On Semicondactor Earnings Call Transcript 2024Q1まとめ

特に言及がない限り、情報ソースはSeeking Alpha、まとめはClaude 3 Opusによります。

会社紹介:
オンセミコンダクター(onsemi)は、自動車、産業機器、コミュニケーション、コンピューティング、コンシューマーなどの幅広い分野で使用される半導体のリーディングサプライヤーです。パワー管理、アナログ、センサー、ロジック、コネクティビティ、ディスクリート、カスタムなどの製品を提供しています。自動車の電動化や、産業機器の自動化・電動化、再生可能エネルギーなどの成長分野に注力しており、特にパワー半導体とセンシング技術に強みを持っています。
目次:

  1. 2024年第1四半期の業績ハイライト

  2. 市場環境と主要事業の状況

  3. 成長戦略とポートフォリオの最適化

  4. シリコンカーバイド(SiC)関連事業の見通し

  5. 2024年第2四半期の見通しと長期成長戦略

  6. 質疑応答

  1. 2024年第1四半期の業績ハイライト:
    オンセミコンダクターの2024年第1四半期は、売上高が前年同期比5%減の18億6,000万ドル、非GAAPベースの売上総利益率が45.9%、非GAAPベースのEPSが1.08ドルとなり、ガイダンスの中央値を上回る堅調な業績となりました。デザインウィンは前期比30%増加し、シリコンカーバイド(SiC)を始めとする製品の技術的優位性が顧客から高い評価を受けています。新製品の売上高は前年同期比9%増と全社平均を上回る伸びを示しており、今後も利益率の高い成長ドライバーとして期待されます。

  2. 市場環境と主要事業の状況:
    自動車市場では、世界的な景気減速の影響から在庫調整が続いているものの、電動化の流れは力強く、同社の関連製品は堅調に推移しました。売上高は前年同期比3%増の10億ドルとなりました。産業機器市場では、伝統的な分野で安定化の兆しが見られるものの、全体としては前年同期比14%減の4億7,600万ドルと低調でした。エネルギーインフラや工場の自動化、医療機器などの分野に長期的な成長の芽があると考えています。地域別では、アジア(日本を除く)が前年同期比24%減と低迷しました。これは、中国の景気減速に加え、同社が収益性の低い汎用品事業からの撤退を進めていることが主因です。一方、中国の大手自動車メーカー向けにSiC製品のデザインウィンを獲得するなど着実にシェアを拡大しています。

  3. 成長戦略とポートフォリオの最適化:
    オンセミコンダクターは、自動車、産業機器、クラウド・データセンターの3つの注力分野で、競争力のあるソリューションの提供を目指しています。そのために、パワー管理とセンサーインターフェイスの製品ポートフォリオを強化すべく、社内組織を「アナログ・ミックスドシグナルグループ」として再編しました。

    電動車両(xEV)向けには、SiCとIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)の幅広い製品ラインアップと高出力パッケージング技術を組み合わせ、顧客の課題解決に取り組んでいます。自動車のセンシング分野では、ADAS(先進運転支援システム)の高度化に伴い、高解像度の画像センサーへのシフトが進んでおり、同社の8メガピクセルセンサーの売上高は前期比30%増、前年同期比60%増と大きく伸長しました。
    産業機器では、医療分野で補聴器向けのAIプロセッサーを提供し、ユーザーの聴覚環境に合わせた最適化を可能にしています。同社の製品は、市販されているOTC(店頭販売)補聴器の50%以上に採用されています。データセンター向けには、AIサーバーラックの消費電力拡大に対応した高効率電源ソリューションを提供し、事業機会の拡大を図っています。

  4. シリコンカーバイド(SiC)関連事業の見通し:
    SiC事業は、自動車市場でのシェア拡大と顧客の多様化が進んでいます。第1四半期にはサブストレートの50%以上を内製化し、垂直統合モデルによる競争力を発揮しています。欧州の自動車メーカーとの取引が拡大しているほか、中国市場でもトップ10の自動車メーカー向けに800Vプラットフォーム向けの設計を獲得しています。2024年のSiC市場は伸び率が鈍化するものの、同社は市場の2倍のペースで成長する見通しです。

