FormFactor Inc. 2024年第2四半期 Earnings Call Transcriptまとめ
FormFactor Inc.は、半導体テストおよび測定ソリューションを提供する世界的なリーディングカンパニーです。同社の主力製品は、プローブカードとシステム製品で、ファウンドリ・ロジック、DRAM、フラッシュメモリ向けのプローブカード、および電気・光学測定システムを提供しています。FormFactorは、半導体製造プロセスにおける「ラボからファブまで」の幅広い製品ポートフォリオを持つことで、直接の競合他社と差別化を図っています。
2024年の売上高は約8億5000万ドルを目標としており、非GAAPベースで1株当たり2ドルの利益を目指しています。同社の製品は、主要な半導体メーカーや研究機関に採用されており、特に先端パッケージング技術の普及に伴う需要増加が成長を牽引しています。
目次
2024年第2四半期の業績概要
主要製品セグメントの動向
技術開発と新製品の展望
市場動向と戦略的ポジショニング
財務見通しと業績予想
質疑応答
2024年第2四半期の業績概要
FormFactor Inc.の2024年第2四半期の業績は、売上高、非GAAP粗利益率、非GAAP EPSのいずれも5月に提示したガイダンスの中央値を上回りました。売上高は前四半期比17%増、前年同期比26.7%増の1億9750万ドルとなりました。非GAAP粗利益率は45.3%で、前四半期の38.7%から大幅に改善しました。
非GAAP営業利益は2850万ドルで、前四半期の1300万ドルから120%増加し、同社の事業モデルにおけるレバレッジを示しました。非GAAP純利益は2730万ドル、または完全希薄化後1株当たり0.35ドルとなり、前四半期の1430万ドル(1株当たり0.18ドル)からほぼ倍増しました。
主要製品セグメントの動向
プローブカードセグメントの売上高は1億6700万ドルで、前四半期から22%増加しました。この増加は主にファウンドリ・ロジックとDRAM向けの売上高増加によるものです。
ファウンドリ・ロジック:売上高は1億400万ドルで、前四半期比19.5%増加しました。全社売上高の52.5%を占めています。
DRAM:売上高は過去最高の5800万ドルで、前四半期比26.5%増加しました。全社売上高の29.4%を占めています。特に、高帯域幅メモリ(HBM)の売上高が前四半期の2200万ドルから4300万ドル以上に倍増し、DRAM売上高の75%を占めました。
フラッシュ:売上高は510万ドルで、全社売上高の2.6%を占めています。
システムセグメントの売上高は3070万ドルで、全社売上高の15.5%を占めています。
技術開発と新製品の展望
FormFactorは、先端パッケージング技術の普及に伴う需要増加に対応するため、以下の分野で技術開発を進めています:
高帯域幅メモリ(HBM)向けプローブカード:HBM3やHBM4など、次世代HBM向けの高性能プローブカードの開発を進めています。
ファウンドリ・ロジック向け先端パッケージング対応プローブカード:FoverosやCo-LOSなどの先端パッケージング技術に対応したプローブカードの開発を行っています。
シリコンフォトニクス向け電気光学測定システム:コパッケージドオプティクスなど、次世代データセンター向けの測定ソリューションを開発しています。
エンタープライズクラスSSD向けプローブカード:MonTitanプラットフォームを通じて、エンタープライズおよびデータセンター市場向けの高性能プローブカードを提供しています。
これらの技術開発により、FormFactorは半導体テスト市場におけるリーダーシップを強化し、長期的な成長を実現することを目指しています。
市場動向と戦略的ポジショニング
半導体業界全体として、先端パッケージング技術の採用が加速しています。これにより、チップのテスト工程の複雑性と頻度が増加し、FormFactorにとっては大きな成長機会となっています。特に以下の分野で強い需要が見られます:
高帯域幅メモリ(HBM):AIインフラ投資の増加に伴い、HBM向けプローブカードの需要が急増しています。
ファウンドリ・ロジック:チップレットアーキテクチャの採用により、テスト工程が複雑化し、高性能プローブカードの需要が増加しています。
シリコンフォトニクス:データセンターの電力効率向上のため、コパッケージドオプティクスの採用が進んでおり、電気光学測定システムの需要が見込まれています。
FormFactorは、これらの市場トレンドに対応した製品ポートフォリオを持つことで、競合他社との差別化を図っています。また、主要顧客との緊密な関係を維持しつつ、新規顧客の開拓にも注力しています。
財務見通しと業績予想
2024年第3四半期の見通しは以下の通りです:
売上高:2億ドル(±500万ドル)
非GAAP粗利益率:43%(±150ベーシスポイント)
非GAAP営業費用:6100万ドル(±200万ドル)
非GAAP EPS:0.31ドル(±0.04ドル)
通年の見通しについては、以前のガイダンスを維持しており、売上高は前年比25-30%増の8億ドルから8億3000万ドルを見込んでいます。非GAAP粗利益率は46-47%、非GAAP営業利益率は14.8-16.8%を予想しています。
質疑応答
Q: 高帯域幅メモリ(HBM)事業の今後の見通しについて教えてください。
A: 第3四半期にはHBM向けプローブカードの需要が一時的に減少すると予想していますが、これは顧客の消化期間によるものです。長期的には、ハイパースケーラーのAIインフラ投資が継続しており、HBM市場の成長は持続すると考えています。1-2四半期後には再び成長が再開すると予想しています。
Q: ファウンドリ・ロジック事業の動向について教えてください。
A: 第3四半期のファウンドリ・ロジック事業は、第2四半期と同様のレベルと製品ミックスを維持すると予想しています。モバイルアプリケーションプロセッサーの新設計リリースや、コンピューティング分野での先端パッケージング技術の採用が需要を支えています。
Q: DDR5メモリ向けプローブカードの需要動向はどうですか?
A: 第3四半期にはDDR5向けプローブカードの需要が増加すると予想しています。これがDRAM市場全体の回復の始まりかどうかは現時点では不明ですが、DRAM価格の上昇や顧客からの前向きな見通しなど、回復の兆しは見られます。
Q: シリコンフォトニクス事業の展望について教えてください。
A: コパッケージドオプティクスの分野で、研究開発から少量生産への移行が始まっています。当社の電気光学測定システムが顧客に採用され始めており、2025年後半から2026年にかけて本格的な量産が始まると予想しています。これは当社のシステム事業とプローブカード事業の両方に新たな成長機会をもたらすと期待しています。
Q: 中国市場での事業展開について教えてください。
A: 第2四半期の中国向け売上高は全体の10%強で、第3四半期にはやや増加すると予想していますが、半導体製造装置メーカーが経験しているような40-50%の水準には達しません。地政学的なリスクに対応するため、中国事業を売却し独占販売契約を結ぶなど、慎重なアプローチを取っています。
これらの質疑応答から、FormFactorが先端パッケージング技術の普及による需要増加を事業成長の主要な推進力と捉えていることが分かります。特にHBMやシリコンフォトニクスなどの新興分野に注力しつつ、既存のファウンドリ・ロジックやDRAM市場でも強固なポジションを維持しています。地政学的リスクにも慎重に対応しながら、長期的な成長戦略を推進していることが伺えます。
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