤブが陣取り、労働者アナキストを問わず動くもの全てに攻撃を仕掛けていたのだ!おびただしい量の返り血を浴びてその機体は真っ赤に染まり、赤くペイントされた「4」の数字がさらに不吉に輝く!「ファッキン・ファック……!」
「アイエエエ助けて!」『休憩休憩休憩だ!』「アバーッ!」出口から脱出しようとした労働者にサスマタを叩き込むヤブ!「たたたただちに休憩休憩」ノイズ混じりの電子音声を発しながらカメラアイを残虐に回転させ、工場からの脱出を企む者を探し回っている。他に出口は無し。背後からは炎。もはやヤブを排除しなければチホの脱出は叶わない!「ブッ殺す!!」
『ピガ、ピガガガ?』鋼鉄のロボニンジャは新たな要休憩者を発見し、耳障りな異音を響かせながらそちらに向き直った。工場警備員やアナキストの必死の反撃によってだろうか、その装甲のあちこちがへこみ、全身からブスブスと黒煙を上げている。もはや大破寸前で動くのもやっとというところだ。
チホは後方から迫る炎よりもなお強く燃え上がるような怒りを両足に込め、ヤブへと近付いていく。『ガガピ、ドドドーモ、モーターヤブでです。休憩重点!』鋼鉄のロボニンジャがアイサツを繰り出した。「ドーモ…」ズシリ、ズシリと歩みを進めながら、赤い瞳のニンジャもアイサツを返す。
「アタシは…アングリーウシオニ・レンゴウ…」その髪がざわざわと逆立ち、額に生えた二本のツノがより太く、禍々しく変形していく。「特攻隊長…」『モーターヤブはかか賢く、重点!休憩!休憩重点!』壊れかけのマシンガンを構える。「ミハライ・チホ……いや……アタシは…」
『休けけけ、休憩だ!』BRATATATA!弾丸がバラ撒かれる!「アタシは…!」凄まじい勢いで突進し、回避!猛牛めいた下半身がもたらす恐るべきスピード!「アタシはッ!」『ピガッ!?』筋骨隆々の逞しい腕がヤブのアームを握り締め、強引にネジ曲げていく!「イィィヤァァーーーッ!!」
【ジツ】判定:5d6>=4 = (5,3,3,1,3 :成功数:1) = 1 成功!
ナムアミダブツ!もはやモーターヤブと相対しているのは先ほどまでのミハライ・チホではない!それは、ギリシャ神話に残るミノタウロスめいた半人半牛の巨大な怪物!「アタシはッ!!オーロックスだッ!!イヤーッ!」『ピガーッ!?』強烈な頭突きがヤブに叩き込まれる!ひしゃげる機体!
「イヤーッ!」『ピガーッ!』殴打!「イヤーッ!」『ピガーッ!』殴打!「イヤーッ!」『ピガーッ!』殴打!「イヤーッ!」『ピガーッ!』殴打!「イヤーッ!」『ピガーッ!』殴打!「イヤーッ!」『ピガーッ!』殴打!「イヤーッ!」『ピガーッ!』殴打!「イヤーッ!」『ピガーッ!』殴打!
【カラテ】判定:8d6>=4 = (2,5,6,5,1,4,3,6 :成功数:5) = 5 サツバツ!
特例サツバツ効果によりモーターヤブの体力3→0 戦闘終了!
そして…もはや原形を留めていないヤブに、オーロックスはトドメの一撃を叩き込む!「ロウオオオーーーン!!」『ピガガガガーーーッ!?』恐るべき咆哮と共にツノを突き刺し、そのままモーターヤブを持ち上げ……「イヤーッ!」『ピガガガガーッ!』投げ飛ばす!『ピガガッ!ピガ、キュウ、ケ…ピガッ……』KABOOOOM!モーターヤブは大破!爆発四散した!
◆
「ハァーッ…ハァーッ…!」オーロックスは…チホは元の姿に戻っていた。気に入りのテック・ジャケットとジーンズはヘンゲヨーカイ・ジツによる肉体変化によってズタズタに引き裂かれ、もはや衣服としての機能をまったく果たしてはいない。「クソが…今日は最悪の日だぜ…」ボロ布となった服で身を隠しながら、チホは出口に向かい歩き出し…一度、来た道を振り返った。
「…ユリ、生きてッかな」彼女が進んできた道はもはや完全に炎に包まれ、ニンジャであっても後戻りすることが出来ないのは明らかだった。チホはそれ以上何も言わず、炎に向かって中指を立ててから、工場を脱出した。
◆
「ドーモ」チホが工場を出たと同時に、一人のニンジャが姿を現した。その茶色のニンジャ装束には、恐ろしげな「キ」「リ」「ス」「テ」の文字が刻まれたクロスカタナのエンブレムが付いている。「バンディットです」
「ドーモ、バンディット=サン。オーロックスです」チホは反射的にオジギを返す。ニンジャ同士が出会ったならば、アイサツをしなければならない。古事記にも記されている。チホは古事記など読んだこともなかったが、本能で理解した。「オーロックス=サン、お前の戦いぶりは見させてもらった」
「見てた?…どこでだ」「あそこでだ。気付かなかっただろうがな…本題に入ろう。オーロックス=サン、ソウカイヤに入るつもりは無いか?」「ソウカイヤ…?なンだよそれ」「ニンジャ組織だ。このネオサイタマの街には俺や、お前のようなニンジャは大勢いる。それらをまとめあげるのがソウカイヤなのだ」「……」オーロックスはバンディットの眼をじっと見つめる。
感情の読めないサイバネ・アイ。だがその不穏な光や声は「もし断ればこの場で殺す」というアトモスフィアを全く隠さない。このニンジャは恐るべき手練れだ。少なくとも、今の自分には勝ち目が無いだろうとオーロックスは結論付けた。「…つまり、ソウカイヤってのは強い連中が集まってるんだな?」「その通り。俺などとは比べ物にならんほど強大なニンジャもな」
バンディットの声にはほんの僅かな自嘲の色が混ざったが、それもすぐに掻き消えた。「さぁ、どうするオーロックス=サン?選択肢は二つに一つだ。俺と来るか、それとも…」「ここで死ぬか。ッてか?冗談じゃねェ」オーロックスは気勢を張る。例え勝ち目が無い相手だろうと、弱気は見せない。
「なるぜ、アタシも。そのソウカイニンジャってのによ。そんで、成り上がってやるぜ…!」オーロックスの赤い瞳にギラついた光が宿る。燃え上がる野心の炎だ。「…良い返事だ。では俺について来い」バンディットはその様子を見て頷き、歩き出す。やがて色付きの風めいて駆け出した二人の背後で工場が爆発炎上し、建物が崩れ去っていった。もう、後戻りは出来ない。
【ウェイク・アップ!オーロックス!】終わり。
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