  5. 2024年第2四半期の見通しと長期成長戦略:
    2024年第2四半期の売上高は、16億8,000万ドルから17億8,000万ドルを見込んでいます。非GAAPベースの売上総利益率は44.2%から46.2%、EPSは0.86ドルから0.98ドルを予想しています。為替レートは1ドル=130円を前提としています。
    中長期的には、SiCを始めとする戦略的な成長事業への投資を加速する一方、オペレーショナルエクセレンスの追求により、事業全体の収益性と効率性の改善を進めていきます。同社が注力する自動車の電動化や産業機器の自動化などの分野は、今後も力強い需要が見込まれます。技術的な優位性とリーダーシップを発揮することで、業界平均を上回る成長を目指します。株主還元については、フリーキャッシュフローの50%を目処に、自社株買いと配当を柔軟に組み合わせて実施する方針です。
    以上が、オンセミコンダクター2024年第1四半期決算の要旨です。半導体市況の不透明感は残るものの、同社は電動化や自動化の進展を追い風に、SiCを中心とした戦略製品の拡大により業界をリードする存在として成長を目指す姿勢を鮮明にしました。特に、SiC事業の拡大と収益性改善に向けた取り組みが注目されます。

6.質疑応答:
決算説明会での質疑応答では、アナリストや機関投資家から、オンセミコンダクターの足元の事業環境や今後の見通しについて様々な質問が寄せられました。

まず、第1四半期の需要動向と第2四半期の見通しについて問われると、経営陣は、中国の旧正月以降は減速傾向が見られ、第2四半期も軟調な需要環境が続くとの見方を示しました。ただ、下期には自動車や産業機器の在庫調整が進み、需要は安定化に向かうと予想しています。

シリコンカーバイド(SiC)事業については、数多くの質問が集中しました。2024年のSiC市場の成長率見通しを問われた経営陣は、伸び率は従来予想から鈍化するものの、同社は設計wins獲得によるシェア拡大を通じて市場の2倍のペースで成長する考えを示しました。また、中国市場での競争力についても、技術的優位性により大手自動車メーカーから設計winsを獲得しており、コスト面でも垂直統合モデルにより競争上有利な立場にあるとの見解を述べました。

第1四半期の自動車向け売上高におけるSiCとシリコンの比率については非開示としつつ、SiC事業の顧客ベースは着実に多様化が進んでいることを強調しました。加えて、自動車の電動化の流れが加速する中、自社はSiCとIGBTの両方の製品を取り揃えており、パワートレインのコストパフォーマンスを最適化したいという顧客のニーズに幅広く対応できるとの考えが示されました。

データセンター向け事業の規模感を問われると、経営陣は現時点で具体的な数字の開示は控えつつ、ラックあたりの消費電力の拡大が同社の高効率電源ソリューションのビジネス機会になるとの見方を示しました。AI需要の拡大を追い風に、同分野での成長投資を加速する方針です。

株主還元に関しては、直近1年間はフリーキャッシュフローの100%超を自社株買いに振り向けており、市場の需給が引き締まる局面では機動的に株主還元を強化したいとの考えが述べられました。一方、長期的には、成長投資と株主還元のバランスを取りつつ、フリーキャッシュフローの50%を目途とする方針を堅持するとの姿勢が示されました。

また、同社の業績回復力について問われると、過去の景気後退局面に比べて、今回はサプライチェーンの強靭化や収益構造の改善が進んだことで、需要減速の影響を抑えることができているとの認識が示されました。

質疑応答を通じ、オンセミコンダクターは、自動車や産業機器、データセンターなどの戦略分野での技術的リーダーシップを武器に、シェア拡大と収益性改善を進める方針をあらためて鮮明にしました。特に、SiC事業については市場の関心が集まる中、同社は製品の差別化とサプライチェーンの最適化によって業界をリードしていく考えを強調しました。一方、足元の事業環境の不透明感は続いており、コスト管理の徹底と製品ポートフォリオの最適化を進めることで、景気変動への耐性をさらに高めていく構えです。

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