ARM Earnings Call Transcriptまとめ

特に言及がない限り、情報ソースはSeeking Alpha、まとめはClaude 3 Opusによります


ARM Holdings 2024年度第4四半期決算説明会まとめ

会社紹介

ARM Holdings Plcは、スマートフォン、コンシューマー向け電子機器、エンタープライズ、自動車、IoTデバイス向けのプロセッサーの設計を行う英国の多国籍半導体・ソフトウェア設計会社です。ARMのプロセッサーアーキテクチャは、スマートフォンやタブレットのアプリケーションプロセッサーで90%以上のシェアを持ち、モバイル市場で圧倒的な地位を確立しています。近年ではデータセンターやPC、自動車など新たな市場への事業拡大を進めており、特にデータセンター向けではAmazon Web Services、Google Cloud、Microsoft Azureなどの大手ハイパースケーラーとの協業を通じて着実にシェアを伸ばしています。

決算説明会の内容

  • 会社概要

  • 2024年度第4四半期の業績ハイライト

  • 2024年度通期の業績総括

  • 2025年度の業績見通し

  • 成長戦略の進捗

    • v9アーキテクチャの普及加速

    • データセンター事業の拡大

    • 自動車向けソリューションの進展

    • AI対応製品の需要拡大

  • 質疑応答

2024年度第4四半期と通期の業績総括

ARMは2024年度第4四半期(1-3月)に過去最高の9億2,800万ドルの売上高を記録し、前年同期比で47%増加しました。ロイヤリティ収入は37%増の記録的な伸び、ライセンス収入も60%増と大幅に拡大しました。これにより、上場後初の通期決算となる2024年度は32億ドルを超える売上高を達成し、当初のガイダンスレンジの上限を上回る結果となりました。

第4四半期と通期の好調な業績を牽引したのは、最新のv9アーキテクチャの採用加速と、データセンターや自動車など新市場での事業拡大です。v9の普及はスマートフォンを中心に進み、チップ当たりのCPU搭載数増加とあわせてロイヤリティ収入の拡大につながりました。データセンター向けでは、GoogleがARMベースのカスタムチップ「Axion」を発表するなど、大手ハイパースケーラーとの協業が進展。自動車分野ではv9を採用した初の自動運転ソリューションを投入し、IoT向けでは業界最小電力の機械学習アクセラレーター「Ethos-U85」を発表しました。

2025年度の業績見通し

ARMは2025年度も力強い成長が続くと予想しています。売上高は38億~41億ドルの17~27%増を見込み、非GAAPベースの1株当たり利益は1.45~1.65ドルを予想しています。2024年度は20%超の増収を達成しましたが、2025年度はそれを上回る伸びを見込んでいます。

ロイヤリティ収入は、v9の普及加速とクラウドや自動車での新規設計の立ち上がりにより、通期で20%台半ばの成長を見込んでいます。ライセンス収入は、AIによる設計需要の高まりから低い二桁台の成長を予想。ただし、収益認識のタイミングにより各四半期での変動は大きくなる見通しです。

中長期的には、ライセンスパイプラインの強さとロイヤリティ収入の拡大により、2026年度と2027年度も年20%以上の力強い成長が続くと予想されています。ARM創業から10億ドルの売上高達成に20年、20億ドル到達にさらに10年を要しましたが、30億ドル突破はわずか2年で成し遂げ、2025年度には40億ドルに迫る見通しです。

成長戦略の進捗

ARMは、スマートフォンでの圧倒的な地位をベースに、サーバー、PC、自動車、IoTなど新市場での事業拡大を進めています。これらの戦略はいずれも順調に進捗しており、今後の成長をけん引すると期待されています。

v9アーキテクチャは、前世代のv8からの移行が加速しています。v8からv9への移行は、ロイヤリティ単価の上昇とチップ当たりのCPU搭載数増加の2つの効果により、ロイヤリティ収入の拡大を後押ししています。スマートフォンでのv9採用はプレミアム帯から普及し、サーバー向けではv9が標準となりつつあります。

データセンター事業では、大手ハイパースケーラーとの協業を通じてシェア拡大が続いています。AWS、Google、Microsoftに加え、直近ではメタがARMベースのサーバーチップを発表しました。ARMは消費電力あたりの性能の高さを武器に、単体のチップだけでなくブレードやラックレベルでの設計も手掛け、トータルコストでの優位性を訴求しています。

自動車分野では、v9アーキテクチャを採用した初の自動運転向けソリューションを投入し、大手OEMやTier1との協業を進めています。自動車では機能安全など独自の要件が求められますが、ARMは業界標準となるソリューションの確立を目指しています。

AIの隆盛もARMにとって追い風です。スマートフォンからIoT、エッジ、データセンターまで幅広い用途でAI処理の需要が高まっていますが、ARMはこれらすべての市場で高いシェアを持っています。ソフトウェアの進化に追随するため、ハードウェアの設計を頻繁に更新する必要があり、これがARMのライセンス需要の拡大につながっています。

質疑応答

質問: データセンター事業の進捗と見通しについて教えてください。当初想定よりも採用が加速しているようですが、市場シェアの目標に変更はありますか?

回答: IPO時に示した2027年に27%の目標に変更はありません。ただ、最近のAI関連投資の拡大を受けて、その達成時期が前倒しになる可能性はあります。ARMはカスタムチップだけでなく、ブレードやラックレベルの効率的な設計でも優位性を発揮できるため、AIワークロードの拡大は追い風になると考えています。

質問: v8からv9への移行の進捗と見通しを教えてください。ロイヤリティ収入の伸びにはどのような影響がありますか?

回答: v9の採用は順調に進んでおり、スマートフォンのプレミアム帯やサーバー向けで普及が進んでいます。四半期ごとにv9の比率は5ポイントほど上昇しており、2-3年で60-70%に到達すると予想しています。v9はロイヤリティ単価が約2倍に上昇するほか、サブシステム型の契約ではさらに高い単価が実現するため、ロイヤリティ収入の拡大を後押しすると期待しています。

質問: PC事業の今後の見通しを教えてください。

回答: AppleがMacをARMベースのチップに移行したのと同様に、Windows PCでもARMの採用が今後数年で大きく進むと考えています。PCメーカー各社から多様な製品投入が予定されており、高い性能と低消費電力、ファンレス駆動などのメリットが訴求力になると考えています。2025年にはWindowsのARMエコシステムが本格的に立ち上がり、その後2-3年でシェアが大きく拡大すると予想しています。

質問: 2025年度第1四半期のロイヤリティ収入の前提を教えてください。前年同期比20%増を見込む一方、前四半期比では7%の減収となっていますが、この要因は何ですか?

回答: 第1四半期は、産業機器やネットワーク機器、IoT市場での在庫調整の影響を受ける見通しです。多くの半導体企業が指摘しているように、これらの市場ではまだ本格的な回復には至っていません。一方、スマートフォンは前年同期の水準を維持し、自動車やハイパースケーラー向けは引き続き堅調に推移すると予想しています。

質問: ライセンス収入の見通しを教えてください。ここ数年は年20%の伸びを維持していますが、これは新たなベースラインと考えてよいでしょうか?

回答: ライセンス需要の勢いは続くと考えていますが、新たなベースラインとまでは言えないと思います。大型の契約は最終的にはロイヤリティ収入に直結するため、中長期的にはロイヤリティ収入がARMの売上高の大半を占めるようになるはずです。ライセンス収入の伸びが続く間は全社の成長率を押し上げる効果がありますが、数年後にはv9の本格普及とサブシステム型契約の拡大により、ロイヤリティ収入がより大きな牽引力を発揮すると考えています。

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